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僕と彼の異世界征服活動記  作者: らる鳥


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 大聖堂に大穴が開いた音に駆け付けた衛兵達を念動力で蹴散らしてから、僕は秘密結社スコル製の暗視ゴーグルを装着してそのまま地下へと降りる。

 事前に得ていた情報通り、この位置からなら秘匿されていた地下通路へと穴は繋がった。

 カラミティ・クィーンは書庫へ、カミツキガメリウスは宝物庫へ、それぞれ向かう。

 道中で派手に周囲への破壊を行う二体の上級怪人には、多くの衛兵が差し向けられる筈。

 彼等に向かう衛兵が多ければ多い程、起こす騒ぎが大きければ大きい程に、シノビオウルの聖王確保は容易となるだろう。

 それにしても宗教の最高指導者と国の王が同一人物だなんて、浚う手間が一度で済んで実に素晴らしい話だ。

 スパイとして潜り込んでるミヅガネは既に聖王の傍に控えているから、拉致後は速やかに成り代われる。


 尤もルードリム聖教国を聖王のなり代わりに依って間接的に支配したからと言って、ミルクトセイラ国の様に統治はしない。

 僕等はルードリム聖教国を、ミルクトセイラ国の拡大の為に利用する心算だった。


 まぁあまり気持ちの良い話ではないのだが、人が纏まりを得る為に最も手っ取り早い方法は、敵を作る事だ。

 ミルクトセイラ国は戦争後、小国家群を併合する。

 でもミルクトセイラ国自体が秘密結社スコルの支配を受け入れてから、まだ日が浅い。

 国内の混乱が完全に収まったとは言えない状態で領土が倍近くに広がろうと言うのだから、様々な想定もしなかった問題が、数多く起きるだろう。


 故にミルクトセイラ国に纏まりを生む為、ルードリム聖教国には都合の良い敵国であって貰う必要があった。

 特に今の小国家群がある場所は、ルードリム聖教国のすぐ傍なのだ。

 その脅威に備えんとし、ミルクトセイラ国により強く帰属するだろう

 逆にルードリム聖教国と通じようとする者も出るだろうが、通じた先の影の支配者は僕達である。

 ルードリム聖教国への内通は、処分の理由と証拠を自ら差し出すに等しい行為と言えよう。


 勿論最終的にはルードリム聖教国も解体して併合し、聖神教は跡形も残さずに潰す。

 しかしそれはミルクトセイラ国が安定し、フォウン帝国も降した後の、最後の仕上げとしてだ。

 その為にも、光の杖や異世界から勇者を招く方法を強奪してルードリム聖教国の牙を抜いておく事は必須だった。



「それにしてもこれは、いかにもアタリっぽいかな」

 地上の大聖堂は過剰に華美で、僕から見ると俗っぽくすらあったのだが、下へと伸びた簡素な地下通路は、どう見ても鉄筋コンクリート製のシンプルな建物へと通じていた。

 通路の床はタイル張りで、窓枠はアルミサッシ。

 但し窓ガラスは全て持ち去られてる。

 部屋数は多く、広く、部屋の中身も持ち出されてはいたが、かつては多くの机と椅子が並んでいたのだろう。

 徹底してると言うべきか、どうやって運び出したのかは首を傾げざる得ないが、据え付けてあっただろう黒板までもが、引き剥がされて姿を消していた。


 そう、ここは所謂学校の校舎だ。

 どうやら大聖堂は、わざわざこの学校を土で埋めて丘を造り、その上にまるでここを封印するかの様に作ったらしい。


 ならば聖神教は異世界から勇者を招く際、学校ごとこの世界に呼びよせたのか?

 ……その可能性もなくはないが、多分違う。

 だって人間を一人引き寄せるのと、学校の校舎ごと引き寄せるのでは、必要とされるエネルギーはきっと段違いだ。

 またこれが普通の学校なら、校舎の中には勇者以外にも何百人の人が居ただろう。

 しかもその何百人の中には、様々な知識を持った教師が混じる。

 これが中学校なら理科教師、高校なら化学や物理学の教師なんかがこの世界にやって来てたなら、それから何百年も経っているのに未だ鉄の剣や槍で戦ってるなんて、少し考え難い。


 だから僕はこの学校の校舎は、勇者の付属物だと考えた。

 もし僕の予想が当たっているなら、本命はこの学校の、更に下だ。

 僕は校舎の一階と体育館を、下に降りる入り口を探して回る。

 すると体育館の用具入れの床が、一部観音開きに開く様になっていて、設置された鉄梯子を使えば下に降りれる様になっていた。


 そしてその鉄梯子を最後まで降り切れば、やはり予想通りに金属の床と壁に囲まれた、秘密基地が僕を待ち受けていた。

「やっぱり、そうか」

 勿論この基地は僕が造った基地じゃないし、そもそも悪の陣営の物ではない。

 今は土に埋もれているけれど、地上にあった学校は正義の味方側の専用施設で、魔法少女系のヒーロー……、ヒロイン?を手に入れる為の物だ。

 何でも学校を地上に置く事で資質のある学生がそこに通い、契約の為のマスコットや不思議な杖を与えると魔法少女として基地に所属するらしい。


 故に学校を見たら取り敢えず襲撃するのが、秘密基地をつくろうでは悪の組織側のセオリーである。

 学校と言う基地バレし易い施設の設置はリスクでしかないのだけれど、魔法少女の愛好家は正義の味方陣営には非常に多かったから。


 つまりは、そう、聖神教に招かれて魔王と戦ったとされる勇者の正体は、どうやら秘密基地をつくろうの、正義の味方側のプレイヤーだった。



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