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唐揚げ食べたい

昨日は休んでしまってすみません

サブタイは今の気持ちではないです。本当です。

「あの……困るんだが」


 俺は今、二人組の男に路地裏に連れ込まれていた。両手を掴まれて、道も塞がれている。


「いいじゃんいいじゃん」


「俺たち暇してんだよ」


 くそっ、急いでるからって人通りの少ない道に入ったのは失敗だった。いわゆるナンパというやつだろうか。にしては少し強引な感じである。ってか俺の現在の見た目は中学生だぞ?犯罪だ犯罪!


「残念ながら俺は暇じゃないんだ」


「へぇ、俺なんて言うんだ」


「俺たちがちゃんとした言葉遣いってのを教えてやんねえとなぁ」


 キモイキモイキモイ。まじかよ本当にこんな人種がいるのかよ。俺はゾワゾワと鳥肌が立ってるのを自覚しながら、目の前のチャラ男その1をにらみつける。


「急ぎの用事があるんだけど」


「なんだ?男か?」


「もっといいこと教えてやるよ」


 ふーん、なるほどそっちは引く気はないと……?仕方ない通報を……あっ俺手首掴まれてるからスマホ取り出せないじゃん。


……もしかして詰んだ?



=*=*=*=*=



「くっ殺せ……!」


 その人影はうなだれながら、そう言った。


「もう嫌だ。家に帰らせてくれ。もう、もうコレ以上は無理だ」


 その声はか細く、震えていた。もうその人物にプライドなどというものが存在しないということが顕著に現れている。


「いいや、ダメだね」


 その声の主は、無慈悲に、口角を上げてそう返した。


「四暗刻、役満だ」


 コトリと音を立てて、麻雀牌が倒れる。


「嘘だぁ」


 クククッ、年季が違うぜ坊やどもめ。いったい俺がどれだけ麻雀にかけてきたか知らないからこんなことになるんだ。おっと現金は賭けてないから安心してくれよ?


「さてと、両方ともマイナスまで吹っ飛んだわけだが、どう落とし前をつけてくれるんだ?」


「ひっひぃ!」


「お助けぇ!」


 そういって男二人組は、部屋から飛び出していってしまった。逃げ足が早い奴らだ。


「ああもう、こんな時間か。ちくしょうタイムセールのがしたな」


 思った以上に熱中してしまった。久しぶりの麻雀だったからな。スーパーによりつつ、今晩の献立を考える。久々に魚を食べたい気分だな。みりん干しに豚汁の組み合わせとか、食欲がそそられる。


「ああくそう、スーパーの前に移動販売車が構えるのは卑怯だろ……」


 今日は唐揚げ屋さんが、その香ばしい油の匂いでスーパーの入り口を行き交う客の足に鈍化のデバフをかけている。


「くっこんなのに負けてたまるか……」


 俺は鋼の意思を持って、唐揚げ屋さんをスルーして店内へと入る。やりとげた俺はその達成感で完全に忘れてしまっていた。


 入り口であるということは、出口であるということに。


「嬢ちゃん、今なら鶏皮の唐揚げもオマケしちゃうけどどうだい!」


「あっそれじゃあ軟骨ともも肉を一つずつ~♪」



=*=*=*=*=



「ということがあったんだ」


「……どこからツッコめばいいんですか」


 おいおい魔法少女。そんな問題児を諭そうとする新任教師みたいな顔しないでくれよ。それともそんなに晩飯がみりん干しから唐揚げ盛り合わせに変わったのが嫌だったのか……?


「いえ、唐揚げは別にいいんですが」


「あっそうなんだ」


「お兄さん、今自分が変身しなければただの非力な女子であることを忘れてません?何ですか男二人組に絡まれるだなんて」


「あっはい……ごめんなさい」


「わかればいいんです、まったくもう」


 仁王立ちする魔法少女に、俺は正座させられていた。


「……?」


「ん、なんだ?」


 魔法少女は足がしびれて動けない俺に突然近づいてくる。そしてしばらく鼻をすんすんと言わせたあと、珍しく嫌そうな表情を表に出した。


「お兄さん、タバコ臭いです」


「えっ……?」


 そういや麻雀しに入った部屋には吸い殻があった。たぶんそこで匂いが移ったのだろう。


「自由にしていいとはいえ流石にどうかと思います」


「いや待て、そのなんだ、吸ってるわけじゃないぞ?」


「……」


「なんで疑いの目をかける!?いっておくが昔も吸ってなかったぞ」


「へえ、意外ですね」


 まあタバコ代を別の費用にあててたからな。オタ活とか食費とか。


「それより、先にお風呂にしませんか?その匂いのままというのもどうかと思いますし」


 まあいいか、唐揚げは温め直せばいいしな。


「ほら、早く脱いでください」


「ちょっ待て、なんだよいきなり」


「本当に何もされないか確認させてください」


「おいおい、俺を疑ってるのか?」


「お兄さんは……そういうときに限って嘘をつくので」


「なんだそりゃ。そんなことはないだろ」


「自覚してないならいいです。私は着替えとってきますね」


 そういって魔法少女は自分の部屋へと言ってしまった。

 思ってたよりも心配させてしまったらしい。今度からはあまりこういう話は言わないようにしよう。変に心配かけても嫌だからな。


「しっかし、どうしようかなぁ」


 俺はそっとパーカーの袖をまくる。そこには、手首を掴まれたときについた痕がまだ残っていた。風呂となると隠せやしないし、絶対に問い詰められるよな……。



 このあとめちゃくちゃ怒られた。


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