6あの子の苦手な子
「うーみくーん!」
僕と海くんが喋っていたら僕達より身長の高い女の子が来た。3年生ぐらいだろうか。
「げっ」
海くんが今に無い嫌そうな顔をしている。
「…海くん、あの子誰ですか?」
「俺の姉ちゃん」
あー。いまので全てを理解した。多分海くんのお姉ちゃんはブラコンなんだろう。多分。
「あらま、新しいお友達?良かったわねぇー!」
そう言いながら海くんのお姉さんは、海くんのに抱きつく。
「う、重い…」
アハハ……海くんも大変そう。
「あ、私、海くんの姉の恵美でーす!」
そう言ってまた海くんに抱きつこうとするけど…さすがに海くんは避けた。
「よし、拓人くん、教室に戻ろっか〜」
「そうですね」
そうやって僕達が帰ろうとしたとき、
「ちょっと待って!」
恵美さんが僕達のことを引き止める。
「なんですか?」
少し間があったあと恵美さんは予想もしなかったことを言い出した。
「お二人ってどういう関係?」
「は?どゆこと?」
海くんはびっくりして恵美さんに聞き返す。
恵美さんはその後もっと予想しなかったことを言う。
「だって海くんの隣にいる子女の子でしょ?」
そうやって僕に指を差す。
びっくりして僕はポカーンとする。
「おい、ばかっ!姉ちゃん!隣にいるのは男の子だよ!しかも、友達だよ!」
そうやって海くんは怒鳴る。
「あ、失礼しました」
恵美さんは僕達に頭を下げる。たしかに僕は少し髪は長めだけれど、女の子と間違えられることはなかった。初めてのことで僕はびっくりした。やっぱり姉弟揃って変な子だ。
「そうだった。姉ちゃんも同じ学校なんだった…」
海くんは下を向きながら呟く。よっぽどお姉ちゃんが苦手みたいだ。