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96.明かされた理由

 激しかったバタバ村での戦いが終わって、ミーヤたちはまた六日かけて王都へ戻ることになる。行きは王国軍の後をつけて行ったので神経を使ったが、帰りはみんな一緒なので足取りは軽い。


「それにしてもすごい戦いだったね。

 あんなの初めてだったらすごく恐かったよ」


「恐いならなんでつけてきたのよ。

 私とイライザが黙って参加した意味がまったくなくてガックリしてるんだからね」


「それは悪かったと思ってるわよ?

 でもそもそもなんでレナージュ達はこの作戦に参加してたの?

 ずっとジスコで一緒だったのにそんな気配無かったじゃない?」


 その疑問にはイライザが答えてくれた。


「もうずいぶん前から神術師には声がかかってたんだよ。

 神術でバタバ村全体を封鎖するのに相当人数が必要だからってさ。

 王都だけじゃ人手が足りないからってジスコとヨカンドにもな。

 まあ最後は突破されちまったのは悔しかったよ」


「途中まではすごく順調だったのにね。

 あのまま進んでいたら……」


 あの戦いで犠牲になった多くの人たちを思い出すと、ミーヤの胸はチクリと痛むのだった。なにより目の前で人が死ぬのを見たのは初めてだった。さらに言えば仲間が人を殺したのも……


 そう言えばチカマは自分を棄てた相手とはいえ親を殺してしまった。そのこと自体はすでに気にしている様子はないが、人を殺したと言うことは殺人者になってしまったということになる。


 このまま街へ戻ったら殺人者として処罰されてしまうのか。まさかそんなことあるわけない。だってミーヤたちを助けるためにやったことなのだ。



 ―― その夜、ミーヤはチカマを部隊と少し離れたところへ連れて行った。


「ミーヤさま、どうしたの?」


「ねえチカマ? スマメ出してみてくれる?」


 チカマはうなずいてスマメを取り出した。すると――


『赤くなってない! 殺人者にはなっていなかった!』


「ミーヤったら心配性なんだから。

 それだけチカマのことが心配なんでしょうけど、相変わらず焼けるわね」


 はっとして振り向くとそこにはレナージュが立っていた。二人でこっそりやってきたはずなのにつけられていたらしい。いや、他の誰でもなくレナージュで良かったのかもしれない。


「きっと殺人者になったんじゃないかって心配したんでしょ?

 でもね、殺人者を殺しても殺人者にはならないのよ?

 この戦いの前からそうだったかもしれないけど、少なくともあの時に戦士団員数人は殺してたからね。

 だから心配する必要なんて無かったってわけ」


「そっか、そう言うことだったのね。

 やっぱりレナージュは物知りで頼りになるよ」


「それよ! そうやってなんでも聞いていちゃだめだと思って少し突き放したってのもあるのよね。

 今回みたいに自分たちで考えるってのも大切だからね。

 あとね、考え込むのと考えるのは違うってこともわかって欲しかったのよ」


 難しいことはよくわからないが、チカマと二人になってからはなんでもミーヤが決めなければならなかった。それがくだらない内容だったとしても、自分の意思で自分たちの方向性を決めると言う経験になったことは確かだ。


「でも私にはまだまだレナージュが必要なのよ!

 だからこれからも――」


「あら、そんなことわざわざ言わなくてもいいわよ?

 だって私たちは戦乙女四重奏の仲間じゃないの」


 レナージュからその言葉を聞いたミーヤは、いてもたってもいられずおもいっきり抱きついてしまった。まったくどうも最近、誰にでも抱きついてしまう良くない癖が出来てしまった気がする。でも他の感情表現が思いつかず、ついついくっついてしまうのだ。


「ミーヤったらホント甘えん坊なんだから。

 でも大分汚れてしまってせっかくきれいな白い毛皮が台無しね。

 帰ったらみんなで水浴びしましょ」


「そうね、なんだかすごく久し振りな気がして楽しみだわ。

 そう言えば、王都の宿屋の水浴び場は外から水が流れてくるんだから凄いわよね」


「あれはいいわね、ジスコももっと井戸を作ればいいんだろうけど難しいのかもね。

 あの仕組みは大農業都市のトコストならではなのかもしれないわ」


「でもカナイ村みたいな釣瓶式(つるべしき)の井戸よりはマシよ。

 ジスコならレバー動かすだけで水汲みができるんだもの。

 あれも村へ持ち帰りたいくらいよ」


「まったくミーヤはいつもカナイ村のことばっかりね。

 あんまり楽しそうに話すものだから、私もカナイ村までついて行こうかって思うこともあるわ」


「いい考えじゃないの。

 そしたらきっと楽しく過ごせるわよ。

 なんと言っても、マールが作るのウサギのシチューは絶品なんだから!」


「ミーヤさまいっつもマールの自慢ばっか。

 ボクだって役に立てるのに」


「チカマったらヤキモチ焼いてるの?

 それぞれにそれぞれの良さがあるんだから気にしちゃだめよ?

 今回だって私たちのこと助けてくれたじゃない。

 私、すごく嬉しかったわよ」


「そうよね、アレは凄かったわ。

 あんな強い術師を一撃で真っ二つにするなんて驚いたわよ」


 レナージュがミーヤの言葉に賛同してくれたのがよほど嬉しかったのか、チカマは上機嫌で聞き返してくる。こういうところがまたかわいいのだ。


「ボク凄かった? えらい?

 ミーヤさまの役に立てるくらい強くなれて良かったあ」


 誤解も解けてすっかり元通りの仲になったミーヤとレナージュは、チカマも交えて夜遅くまでたわいもない話を続けたのだった。


ここまでお読みいただきありがとうございます。

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