幕間
今回は調子が出なかったので少なめです。明日以降もよろしくです。
前半お兄さん視点、後半魔法少女視点となってます
「お兄さん」
「ん、なんだ?」
何故かまた一緒に入らされた風呂を終えたあと、台所で明日の弁当の準備をしているときだった。パジャマ姿の魔法少女が、珍しく台所へと入ってくる。
「あの……その……」
「?」
言いづらそうである。いったい何だってんだ。
「えっと……昨晩のホットミルクを今日も」
「ああ、いいよ。ちょっと待ってな」
そんなことなら早く言ってくれればいいのに。ったくこれだから最近の若いもんは。なんてね。今はカラダ年齢一緒だし。
「ほら、できたぞ」
「ありがとうございます」
フーフーとしながらちびちびと飲んでいるのを見ると、こうなんだか小動物を飼っているような気分になる。いや待て俺、中学生女子相手にそれはさすがにマズイだろ。
「お兄さん」
「ん、なんだ」
「明日も、また作ってくれますか」
「このくらいだったら全然いいぞ。なんならもっとわがままになれ」
ワシワシと頭を撫でる。俺にも妹がいればこんな感じだったのかな、なんて思った。
「じゃあお兄さん」
「ん、なんださっそくか」
「一緒に寝ましょう?ソファに毛布持ってきてるのはわかってるんですけれど」
「まあ待て、あのソファはちょうどベッドのようで寝やすいから大丈夫だって」
「……わがまま言ってもいいって……」
「んぐぐ、わ、わかったよ」
この後無茶苦茶抱き枕にされた。俺?家事の疲れで速攻で寝た。
=*=*=*=*=
「桃木さん、最近顔色が良くなったわね」
「そうですか?」
私は自分の顔をペタペタと触る。特に昔と変わった様子はない。
「いや、変わったわね」
「どんなふうにですか?」
「そうね……敢えて言うなら恋する乙女の顔になったわね」
「……?どういうことですか」
恋?私が?誰に?
「冗談よ。まあおそらく、そのお弁当を作ってくれてるお姉さんのおかげでしょうね」
「その件に関しては感謝してもしきれないです」
「仲が良いようでなによりだわ。たまにあるのよね、そういった特殊な家庭事情がストレスになる事例が」
「そんなことはないです」
お兄さんには楽しませてもらっている。そんなことはない。
「ねえ、今度紹介してくれない?」
「えっおに……姉をですか?」
「ええ。料理が上手だし、教えてもらいたいなと思ってね」
不可能である。もしお兄さんがくれば、私と瓜二つということで波乱が起きる。
「無理なのね、残念だわ……っと会議があるんだった。留守番お願いね」
そういって先生はバタバタと保健室から出て行ってしまった。
もし突然学校に来るのがお兄さんになったとして、一体何人が気づけるのかな、なんて考えてしまった。
=*=*=*=*=
「へえ、あのジャスティーヌがね」
少女は怪しい笑みを浮かべる。街で一番高い山、その鉄塔から見下ろす夜景は絶景の一言に尽きる。
「楽しくなってきたじゃないの」
【なにかあったんですか?】
「あら、神の使いさん。もう終わったの?」
【ええまあ。私は優秀なので】
「偉いわね」
そういいながら少女は、猫のぬいぐるみの喉のあたりを撫でる。
「さて、帰りましょうか。お腹が空いたわ」
【そうですね】
二人は闇夜へと姿を消す。後には、元通りとなった山頂の展望台のみが残っていた。
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