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塾帰りに異世界召喚に巻き込まれました。化学の教科書でどうしろと?

塾帰りの男子高校生は召喚に巻き込まれ異世界の無人島へと飛ばされてしまった。チートは鑑定。所持品ボーナスで錬金術師みたいな事ができるみたい。彼は無事に生き延び世界を謳歌出来るのか? 1章は無人島生活です。

 拝啓。父上、母上。どうやら僕は1人、無人島にいるようです。

 スマホは圏外。手荷物は今日の塾でしていた参考書と筆箱ノートに飴玉、それとコーラ。

 参考書は化学です。化学のテキストと資料集と化学反応式と反応経路図。今日は化学を重点的にやる気分でした。


 優等生3人組が歩いている横を僕がすり抜けようとした時でした。

 不意に優等生3人組の足元に謎の魔法陣が表れて、その魔法陣の端に僕が乗ってしまったのです。

 光に驚いて立ち止まってしまったら、魔方陣に巻き込まれてしまったみたいです。

 半端に乗っていたせいで僕だけ変なところに飛ばされた……というのがお約束でしょうか?


 僕は気が付いたら山の頂上にいました。ちょうど小高い石の上にぽつんと立たされていました。

 辺りは暗く星が数え切れないくらい見えました。田舎でもこれほどたくさんの星は見えないだろうと思うくらいにです。

 星明りの中、石の上から辺りを見回しても文明の光や人工物は欠片も見当たりません。


 夜が明けるまでその場から動かず辺りを観察していましたが、星明りで見えるのは木ばかり。

 暑くも寒くもない気温ときれいな星に圧倒されて恐怖はあまり感じませんでした。

 言ってなかったですが元々ボッチなので孤独耐性は高いのです。


 夜が明けて遠くまで見えるようになると、四方が海に囲まれている事に気づきました。

 遠くに別の島が見えるわけでもなく、一番高い山の上に僕がいたのです。

 これは人がいる可能性を捨てた方がいいでしょう。文明の光は見えませんでしたし。


 ……。これなんてクソゲー?

 雑学も運動も取り得も何もない男子高校生を1人無人島に放置? 殺す気か?

 空が青いなー……。くっそ。つら。

 真面目ぶった口調で冷静を気取ってみたけど……つらっ!


 飴玉は貴重な糖分だから節約しないとな。

 とりあえず動けるうちに行動しないとすぐ死ぬ。飢えて死ぬ。

 水分も飲みかけのコーラだけとか終わってる。


 絶望したところですぐ死ぬわけじゃないのが現実のくそなところ。

 餓死? 渇死? つらいわ。海の水を飲んで溺死? そんな苦しんで死にとうないわ。

 謎の関西人が出現したところで真面目にどうしようか?


 ひとまず雨が降ったらずぶ濡れになるから屋根が欲しいな。

 クマが出るかもしれない森の中に深く分け入るのは危険だ。

 都合のいい洞窟はほかの動物の住処になっている可能性が高い。


 森の浅いところから枯れ木でも落ちてないか探すのが先決か? どうやって火を起こす?

 そういえばダニとかに刺されるの怖いな。ズボンの隙間から中に入ってきて刺されるかもしれない。

 ださいけど靴下の中にズボンを入れるか。異世界のダニがズボンや靴下の障壁を超えて刺してくる事がないように祈る。


 僕が乗っていた黒い大きな石は硬くごつごつしていて、足をかけるところに事欠かなかったので簡単に降りる事が出来た。

 夜間に降りようとしたら高さ的に足を折っていた可能性がある。

 足を折ったら何もできずに終わっていただろう。余計な事をしなくてよかった。


 周囲に他の島が見えないし、この黒い石といい、ここは火山島なのだろうか?

 草木がある事から見えなくても近くに最低でも鳥が飛んでこられるくらいの距離に他の島がある事はわかる。

 海鳥の類が他の島で果物を食し、その種を糞と一緒にここでばらまいた結果がこの島のはずだ。


 となれば海鳥が来る方角や行く方角を知る事が出来れば別の島に行く事ができるはず。

 まぁ、ここまでは考えればわかるとして、どうやればこの高所からでも見えないくらい遠い島に行けるんだ?

 別の島に着いたところで人がいる保証はないし、話せる保証もないんだぞ!

 会えたとしても最悪殺されるからな! 歴史にならえ!


 それにいかだで漂流? 食料とか水どうやって確保するんだよ! 海流に乗っていくとしてもどれだけ離れているかわからないんだぞ! 1週間で済む保証なんてない!

 嵐に飲まれて海の藻屑になる可能性の高さを考えてみろ! 死ぬ気か!

 あーもうっ! 考えれば考える程詰んでいるじゃないか!


 この島で生活していくのが無難だよな。

 でも何がいるかわからないこの島で生きていけるの?

 うわ、つら。からいわ。


 所持品が化学の参考書か。英語の参考書よりかはましか。

 現国の参考書でゴブリン相手に言葉を教えてとか、社会の教科書で異世界国家を建国とか、数学を使って経理を管理して商業無双とか、まだ夢があるかもしれない。

 出来るかどうかで言えば砂漠に落とした金粉を探す並みの難易度だろうけど。


 そう考えたら化学の参考書でまだ良かったかな。

 サバイバル能力はないに等しいけれど、死ぬまでの時間に色々模索できる。

 とりあえず衣食住の住をどうにかしたい。


 ……そういえば魔法陣の端に僕引っかかってここに来たんだよね?

 異世界特典で特別な能力とか付いてきてないかな? 魔法とか!

 ステータスって言ったらステータスが開くとかしてほしい。やるか。


「ステータスっ!」


 何をしているのか? この異常事態にテンションがおかしくなっているんだ。

 この絶体絶命の時に正気を保っていられるか! いられない! いてたまるか!

 実は余裕あるだろ? いや、一晩呆けたら一周回ってひっくり返ったか!


 ……目の前に表示が出ているんだけどこれマジ? 僕の時代来た!

 ガラス盤が浮いている様に見えるんだけど触ろうと思っても触れない。

 これは他人から見えるのだろうか? 反射が全然ないな。本当の意味で透明だ。


 ま、まぁ、いいや。ふぁんたじーばんざい。ご都合主義万歳。

 この緊急事態にご都合だなんだ騒ぐヤツがいたら僕がぶっ飛ばす!

 てめぇは1人で自殺旅行でもしてろ! 僕は死にたくないっ!


 冨士井 晋太郎(冨士井 晋太郎)

 男性17歳(男性14歳)


 カッコ内は何の表記だ、この野郎。精神か? 精神か? 精神中ニ病といいたいのか!?

 あー。対人経験低いですし、精神未発達とか言いたいんですかねぇ。屈折野郎か。

 まぁ、いい。ツッコミは置いておけ。


 アイゴロス島 岩山 頂上

 身長 168センチ

 体重 55キロ

 魔力 10グラム

 握力 20キロ(40キロ)

 腕力 30キロ(50キロ)

 脚力 80キロ(100キロ)

 走力 時速7キロ(秒速6メートル)

 安定 E


 ……。なぁ、普通ステータスってatkとかじゃないの?

 いやわかりやすいよ? 具体的でいいと思うよ? でもそこはファンタジーをくれよ!

 あと魔力! おまえ、グラム単位なのかよ! 質量あるのかよ!


 魔力自体は嬉しいのに、この何? 喜びにくい感じ……。

 多いのか、少ないのか分からないし……。ファンタジーがファンタジーしていない。

 このなんちゃってファンタジー、どうにかしてくれよ!


 まぁいい。アイゴロス島? この島の名前なのか?

 これは何を意味しているんだ? 現在地か?

 あと安定とかカッコ内表記とかが意味分からん。


 カッコ内は瞬間的に出せる力か? 普段発揮している力が20キロとか?

 ……。数値的に転移前となんら変わんねぇ! 転移特典はないの?!

 なぁ、総じて酷くないか? 殺しにかかってないか?!


 へい、ステータスの兄ちゃん! スキルとかないの?


 スキル


 孤独耐性(熟練度 20)

 ケモナー(熟練度 30)

 活字中毒(熟練度 30)

 鑑定(熟練度 0)※持ち物ボーナス

 分離(熟練度 0)※持ち物ボーナス

 調合(熟練度 0)※持ち物ボーナス

 合成(熟練度 0)※持ち物ボーナス


 ……。悪かったか。ケモナーで活字中毒だよ。スキル化するな!


 しかし持ち物ボーナス? 所持しているから使えるスキルがあるという事か?

 これはけっこう優良なチートでは? いい特典だろ!

 鑑定チートってよく話になるし! これは勝つる!


 石。

 アイゴロス島の石、火山岩(玄武岩)

 組成、二酸化ケイ素、アルミナ、酸化カルシウム、酸化鉄、その他


 知ってた。僕の物語、ファンタジーを簡単にはしてくれない。







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