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魔力無しで家を追放されて婚約も破棄された令嬢が炎の魔女様と共に帝国の皇帝となるまで~けれど、皇帝陛下はわたくしを愛していらっしゃったそうですわ~  作者: カイロ
前編 追放令嬢フィアラ編

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新天地ですわ~!!

「……なんか、今背筋がゾクっとしたんだが」


 なにかを怖がる様子で、ロズバルトは唐突に周囲を警戒するように見回し始めました。


「どうなさいましたの~?」

「いや、身に覚えのない理由で誰かに恨まれたような気がすんだけど」

「反乱軍なんてやってたんですから、普通に誰かに恨まれてたんじゃないです?」

「否定はできねえ……。襲撃前に潰されたしたけどよ」


 すぐに落ち着くと、ロズバルトは元の調子に戻りました。


「それにしても、ここはとっても薄暗いですのね~」


 明かりのない森の中、石造りの建築物を見上げてわたくしは呟きます。

 皇帝陛下から逃れるため、町から出て行ったわたくし達4人。向かった先は、人里離れた森にある小さなお城でした。


「昔、帝国が占領した国の廃城だからな。立地が悪いせいで使われねえまま放置されてんだ。部下から聞いて、何かに使えるんじゃねえかと場所は覚えてたんだが、役に立ったな」

「なるほど~。……あら!? ということはわたくし達、これからお城で暮らしますの~!? まるでお姫様みたいですわ~!!」

「はは、姫さんにはぴったりかもな」


 高~い石壁に四方を覆われたお城の門までやってきました。

 オルフェットが門を押したり引いたりしますけれど、びくともしません。


「これ、鍵がかかってるのかな」

「あ、任せてください! 私が開けちゃいます」


 そう言ってカトレアが代わると黒鉄の触媒を手に装備しました。

 鋼の拳を打ちつけると、鍵のかかった城門は倒れるように開いていきます。


「よし、開錠完了です」

「開錠ってより壊倒、って感じに見えるんだが」


 門から鉄のカーペットに変わったものの上を歩きながら、わたくし達はお城の中へと入っていきました。

 お城の扉は鍵もなく普通に開きましたので、カトレアの出番は無しで済みました。


「わ、真っ暗だ……」

「何も見えませんわ~!」

「お任せくださいフィアラさん!」


 今度は城内が非常に暗く、待ってましたとばかりにカトレアが炎の魔術で明かりを拵えます。

 窓のない室内を隅まで照らしていき、城内の全貌が見えてまいりました。


「まぁ~、大きな絵画~!」


 入ってすぐ、上階へと続く階段の上の壁にとても大きな額縁が飾られていました。

 そこに納められているのはこのお城の主でしょうか。雪のように綺麗な髪色に黒瞳の、年若い方の肖像画が。


「あんまり王様って感じの歳には見えませんね」

「ヴァンパイアだったらしいからな。あんまり老けねえって聞くから見た目よりも歳はいってるだろうぜ」

「あら~。ではここは吸血鬼たちの国だったのかしら~」


 なんと、ここは恐ろしいヴァンパイアの住まう城だったようです。

 廃城になっておりますので、もうお会いする事はないのかもしれませんけれど。


「え……なら、そのヴァンパイアに襲われたり……」

「以前はそうなってもおかしくなかったろうなあ。かなり凶悪なヴァンパイアだったそうだからな。まあ、城主はとっくの昔に封印されて、他のヴァンパイアも討伐されたそうだからなあ。今はもう誰もいねえさ」

「それは少し残念~……あら、オルフェット?」


 ヴァンパイアがどんな方だったのかちょっぴり気になりますのでがっくりします。

 そんな時、オルフェットが震えながらわたくしに体を寄せてきました。


「血、吸われるの……怖いです」

「あら、可愛い事~。大丈夫ですよ、わたくしがおりますからね~」

「そんなに怖いです? 私なら燃やせるし別に怖くないですけど」

「まあカトレアがいりゃあヴァンパイアもそんな怖くねえか。こんなところにいるとも思えねえしな」


 埃をかぶった室内を見ながらロズバルトは仰いました。

 仮に全てのヴァンパイアが討伐されていなかったとしてもまるで誰かが過ごした形跡もありませんし、ここには確かに存在しないでしょうね。

 怖がるオルフェットを抱き寄せて慰めて差し上げます。


「とりあえず、掃除すりゃ使えそうなのは助かるな。しばらくここで過ごすとして、まずは寝床探して綺麗にしねえとな」


 ロズバルトに頷き、わたくし達はまずこのお城のお掃除に取り掛かる事になったのでした。

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