(1) 勇者パーティーに斥候ってw
酒飲みA「おい聞いたか?正体不明の黒いフードの英雄様、また功績あげたんだとよ」
B「ああ、ヴィクターってやつだろ?あんなに強いのになんで本名も顔も出さねえのかな」
C「んなことより、へっぽこ勇者リオネルは今回も討伐に参加しなかったらしいぜ?」
A「噂では毎夜毎夜お遊び三昧だとか」
C「へっ、そのくせ金はたんまりもらってんだろ?
勇者でもないのに活躍しまくってるヴィクターを見習えよな」
ぎゃははは
............
その酒場の隅で一人ニヤけるものがいた
そう、ヴィクター兼リオネル...!!
「その噂!実はどっちも俺だぜ~www」
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『あなたの天職は〈斥候〉です 勇者となり、魔王から世界を守ってください、リオネルよ』
―――勇者
それは各国の希望であり象徴であり、最高戦力である
15歳を迎えた子供たちは各地の教会で女神「アリスティア」より天職を授かる
魔王の復活が予言される年には決まって4人の勇者が選ばれる
〈剣士〉
〈魔術師〉
〈聖女〉
そして、俺、〈斥候〉...
いや、斥候て...!!
誰がどう見ても場違い感半端ないよね...
勇者パーティーの編成はその年によって多少変わったりもするらしいが
〈斥候〉が勇者パーティーに編成されるのは、最初の勇者パーティー発端から数百年...
初めてのことらしく、それゆえか貴族も平民も不安感を抱いているらしい
さすが勇者パーティーに選ばれるだけあってただの〈斥候〉にはないような
バグスキルの一つや二つはあるんだが...
もちろん使わない!!(ニヤっ)
なぜかって?
だって、勇者は活躍して当たり前、民を守って当たり前
そんなのつまらないじゃないか...!
俺はずっと憧れていたんだ...
謎だらけの英雄と比べられる斥候のダメ勇者
「実はどっちも俺なんだよね~って!!」
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俺は昔から、お世辞かも分からず、ちやほやされるのは好きではない
どっちかというと間接的に褒められたり、羨まれたりするのに
快感を感じる...だってそっちの方が紛れもない本音じゃないか、
例えば...
「最近、仮面かぶった謎の冒険者がめちゃくちゃモンスター討伐してるらしいぜ」
「雑魚冒険者のお前も見習えよwww」
「お付き合いするなら、強い人がいいなあ~
あんたみたいな雑魚じゃなくてね!!ww」
いや~実はその仮面の冒険者俺なんすよね~((ニヤニヤ
といった具合で、俺だけがすべてを知っている感?
が最高にたまらない...
というわけで、前代未聞の〈斥候〉として勇者パーティーに入ることになった俺だが
勇者としての俺はいい感じに闇堕ちしていって...
謎の最強フードとして活躍したいっ!!
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この王都ロドニアは
女神アリスティアを信仰する聖光教徒がほとんどの
この大陸一の大都市だ
女神アリスティアというのは数百年も前に初めて魔王を封印したとされる
伝説の勇者パーティーの一人で、〈大聖女〉だったとされている
自分の体を犠牲に不死の意識を手に入れたんだとか...
俺の世界は4つの大陸に分けられていて
約100年に一度魔王の封印が解ける年には
各大陸から4人ずつ勇者パーティーとなる者を選出し
計16人の合同パーティーで魔王と戦うことになっている
俺、リオネルは南の大陸エリディア代表が一人として選ばれたわけになる
〈斥候〉という一般職にして、勇者パーティーでは明らかな戦力外な訳だが
他の三人はもちろん違う
―――剣士アルド
前衛職にぴったりなオラオラ系の性格と派手な金髪
そのうち聖剣を使えるようになるとかで完全に調子に乗っている
お約束のようにイケメンで女たちからはモテモテだそうだが
女の趣味も悪く傲慢と来た
これは俺の完璧なシナリオの中で最高の噛ませ役を買ってくれることだろうww
―――魔術師リリア
低身長に茶髪のツインテール
典型的なロリっ子だが、その実力は折り紙付きだ
16歳という若さで宮廷魔術師トップをも上回る魔力量なのだそうだ
―――聖女セルフィア
艶やかな腰まで伸びた金髪にその美貌
男冒険者全員の憧れの的といってもいいくらいの人気である
あの、女神アリスティア以来初めての『完全回復』持ちと噂されている
実は俺と同じ村出身で昔はよく遊んでいたが
あんなことがあってから、少し距離を感じる…
―――斥候リオネル(俺)
一応俺の紹介もしておく
斥候...うん...斥候である
足が速かったり、隠密に長けていたり...
勇者パーティーに選ばれるだけあってその数値は普通の〈斥候〉よりは高いが
そこら辺の一級冒険者の方がよっぽど戦力になるだろう......まあ、表向きはね?ww
もちろんこんなちょこっと数値が高いだけの〈斥候〉なんかが
女神アリスティアによって勇者パーティーの一員に選ばれるわけない
俺が15歳になり教会で天職を授かるときに聞こえた女神様?の声によれば
どうやら俺は女神アリスティアの最後の子孫らしい
絶対に生き残って欲しいとかで、
女神さまが少しばかりサービスしてくれた......そう、少しだけ...w
とにもかくにもこうして俺たちは去年の春ごろから王都ロドニアを拠点にパーティーを組み
各地を回り名声を上げると同時にその実力もめきめき上げていった
大陸全体に勇者ら3人の功績が広まるとともに
俺は、足手まといだとか金魚のフンだとか
さんざんな扱いを受けた......
まあ、そういう立ち回りをしているんだからww
うまくいきすぎて怖いくらいだwww
「さて、そろそろ第二の俺も動き出した方がよさそうだな」
勇者の落ちこぼれとしての俺はこのまま演じるとして...
謎に包まれた英雄を広めるため、いろいろとやりたいことがある
「まずは...仲間探し...!!」―――??
こんにちは( •̀ ω •́ )✧
興味持っていただきありがとうございます
温かい目でお付き合い頂けたらうれしいです(´▽`ʃ♡ƪ)