幕府天文方恒星間人力安宅宇宙船 新天地に向かう
初めての投稿
うっふふ~
~どきどき
21世紀末
今人類は危機に瀕している!
自然破壊 洪水 台風 戦争 暴動 人口も増えすぎ混乱の極地となった。
唯一の解決策は、宇宙への移住である。
2080年 ワープ航法の開発成功
2140年 初の恒星間移住・ 星歴元年となる。
そして地球環境悪化のため、人類のほとんどが銀河の彼方へ移住していった。
地球に残った唯一の国家は日本・淡路幕府である。
それはなぜか? 海よりも深い理由があったのであった。
21世紀末・日本は先祖返りをして幕藩体制となった。
幕府の誕生である!!
唐突に封建社会に戻ったのである。
幕府が開設した初期時代の政策の一つに義務教育の廃止があった。
そしたら~~
みんなおバカさんになって、ワープ航法を開発できなくなっていた。
あれよあれよというまに他国はワープ航法を開発!!
そして あらら・あららというまに人類は銀河に旅たち我ら日本・淡路幕府だけが ポツンと残された。
いや~~あれだねあれ! 地球人口が減ると環境が改善するものだから、地球が住みやすくなってた。
危険を冒してまで地球から脱出する必要もない!
そういうわけで 日本・淡路幕府は本気にワープ航法開発する気もなくなってしまっていた。
時は星歴280年
ここは高松藩蔵書倉
わたくしは平賀源乱。蔵書奉行をしている。年齢42歳 家族に妻と子がいる。
かの有名な源内の隠し子の子孫。
わたくしの顔は浮世絵の源内そっくりだとよく言われる。
ただいま、蔵書倉で山とつもった蔵書の整理と、デジタル化をしている。
星歴280年の時代でも 古書のデジタル化は終わっていない。
そんな平凡な日常の中。わたくしは蔵書の片隅でゴミが積もって白くなった書籍を見つける。
「きたない本だなぁ」
だがちょっと気になる文字が書かれてたので、ゴミを吹き払い明るい窓際で書籍をよく見てみた。
おおおおっぉお これははは~~
-------------------- 源内からくり銀河伝書 -------------------------
その記述には、当時江戸幕府老中・田沼意次の命で銀河連邦の会合に江戸幕府代表として出席したと書かれているではないか!
銀河連邦とは何である? 宇宙人の連邦組織か!? 気になるところだが・・・
人類が銀河中に広がって280年。 いまだ知的生命体との接触話は聞いたことがない。
そんなことより重要なことが書かれていた。
源内作成と言われる人力恒星間宇宙安宅船設計図!!
この人力宇宙船で会合に出席したのというのか!? なんというか!
無茶すぎる内容 誰かのいたずらか!?
とにかく蔵書奉行のわたくしが見つけた以上 家老に報告する義務があった。
予想通り家老は、ニャッと笑い 偉大なご先祖ですなぁの一言で終わった。
普通なら私も内容を気にしない。 だが祖先の名前を書いていた以上興味が沸く。
自宅は高松市内の郊外。遠くから高松城が見える。瀬戸内海と山に挟まれた気候の良い場所。
自宅前の線路には蒸気機関車が優雅に走っている。
ちなみに見た目は蒸気機関だが核融合列車です。吐き出す蒸気は立体映像で実際には なにも吐き出していません。
設計者の趣味満載の鉄道です。
念のため9の数字が付いていて宇宙に飛び出したりはしません。
休日で晴たので、蔵書倉で発見した書籍の設計図を参考に 日曜大工で宇宙船を作ってみることにする。
西暦時代と違って今の世は人口が減ってるので、個人宅でもかなり大きい庭をもっている。
その庭で トンチンカントンチンカントと西暦時代と変わらない音がしている。
星歴280年の時代 工作はロボットに任せきりにできる。 本当に便利である。
源乱はノートパソコンで制作工程の進捗状況を見てそのつどロボットに作業を命じる。
書籍によれば、宇宙船の外観は木材か・・・ おいおい まじか!
この宇宙船には鉄がほとんど使われてない。
校倉造になってる。 正倉院になってるぞ!
でも!! 若干、鉄が使われている。 エレキテルだ!
ハンドルを回すとエレキテルが電気を発生させ,船中に張り巡らせた銅線で船全体をゼンマイによる防御磁場で包むって江戸時代の技術か!?
無茶ぶりもいいとこだ!!
またもう一つ アドバンスエレキテルなるエンジン部分らしいものがある。
アドバンスエレキテルのライデン瓶に 人間の気を集めるとかいてる・・・・
気って・・・・ どうやってあつめるのだ?
書籍にはライデン瓶につながるケーブルを 手で握り、念を込めるとその人物の発する気がライデン瓶に溜まる。
どんどん気が溜まっていき ついにはライデン瓶が破裂する。
そのとき放出された気が宇宙船全体を飲み込みワープする。
ハンドルと気の力のみの動力源!
人力宇宙船だねって・・・
なんだこりゃ? 偽書じゃないのか? 飛ぶわけないよな!!
源乱は不安になる。
・・・・不安になりつつ宇宙船(安宅船)は完成した。
10台の作業ロボットを使用し製作に2時間、全長12M、幅4M、一本マスト、古風な江戸時代風木目調デザイン、
「見た目はいい」 「見た目だけは・・・」
明るい日差しの中 帆船を眺めつつ庭でゆったりと椅子でくつろぎながらジュースを飲んでいるときに事件が起こった!
息子の源信15歳が庭へ走り入ってきて
「父さん! なにこれ!? 船!?」
そのまま安宅船に入いっていった。
わたくしは 一瞬のことで唖然としたが、これはまずいと思い、
「待て入るな!」
言おうとした瞬間、安宅舟は黄色い霧に包まれ、あれよあれよと消滅してしまった。
そしてそこには、太陽の日差しに照り付けるいつもの庭だけが残った。
唖然としたわたくし・・・・ 頭が空っぽになった。 何が起こったのか!?
はっと気が付き、周りを見た。
庭しか見えない。
「源信」「源信」
わたくしは息子の名前を何度も呼んだが返事がない。
あああーー なんてことだ。 無理だ。絶望だ。 妻の悲しむ顔が浮かぶ。
なんてことを・・・。
先祖は なんてものを残した!
いや! もう一隻作って、あとを追うしかない!
急ぎロボットたちに もう一隻を早急につくらせようとノートパソコンに手をかけた時。
「父さん ただいま」
息子の声がした。
振り返ると息子がいる・・・・ ちょっと待て15歳に見えない。 体が大きく男らしい顔になってる。
え~~二十歳に見えるぞ!!
服装も・・・ なにか中世風の豪華な服・・・
息子の横に見知らぬ女性が・・ 後ろには安宅船が戻ってきた!
「 5年ぶりに無事に帰ってきました。やっともどって帰ってきました 」
「××●●〇〇」
彼女は優雅にカーテシーをこなした。
言葉がわからない。 どなたなんだろ!
「彼女は僕の妻 ギンカヤ連邦エシュタル王国の第二王女エレシュ
罠に掛かって処刑されそうになったところ、僕が救出して・・
そして妻となりました」
息子が消えてわずか5分だが、息子には5年の月日が流れていた。しかも異世界に行ってたそうだ。
ファンタジーな世界だったらしい。
ギンカヤ連邦って 祖先が訪問してたという銀河連邦のことか・・?
異世界へ訪問してたということなのか!!
息子は泣きながら私に抱き着いた。
息子にとっては5年ぶりだが私にとっては5分!!
私はどうしていいか分からなかった。こんなお父さんを許してほしい。
安宅船のアドバンスエレキテルを触ってしまった息子・当時15歳の源信は、彼の元々の才能のためか、
かなりの気がライデン瓶にたまり破裂!!!
そして、安宅船はワープをしてしまった。
目的地に関しては、彼の好きな異世界探検小説が思念となって決定したらしい。
異世界に一人放り込まれた源信は艱難辛苦、曠前絶後、空前絶後、弱肉強食、焼肉定食の末、現地で何とか言葉を覚え、魔法を取得し・・
魔法だって!? なにそれ・興味がわくなぁ
各地の賢者を訪問し、元の世界に戻る方法を何とか見つけだす過程で、
勇者として活躍し、罠にはまった姫君を救出、魔法で敵の大軍を蹴散らし、
異世界で英雄伝説を作り上げ、そして元の世界に帰ってきた。
わたくしは嘘としか思えない話を聞きつつも、5分で15歳から20歳になった息子と、いきなり嫁を見つつ困惑。
ま~いい 問題は私の妻だ。 どう説明するのだ。
その夜・・ 息子の嫁を自宅に招いて・・
怒りと悲鳴を上げる妻と 半泣きのわ・た・く・しと この世界を興味ありげに息子に質問しまくる息子の嫁・・
カオスザハウスin高松
息子の嫁エレシュ姫は処刑されかけたこともあって元の世界には帰らないらしい。
息子もあちらの世界には戻りたくないと言ってた。
この事件を家老に報告したら 嘘をつくなと怒られたが・・・・・ 次第に真実と分かり それから幕府に報告・・・
わたくしはこのワープ船の製作者として幕府天文方に栄転し異世界との運航業務を務めている。
息子源信は問題ありとはいえ姫君を妻にしたことから旗本2000石として・・・どこかの村を領地としてもらったそうだ。
江戸時代のころとは違い、旗本の領地は名目的で実際領地経営はしない。
地球に唯一残された国家 日本・淡路幕府はこうして夢のワープ技術を手に入れた。
ただし他の人類国家とは違って、異世界への航行技術だったが・・
SF・宇宙・近未来・時代劇・ローファンタジー・ハイファンタジー・異世界 ものを全部いれました!!