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終焉迷宮を制する者。

まだ何か喋っているが、全く分からない。何だか段々イライラしだしている気がする、分からんけど。


そんなことを考えてた俺に突如ステータスプレートが飛び出す。


――――――――――――――――――――――


江ケ崎 愁弥

Lv.999(上限に達しました)

性別:男

種族:人族

職業:自由人(カスタマー)


生力 表記が面倒になりました。

体力 表記が面倒になりました。

魔力 表記が面倒になりました。

攻撃 表記が面倒になりました。

防御 表記が面倒になりました。

敏捷 表記が面倒になりました。

魔威 表記が面倒になりました。

超技 選り取りみどり、なんでもあります。

備考 【万能言語】あげてませんでしたね、今あげます。


――――――――――――――――――――――


おーい!あの女神サマなんてことしてくれてんだ!てか、超技って遠距離でポンポンあげれるもんなのか…


それにステータス管理してたのあの女神サマかよ!道理で途中から適当になったなーと思ったよ!【万能言語】ないと完全に詰んでただろ!どうやってケモ耳娘とコミュニケーションするんだよ!考えるな、感じろってか!無茶言うな!


はぁ…はぁ…くそ、久々だから溜まったもの吐き出してしまったよ。このクールな俺としてはありえない失態だな。何でも無いです。


でだ、やっと姫さんの話が聞けるぜ。


「ほぅ…これほどまで言っても妾を無視するとは…貴様…強者か?…それともただの馬鹿かの?」


「あ、良く分かんなかったんで、もっかいお願いしまーす。」


「なんじゃと!貴様、妾を愚弄するか!」


あ、怒っちゃった。俺が悪いのか!?


「なるほど、貴様、余程死にたいと見える。妾の配下を倒し、この地に参った事は賞賛に値しよう。じゃが、この妾を怒らして、無事に帰れるとは思わぬことじゃ![immortal flame]!」


お、イモータル・フレイムって言ったのか?めっちゃ発音いいんですけど。


女が唱えると同時に、両の掌から、黒々とした炎が灯り、こちらに飛んでくる。が、俺は別に避けない。


すると当然、炎は俺を包む。


「なんじゃ、妾の魔法に恐れ戦き、避けることもままならないか。確かに妾の魔法は、今までのとは訳が違うからのぅ。」


「いや別にそうゆうのじゃないんだけど。」


「何!何故じゃ!妾の炎に焼かれて死なぬとは!じゃが、これで終わりではない![dystopia]!」


今度は、ディストピアか?


人差し指を俺に向けると、そこから光の速さでレーザーが襲来する。だが俺は避けない。だって【魔攻無効】があるんだもん。


ズガガガガッ、て凄い音がしたので後ろを振り返ると、スノボーのハーフパイプみたいに抉れている。流石に自称格の違う魔法だな。確かにこの威力は、バグステータスしかいないファイナルダンジョンでさえ見た事ない。


まぁ俺には効かないけどね。


「ふぅ…ふぅ…どうじゃ?やったか?」


凄いフラグな発言をしてらっしゃる。もちろん光速回収になる訳だが。


「いやーまだですねー。」


「な、なな、何故じゃ!何故妾の魔法が効かぬ!は!もしや、貴様【魔攻無効】を持っておるか!ならば、仕方あるまい。しかし、妾を魔法しか使えん女子(おなご)と思ってはおらぬじゃろうな?妾は、肉体戦闘にも長けておるのじゃ!ゆくぞ!」


ドスッと地面を抉り、今までとは桁違いのスピードで踏み込んで来る。終焉迷宮十二番衆ファイナルダンジョンガーディアンズとかいう奴らのステータスを【吸収】した、俺でさえ、一瞬捉え切れないスピードだ。どうやら彼女は、籠手を装備しているので、拳闘士のようだ。


【鑑定】したら、彼女はパワーよりスピードに重視したタイプだった。もちろんパワーも終焉迷宮(ファイナルダンジョン)の中では最強なのだが、そいつら全てを合わせた俺の防御には勝てない。前から後ろからとスンスン、スンスン高速移動して殴りかかって来るが俺に通るダメージは、微小である。そろそろ諦めてくれればいいんだが。


「はぁ…はぁ…何故…じゃ、何故、妾の打撃も効かぬ。じゃが、諦める訳にはいかぬ。この一撃に全てを込める!はっ!」


恐らく全力の踏み込みに、全力の右拳が俺の顔の目の前に飛んでくる、それを俺は、静かに受け止める。バフォン!という風圧を皮切りに、しばし静寂が支配する。そんな中、彼女がボソリと呟く。


「ぬぅ…妾では、敵わなかったか…お主は、間違いなく強者なのじゃ、妾の魔法も効かず、全てを賭けた一撃もこうも容易く受け止めおった。もやは、妾では相手にならぬ。殺せ。お主の勝ちだ。」


そんなことを、俺の目をじっと見て語るのだ。ついつい口角が、ニヤッと上がってしまう。


「な…なんじゃ…その顔は?」


ぐっふふふ、そりゃこの先の展開を想像してただけですとも!


「いやいや、少し頂くだけですよー(棒)」


「ま…まさか!ダメじゃ!妾は、初めてなのじゃぁ!」


先程までの潔さはどこへ行ったか、顔を真っ赤にし、スッと踵を返し逃げ出そうとする、がしかし、俺はがっちりと女の肩を掴みニッコリと微笑む。


ぐふふふ、ニガサナイヨ?


その後、ふにゃー、という嬌声がダンジョン内に響いたとか…響いてないとか…


■□


もう、この世界に舞い降りてから数か月も経っているようだ。いつ思い返しても、なかなかに酷いものだったと思う。最初は絶対に詰んだと思ったからね。なんとなくで【吸収】を願って無かったら、ほんとにどうしようも無かったよ。


ってな感じで黄昏てると、傍に人影がやって来た。


「あ…主殿。おはようなのじゃ。」


そう、この迷宮の主(笑)である。


「何か良からぬ気配を感じたのじゃ…」


ジトッとした目でこっちを見てくるが、俺は努めて無視をする。


「朝食が出来ておるのじゃ、冷めない内に食べるのじゃ。」


「あぁ、分かったよ。」


何故このような状況になっているのかと言うと、あの最終決戦(?)の時に、こいつを【鑑定】したら、備考のところに


"迷宮が出来た時から独りで生きてきた、今は人が訪れたことを少し喜んでいる。"


って書いてあったのを見て何だが虚しくなっちゃってよ。だって年齢が1200003000歳だぜ?それを思うとちょっと…な…

誰が同胞か!俺は知り合いは居たんだよ!

え?ヤりたかっただけだろ?いや違うよ、異世界物のセオリーを忠実に実行しただけだよ?、ほんとに。嘘です、下心はありました。

まぁ、ちょこっと肌を重ねただけさ(クズ)。仕方ないよ、男の子だもん。…すいません。


そんなこんなで、俺が一緒に居てやることにしたのだ。と言っても一生ダンジョンにいる訳じゃ無いがな。実はもうあの日から二日程経ってるのだ。ヤッて、食って、寝て、と繰り返してました。


その二日間、迷宮の主(笑)のぱいおつ様を枕にしてたおかげで、スラさんが枕の座を取られたと勘違いしたのか、ぱいおつ様に変形してたよ。しかもその形状で、俺が寝ようとしたタイミングに枕元にぴちょんといるもんだから…この子健気すぎィ。


それと、この迷宮の主(笑)は、ラフレ・エム・ジット・ディータン・バート・フラムス・グリットバーナーって名前らしい。長い。セフレでいっか。


朝食を済ませると、セフレ…おっと、ラフレが絡んでくる。


「あ…主殿。その…今日も…するのか?」


なんかモジモジしながら言ってるんだけど、可愛い。


「いや、今日はスラさんと遊んであげないとな。」


「そ…そうなのか…スラ殿は、主殿の相棒故、蔑ろには出来ぬのじゃな…」


ちょっとガッカリしたような表情でそんなことをのたまうラフレ。


やばい襲いたくなってきた。


ただ、これ以上はスラさんが拗ねてしまうので、鋼の意思で欲望を抑え、スラさんに構ってやる事にする。


「今日のスラ殿は、機嫌が良いのじゃ。」


「分かるのか?」


「なんとなくじゃがのぅ、この迷宮のモンスター達の意思を感じる事は出来る。」


「そうか。ならスラさんに、おっぱいは究極のスタイルと合わさって初めて凶器となるって言ってあげて。」


「む…ス…スラ殿…お…おっ………おっぱ………って妾が言う意味が無いじゃろう!」


「ちっ、気付きやがった。」


「やっぱり!主殿の趣味ではないか!」


毎回真っ赤になってモジモジしだすもんだからついついやっちまうんだよな。これは仕方無いだろ?不可抗力ってやつだ。


ところで、今どこで何をしているのかと言うと、ラフレと戦った部屋は、応接間のような部屋で、こいつは普段自分の家があるのだ。そこの庭で不思議パワーで育つ野菜とか、家畜とか育てて食ってた。その庭でスラさんを突いたり撫でたりしてのんびりしている。その隣でラフレも大人しくしている。無の境地でスラさんと戯れていたのだが、何も考えていなかったせいで、口から言葉が零れた。「スラさん触手出ねえかな。」と…


全く無の境地には至れていない事は置いといて、今俺が戯れているのは、“万能サポーターSURA”なのだ。俺の呟きが何を意味するのかを瞬時に察知して、幾本かの触手を生やす。


「それはなんじゃ?」


「ん?触手を知らないのか?」


「うむ。妾はずっとここに一人だった故、知らぬのじゃ。」


「そうか。…スラさんGATTAI(合体)だ。」


俺がそう告げると、スラさんは、俺の体に巻き付き触手を伸ばす。まるで背中から触手が生えたみたいだ。そして、俺はある一つの発見をする。それは【調教(テイム)】の超技は、触れ合っていると意思疎通が可能ということに。つまり、俺に巻き付いているスラさんが、俺の手足のように感じるのだ。


「…?それでどうなるのじゃ?」


「ふっふっふ、今から体感すると良いわ!」


千手…いや千触手の江ヶ崎が爆誕し、ラフレを巻き付けそのまま貪り尽くす。


「ふにゃあぁああぁあああぁ!」


ラフレは新たな扉を開いたそうな…


■□


話は戻るが、ラフレだけは他のモンスターとは違い、ファンタジー仕様の湧き出るやつではない。逆に言うと、終焉迷宮十二番衆ファイナルダンジョンガーディアンズは、倒されても時間経過で湧き出るのだ。


それは置いといて。こいつだけは生命体なのだ。寿命が無いけど。これは本人もよく分からないらしい。だがここはファンタジーだ、ファンタジーと書いて気にしたら負けと読む。つまり、ファンタジー(気にしたら負け)なのだ。


迷宮から出たら死ぬとかそうゆうのでは無さそうなので、そろそろこの終焉迷宮(ファイナルダンジョン)とはおさらばだ。


薄々気付いてはいたがラフレの家の地下に地上行きの魔法陣があった。ずっとここにいても良いのだが、ヤることが限られるので、さっさと地上に向かうことにする。使い方は知らないがどうにかなるだろ。


ってことで俺、ラフレ、スラさんの三人(?)で魔法陣に飛び乗ると、鈍い光が俺達を包み込む。


目を開けると、カッと太陽の刺々しい光が網膜を焼き付け、ダンジョンを照らす偽物の光とは違うと主張してくる。静かな風が肌を撫で、草々が音を奏でる。


そう、ここは草原なのだ。今までの無骨な岩肌とは違う本物異世界に、ようやく俺はたどり着いた。どこまで見渡しても、草原草原草原。


嗚呼、生きててよかった。神様ありがとう。女神サマちゃんと仕事しろ。


これだけ広いとはしゃぎたくなるのは仕方ないことで、スラさんとキャッチボールをして遊ぶことにする。俺が魔法の玉に魔力を込めて、スラさんが足の速いモンスターに擬態してそれを【魔吸】(キャッチ)するだけの簡単な遊びだ。


「そーれ、取って来ーい。」


そんな感じで遊んでいたのだが、少し調子に乗って、思いっきり魔力を込めてしまった。ズビュィン、と俺やスラさんでさえ見切れないスピードで魔弾が飛んで行き、かんなり遠くでピカッとしたのが見えた。


「あー、今度から気を付けないとな。」


「いくら何でも適当過ぎじゃよ!主殿」


隣で何か言ってるが、スラさんが楽しそうなのでよしとする。


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