1話 突如終わった日常
「おーい、累。聞いてくれよ~」
クラスメイトの黒東文也が俺の名前を呼びながらやってくる。
俺こと白藤累と黒東は中学校からの付き合いで、高校のクラスも一緒になった今では腐れ縁のようなものだ。
「昨日買った新刊で凄い展開になってさ!」
「ふむふむ」
興奮しながら昨日購入して読んだ漫画の新刊の感想を語る黒東に適当に相槌を打ちながらスマホをいじる。
「累さあ、人の話を聞く時は相手の顔見なさいって言われなかったかなぁ」
母親のように注意する黒東を黙殺しながら俺はスマホをいじり続ける。
「しっかし、凄いなぁ。この前のコっっ痛ぁぁっ!!」
黒東が全て言いきる前に、空いていた片手で素早くチョップを入れる。
スマホの画面に表示されているのはSNSにアップされたコスプレ画像が数枚。
そう、俺の趣味はコスプレなのだ。このことを知っているのは目の前の黒東と俺の家族だけだ。
中学二年の時に、とあるキャラクターが着ていた服に似た物があった。
俺はそれを着て興味本位で顔を隠してSNSにアップすると、物凄い高評価を受けたコスプレを始めたきっかけだった。
しかし、親の小遣いだけでコスプレが出きるわけはなく、バイトする為に両親に全て話した。
コスプレという趣味に対して両親は偏見を持っていなかったので、二人とも了承してくれた。
「じゃあ、女の子のコスプレをする時は母さんの成人式の振袖貸してあげるね」
この発言を聞いた時に打ち明けるべきではなかったと思ったが、女子キャラのコスプレをしなければいいのだと思い至った。
当初は家族意外には教えるつもりはなかったが、
「わー、凄っげえな!これってコスプレ衣裳じゃん」
俺の家に遊びに来た黒東が、勝手クローゼットを開けたことであっさりとばれてしまった。
「わ、分かった。誰にも言わないから、その日本刀を降ろしてくれ!」
ばれてしまった瞬間に口を塞がないといけないと思った俺は、次のイベントに使う予定の日本刀(手作り)を黒東の喉元に突き付け、他言無用の約束を交わした。
黒東は事実より少し大袈裟に伝える悪い癖があるので、俺のコスプレ趣味にどんな尾ひれがつくかは分からない。
(今思えば、あれは中々英断だったな…)
チョップの痛みなど大したものではないのに、未だに頭を両手で擦る黒東を見てため息をつく。
「ため息つくと幸せが逃げるぞ~」
「一体、誰のせいだろな」
「っっ!酷い、昔は優しい子だったのに……」
時代劇のように制服の袖を目元にあててわざとらしく涙を拭う様にスルーを決め込んだ瞬間―
「きゃあああ!!」
「何だこれ!?床が急に光出したぞ!」
急な叫び声の方に目をやると、眩いばかりの閃光に目を閉じずにはいられなかった。
初めまして、作者の司馬 辰巳です
始めて小説を投稿させて頂くので掲載に間が空くかもしれませんが、暖かく見守って頂けると幸いです。
これから宜しくお願いします。
ちょこっとキャラクター紹介
白藤 累(16歳)
誕生日 1月10日
身長 175㎝
体重 60kg
趣味はコスプレ(男性キャラのみ)
主人公キャラより悪役のコスプレが多い
コスプレ費用を稼ぐためバイトをしているため現
在帰宅部。中学時代は演劇部(小道具、衣裳作り等の裏方)