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そう言えば他にも異世界召喚されてたっけ。

眩い光が収まったかと思った頃、声が聞こえた。


「ようこそお越し下さいました、勇者の皆様。」


中世の城の一室の様な部屋に、ブロンドヘアーで巨乳の絶世の美女とその人を守るかのように兵士風の男達が武器を構え、自分たちを取り巻く漆黒のローブにフードを被った怪しげな者達。


「こ、これは?何が起きている?」


榊は呆然と呟く。それを聞いて周りのクラスメイト達もざわつき始める。


「突然のことで少し驚いてしまうのも無理は無いかもしれません。これから王が貴方達の現状について説明しますので、付いて来て頂けますか?」


「待て!突然何なんだ!せめて名前ぐらい名乗れ!」


女性の言葉に金剛が少しズレた怒りをぶつける。


「これは申し訳ありません。私の名は、ローゼン。ローゼン・クルーア・バルセ・アイルフェンと言いますわ。以後お見知り置きを。では、参りましょう。」


そうして、今度は有無を言わさない態度でローゼンは歩いて行く。


「仕方ない、とにかくみんな付いて行こう。」


榊がそう言うなら、と渋々ながらクラスメイト達も付き従う。


ふかふかの絨毯を数分歩くと人が何人並んでも入れそうな巨大な扉が目に入る。


「さぁ、あちらに王が居られます。勇者様が参られました。扉を開きなさい。」


榊達に言い聞かせた後、高らかにそう宣言すると、重厚な扉が音もなく開く。扉を潜ると、真っ赤な絨毯の両脇を豪勢な服を着た肥えた男達が並び。その先の数段高い所にある豪勢な椅子に座るまたよく肥えた人物の前で止まるよう指示され、そこに立ち止まった。


「良くぞおいでなさった勇者様。このアイルフェン王国を代表して、この私、アルベスタン・ウルス・バルズ・アイルフェンが感謝を申し上げますぞ。」


その肥えた人物は、人の良い笑顔で優しく言葉を紡ぐ。


「突然の事でさぞ驚いたでしょう。誠に勝手ながら我々が貴方達をこの世界に呼び寄せました。その理由は、魔王が復活したからです。この魔王は魔物や魔族を従え、我々人族を奴隷にしたり惨殺したりと人族の存亡を脅かす存在なのです。我々も兵士や冒険者たちの力を借りて、何とか食い止めようとしたのですが、国民の被害は増える一方で、やむなく伝説と謳われる勇者召喚を行いまして、勇者様に魔王を討伐して頂きたいのであります。」


「な、なんだそれは!ふざけるな!」


「そうよ!そうよ!そんなの知らないから私たちを帰しなさいよ!」


魔王だの魔物だのと聞きなれない単語を耳にし、尚且つ、身を粉にして戦えと言うのだ、そんなもの堪ったもんじゃ無いと、金剛などを筆頭に、口々に叫ぶ。


「戻るには、魔王を倒していただかなければなりませぬ。」


「何よそれ!」


「勝手に呼び出しといてそれは無いだろ!」


そんな中一人だけ違うことを言う男がいた。


「皆、待ってくれ!目の前に困った人達がいるんだ、無下には出来ないよ!それに、僕達かここに呼ばれたことにはきっと何かの意味があると思うんだ!」


榊がそう叫ぶと同時にクラスメイト達は静まり、王や貴族達は目を光らせる。


「おぉ!何と心優しきお方か!ぜひとも貴方の名前を伺いたい。」


「榊です。榊 皇輝斗と言います。」


「そうですかそうですか。なんとありがたい事か。他の方々も、もちろん無理にとは言いません。ですが魔王討伐に参加頂く方には、こちらで衣食住から訓練まで全てに於いて惜しみなく協力致しましょう。」


人のいい笑顔で、手伝わない奴は世話しないと、脅迫紛いの事を告げる王。だが、榊には、そこまでは聞こえなかったらしい。


「聞いたかみんな!生活は心配いらないそうだ!僕は困った人達を助ける為にこの話に乗ろうと思う!」


「ちっ、お前ならそう言うと思ったよ。どうせ帰っても勉強ぐらいしかすることねぇんだし、俺も乗ってやるよ。」


「私も行こう。」


榊の発言に善井と剣翁も賛同する。


「おぉ!ありがたい。ではまず男性のお二人には、専属のメイドを付けましょう!そして、女性には執事を!」


そこに王が追い打ちをかける。すると美人過ぎるメイドや執事達が、三人をどこかへ連れて行った。


「彼らには、個室を用意しました。今はそちらに向かわれています。それと、メイドと執事には何を命令して頂いても構いません。」


「お、俺も!俺も参加する!」


「俺もだ!」


「私も!」


王の誘いにまんまと乗った金剛がきっかけとなり、結局クラス全員が参加することとなった。


■□


クラスメイト達がそれぞれの部屋へと連れて行かれた後、王族や貴族達の残った部屋では、まだ話が続いていた。


「ふぅー。全くうるさくて仕方ない。」


「王様、お疲れ様でございます。」


「お父様、お疲れ様。」


「うむ。だが、もう魔王が蘇るとは少し計算外じゃった。こんな事なら、歴代最強と呼ばれた勇者クルルギを終焉迷宮(ファイナルダンジョン)なんぞに送るんじゃ無かったわい。また厄介な力を持った奴を呼び寄せるハメになったわ。」


「終わった事は仕方ないですわ。あいつらは精々働かせて、また、終焉迷宮(ファイナルダンジョン)に行かせればいいですわ。」


「そうじゃの。特にあのサカキとやらはクルルギとは違って扱いやすそうじゃし。」


「ですが王様。おおよそ三十名程おりました。その全てを養うのは、少々財政が…」


「そんなもの国民共から搾取でもすればよかろう!勇者の支援とでも言えば、あの馬鹿共は喜んで金を出すわい。」


「そうね。少し派手な剣でも持たせて凱旋でもさせればいいわ。みんな喜んで食いつくでしょう。」


「それはいい!ついでに国庫も潤う。流石は我が娘じゃ。」


そうして初日は過ぎていく。


■□


翌日、麗しいメイドや執事に起こされたクラスメイト達は、王城の一室に集められていた。


「今から何するんだろうねぇ〜?」


あちこちでそんな話が聞こえる中、ローゼンが部屋に入ってきた。


「昨夜は良くお休みになられましたでしょうか?只今から皆さんにはステータス測定をして頂きます。」


「ステータスとは、何でしょうか?」


「あぁ、そうでしたね。皆さんに勇者たる資格があるかどうかのテストの様なものだとお思い下さい。」


「テストだと?」


「はい。ですが、テストと言っても別に何かをする訳ではありません。ただ、水晶に手をかざして頂くだけで済みます。」


「それだけなのか?」


「はい。ステータスという皆さんの世界には無いものを基準とします。王族と冒険者ギルドのみが所有を許された、鑑定水晶という道具を使い、鑑定という、神の力を行使することのみによって測定が可能なのです。では、サカキ様からどうぞ。」


そう言われるがままに、榊は手をかざす。すると水晶が輝きを放ち、その中に摩訶不思議な文字が浮かぶと同時に、隣で控えていた書記官が紙に写していく。


「おぉ!」


と、感銘の声を上げながら書き写すと器用な事をする書記官。そして、紙が渡される。


――――――――――――――――――――――


(さかき) 皇輝斗(みきと)

Lv.1

年齢:18

性別:男

種族:人族

職業:勇者


生力  500/500

体力 1800/1800

魔力 300/300

攻撃 2000

防御 950

敏捷 1850

魔威 200

超技【光剣】【剣術】【聖魔法】【捲土重来(けんどちょうらい)】【万能言語】


――――――――――――――――――――――


【光剣】光を纏いし聖なる剣を呼び寄せる。

【捲土重来】失った力が多い程、自身の力を増幅させる。効果切れと同時に負担も増幅する。



「これは、どれぐらいなのでしょうか?」


数字を見せられても良くわからないが故に榊が尋ねる。


「凄いです。既に兵士長クラスですよ。」


「そ、そうなんですか。まだ僕は何もしていないのに…」


「さぁ、次々行きましょう。次はどなたが行きますか?」


そうして、善井、剣翁、光大路…と続き、クラス全員が終えた。


――――――――――――――――――――――


善井(よしい) 熱志(あつし)

Lv.1

年齢:18

性別:男

種族:人族

職業:戦士(タンク)


生力  250/250

体力 1500/1500

魔力 80/80

攻撃 1000

防御 1800

敏捷 800

魔威 50

超技【要塞】【盾技】【火魔法】【万能言語】


――――――――――――――――――――――


【要塞】防御力が跳ね上がり、周囲の味方も強化する。



――――――――――――――――――――――

剣翁(けんおう) 瑞月(みつき)

Lv.1

年齢:18

性別:女

種族:人族

職業:剣士


生力  150/150

体力 1000/1000

魔力 180/180

攻撃 1750

防御 500

敏捷 3540

魔威 80

超技【鬼神化】【剣術】【水魔法】【万能言語】


――――――――――――――――――――――


【鬼神化】一秒ごとに一の生力を消費し十の力に変換する。



――――――――――――――――――――――


光大路(みつおおじ) 愛珠音(あすね)

Lv.1

年齢:18

性別:女

種族:人族

職業:回復術士


生力  30/30

体力 800/800

魔力 500/500

攻撃 800

防御 300

敏捷 1500

魔威 275

超技【精霊の加護】【回復魔法】【光魔法】【万能言語】


――――――――――――――――――――――


【精霊の加護】精霊に好かれる。




「さて皆さん終わりましたね。ではこれからは皆さんの職業にあった訓練を行って頂きますわ。」


ステータスをお互いに見せ合ったりとわきゃわきゃしていたクラスメイト達が、ローゼンの言葉で一気に静まる。


「これからは座学に訓練と辛い事もあるでしょうが、私達がしっかりサポート致しますわ。」


そうして、彼らは地球に帰る為の魔王討伐が、幕を開けるのだった。

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