表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔力無しで家を追放されて婚約も破棄された令嬢が炎の魔女様と共に帝国の皇帝となるまで~けれど、皇帝陛下はわたくしを愛していらっしゃったそうですわ~  作者: カイロ
前編 追放令嬢フィアラ編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/121

見回りですわ~!!

「よう、どうだ、何か変わった事はあるか?」

「ロズバルトさん! いえ、特に異常はありませんぜ!」


 町に出たわたくしとロズバルトは各所を回り、反乱軍のメンバーの方々が何かトラブルなどに遭っていないか声をかけ、順に見て回っている最中です。

 やはりリーダーというだけあって彼はしっかりと顔を覚えられているようで、反乱軍の方々からの反応は信頼感を感じられるものでした。

 そしてわたくしへの反応は。


「……なんだアイツ?」

「知らねえ。新入りか? 戦えるって感じに見えねーけど」

「昨日酒場で騒いでたヤツだ……なんでロズバルトさんと?」


 ある程度分かっておりましたが、わたくしへ向けられるのは不審の目。皆様小声でわたくしの正体を囁き合っているようです。


「ああ、こいつは」

「ごきげんよう~! わたくしはフィアラ……リズモール・アルヴァミラ! あのラグレイズお父様の娘でしてよ~!!」


 事前にこの見回りの目的も聞いておりましたので、わたくしは声高らかに名乗ります。

 これは町の異常を確認するための巡回ですが、同時に捕虜であるわたくしのお披露目も兼ねています。ですのでしっかりとわたくしの存在を印象付けなくてはなりませんからね。


「っ!? アルヴァミラの!?」

「あの『太陽』の……!? てめぇ、何しに来やがった!?」

「ひゃあぁ~!?」


 わたくしの名を聞いた彼らは、鬼のような形相になって一斉に武器を突き付けてきました。

 どうやら、わたくし以前にお父様への印象が悪いようです。考えてみれば陛下を除けばベラスティア帝国の最高戦力なのですし、その娘を警戒するのは仕方ない事でしたね。

 彼らが凶行に及ぶ前にロズバルトがわたくしの前に立って制止に入ってくださいました。


「待て待て! こいつは捕虜だ、手荒な真似はするな」

「捕虜? ……まさか、攫ってきたんですか?」

「そうじゃない。そこのやつも言ってたが、酒場で目立ってた所を捕まえたんだ。今はおとなしく俺達の作戦に協力してくれてる」


 ロズバルトが説明をしてくださると、皆様納得して武器を収めていきます。


「んだよ、そう言う話か。驚かしやがって」

「まあラグレイズの後継者が人質にできたってんならやりやすくはなるか……」


 後継者ではないんですけれども。

 ですがそこを詳しく説明してもまた反乱軍の方々にいらぬ不安を抱かせてしまうでしょうから、伏せさせていただきます。

 ロズバルトも同じく彼らの言葉を訂正しなかったので、これで正解なのでしょう。


「……そういう事だ。今はこの姫さんの周知も兼ねて見回りしてる」

「お疲れっす」

「俺らの方でも伝達しときます!」


 それからロズバルトは足りない物資などがないかも確認して、それが終わると次の地点へと歩き出しました。


「……きちんと言っておかなかったのも悪いが、姫さんの親父は俺達にとっちゃ有名人だ。あんたの事は俺から説明するから、あんま不用意に名乗らないでおいてくれ」

「うう~、申し訳ありませんわ~……」


 とほほ、ロズバルトのお役に立とうと思ったのに、早速ご迷惑をかける結果に。

 その後もわたくしは彼と共に町を歩いて回り、反乱軍の方々にわたくしの事を紹介していただいていきます。反省を生かしまして、あまり言葉は発さずロズバルトに合わせて静かな一礼をする程度に留めました。

 結果、先程のような衝突も起きずに町を1周し終わりました。


「いっぱい歩き回りましたわ~」

「ご苦労さん。腹でも減っただろう、食いたいものがあれば買ってやるぜ」

「あら、いいんですの~!?」


 見回りを終えるとロズバルトはそんなことを言ってくださいます。

 町中を歩いたので、わたくしももうすっかりくたくた。当然お腹も相応に減っておりますので、遠慮なくご厚意に甘えさせていただきます。


「でしたら甘~い果実が食べたいですわ~。リンゴで喉を潤したいですわ~!」

「リンゴかぁ……」


 今のわたくしはそんな気分。なのですけれど、ロズバルトは途端に渋い顔をなさってしまいました。


「あら~……? もしかして、この辺りだとお高いお値段だったりいたしました~……?」

「いや……そういう訳じゃないんだが。ただその……この辺りで果実を売ってる店があったかどうか、覚えがなくてな」

「そこでしたのね。でしたら別のもので構いませんわ~! どうしても、という訳ではありませんもの~!」

「……そう言って貰えて助かる。じゃあ、この近くの料理屋にでも適当に」


 ロズバルトが歩き出そうとした時、すぐ近くで「うわあああああああああっ!!!」という絶叫が。

 それと同時に、叫び声の聞こえた方からは空高くまで伸びあがった巨大な炎の柱。


「おおおっ!? な、なんだあいつは!? 訓練場の方から……!? まさか、帝国の連中がもう俺達に気付きやがったのか!?」

「あ~……いえ、今のはですわね~、わたくし心当たりが」


 帝国軍の襲撃を危惧していらっしゃったロズバルトですが、火の手が上がったのは訓練場と聞いてわたくしは何が起きたのかを察します。

 そんなわけでお食事の方は一旦後回しという事にして、ロズバルトと共に魔術師の方が集まっているという訓練場へ向かうのでした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ