私は魔女
私はこの丘に住んでいる魔女。
近くにある村とも良い関係を気付いて、厄除けや占い、たまに危険な魔物を倒した報酬などで生計を立てている。
魔女としての実力もの中だと中の中といった感じだろう
これといった特技もなく、不得意もなく、慎ましくも、何不自由ない生活を過ごしていた。
「コンコン」
ほら、今日もドアをノックする迷える子羊が来たわね
「はい。どうぞ」
「失礼します」
あら小さいお客さんだこと。
扉を開けたのは10歳にも満たないお嬢さんだった。
「いらっしゃい。今日はどんな悩みごとで?」
魔女は小さい子供の目線まで、膝を畳んで話しかけた。
「魔女様。私、好きな男の子がいるの」
小さい子供は勇気を出して、大きな帽子を被った魔女に切り出した。
「あら、あらそうだったのぅ。それで?」
「でもね。あの子は私に興味がないみたいなの。だからほんの少しだけ私に気を向けさせたいの。」
「なるほどね。あなたに興味を向けさせたいのね?お嬢さんの切なる願い承りました。」
「ホント!?」
「えぇもちろんよ。」
「やったー!」
「じゃあ。さっそく作業に移りましょうか」
「作業って?」
「あなたのお手伝いが必要なのよ。その代わりその握りしめているお金はいらないわ」
「ホント!?ありがとう」
二人は協力しながら料理を作り始めた。
魔女は料理のお手本を見せ、実際の作業は女の子にやらせていた。
「できた!完成だよね!」
「そうね。あとはこれをその男の子にあげるだけで、その子の気を引く事ができるわ」
二人が作ったのはチョコレートだった。
「ありがとう!魔女様!」
「えぇ。健闘を祈るわ」
可愛らしい女の子だこと。この辺りは本当に平和でいいわね。
一仕事終えた魔女は紅茶を片手に椅子に座っていた。
あの女の子の恋は上手くいったのかしら。
私の魔法で例の男の子の好みがチョコレートで、お嬢ちゃんに気はあるけど、話しかけ方が分からないだけの不器用な子って事は分かったから、チョコレートを作ったら上手くいくとは思うけどねぇ。
惚れ薬もあるけど、そんな紛い物使わない方が良いに決まっているものね。