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魔力無しで家を追放されて婚約も破棄された令嬢が炎の魔女様と共に帝国の皇帝となるまで~けれど、皇帝陛下はわたくしを愛していらっしゃったそうですわ~  作者: カイロ
前編 追放令嬢フィアラ編

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17/121

囚われの姫ですわ~!!

 それから一夜が明けまして、朝となりました。

 わたくしたちはロズバルトの率いる反乱軍の一員となり、本日から彼らに協力していくのです。

 と言いましても、わたくしは捕虜という扱いですので、何をするというわけではありませんけれど。


「……いいですかフィアラさん、何かされそうになったらすぐに大声で私を呼んでくださいよ? すぐ助けに行きますから」

「心配性ですわね~カトレアは」


 わたくしに物凄く真剣な顔でカトレアが囁きかけてきます。

 一時的に別行動になってしまうのが不安なのでしょう。今日は他の魔術師の方々との訓練に参加する事を命じられているのです。


「俺にも聞こえてるんだが」

「ふん、聞かせてるんです。あなたが昨日フィアラさんを見ていた目、怖かったですもん。……絶対気をつけてくださいねフィアラさん、隙を見せたらえっちな事されちゃいますよ」


 わたくしの隣のロズバルトに聞こえるように忠告をしてくれました。けど最後のはどちらかといえばカトレアの事のような……。


「俺がんな事するわけないだろ! いいからお前は早く魔術部隊との戦闘訓練に行ってこい!」

「い、行きましょうカトレア様。僕も時々見に来ますから」

「あぁー、不安ー……」


 オルフェットに引っ張られ、カトレアも渋々ながらに外へと出て行きました。その間もずっとわたくしの方へ何度も視線を送ってきましたけれど。

 あれほど不安になるのも分からないではありません。ロズバルトが初めてわたくしの顔を見た時、なんだかずっと不自然な事をしていましたから。

 ですが、わたくしはお父様を足止めするための駒としてここに置いていただく事になっているため、そのお父様を怒らせるような真似はされないはずですから、彼女とは反対にわたくしは落ち着いております。


「……昨夜の件については、悪かった。姫さんの仲間に変な心配させちまったみたいだな」


 ロズバルトは疲労の色濃い顔を申し訳なさそうに歪ませてそう言いました。

 どうしてカトレアがあれほどまでに警戒しているのかは彼も察しているようです。


「カトレアは少し気にし過ぎだと思いますけれど、わたくしもあの時は驚きましたわ~。結局、ファルメリアという方はどなたでしたの~?」

「それは……。……まあ……なんだ、気にしないでくれ。聞いた俺の方が馬鹿だったんだ」


 何かを言いかけたロズバルトでしたが、途中でやめてしまいました。それはそれで気になってしまうんですけれど。

 さぞゆうべの行いが悔やまれるのか、ロズバルトは深い溜息と共に、その顔をより暗くしてしまいました。


「それと、念のため言っておくが姫さんをどうこうしようなんざ思ってない。あのカトレアってのが気にしてたような事はしないから、安心してくれ」

「も~、言われなくっても分かっておりますわ~!」


 最初からわたくしもそれは理解していました。反乱軍なんてとっても悪い事をなさっているロズバルトですが、そんな事をする方には見えませんでしたから。

 ひどく疲れ切ったお顔ではありますが、彼からはどこか優しさのようなものを感じる気がするのです。


「それで、わたくしはどうしたらいいのでしょう? この家でじっとしていてもよろしいのですけれど、ロズバルトのお仕事があるなら一緒にお手伝いいたしますわ~」

「おいおい、捕虜の姫さんが外に出ようってのか? まさか逃げる気じゃないだろうな」

「逃げませんわ~! 言ったでしょう、わたくし皇帝にならなくてはいけませんの。ですからお手伝いできることがあるなら何でもいたしますわ~!」

「……まあ、やっておきたい事はあるから、そう言って貰えるのは助かるんだが」


 皇帝陛下を倒すため、わたくしはこの反乱軍を少しでも強くしなければなりません。

 それがわたくしの参入によって滞った業務のせいで帝国軍との戦いに敗れるような事があっては本末転倒。なのでここは少しでもロズバルトのお役に立って差し上げなければ!


「なら、町の見回りに行くから一緒に来てくれ。ついでに姫さんの顔を仲間たちにも見せとかないとな」

「わかりましたわ~!」


 こうして、わたくしはロズバルトと共に町へと出ることになったのでした。


「……ところで、わたくしの事を「姫さん」って呼ぶのは決定事項ですの~?」

「反乱軍のリーダーが言うのもどうかとは思うが、何の力も持たねえあんたが皇帝になろうなんざやっぱり夢見すぎに思えるしなあ。……それとも、フィアラ姫とでも呼ぼうかい」

「っ!!! それもアリですわね~!!」

「いや、冗談なんだが」

「おほほ、分かっておりますわよ。わたくしがならなくてはいけないのは皇帝ですもの。ですからお姫様になるとしたらロズバルトですわよね~」

「……冗談なんだよな」


 お姫様というのも素敵ですが、やはりわたくしは契約のために皇帝にならなくてはなりません。仕方ないですが、そちらは諦める事にしましょう。

 そしてフィアラ姫という呼び名も惹かれるものがあったのですけれど、ロズバルトは結局「姫さん」で通す事にしたようでした。

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