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中層に挑む。

また小部屋に辿り着いた。これが何層目か忘れちまったよ。ただ、結構な数踏破して来たから、これで攻略度もそこそこなんじゃね?

さっきはウルフみたいな獣に始まり、リッチとかゴーストとか魔法が効かない奴とか物理的な攻撃が出来ない奴とかがいっぱい出てきてた。お陰で超技は沢山手に入ったので有難い。ただ、お決まりなのかボスは全部なんとかジェネラルなんだよな。芸が無いのー。

って誰かいるんだけど。


壁に凭れ掛かるように座っているイケメンだ。


「ぜぇ…ぜぇ…ぜぇ…ぜぇ…」


「こんちわー。」


「やぁ…次世代の勇者くん…」


「あえ?俺って勇者なの?」


「おや?違うのかい…?僕は…てっきりそうかと…」


「ちょっと分からないですね。俺、気付いたらここにいたので。」


「気付いたら?ここ…だったのかい?よくそれで…無事だったね…」


「そうなんですか?てっきりここが一般的なダンジョンなのかと思ってましたよ。」


「ははは…ここが一般的なダンジョンか…君は召喚者…なのだろう?」


「まぁそうなりますね。」


「僕もそうだったよ。数年前に…勇者として…ね。」


「そうなんですか?何でまたこんな所に?というかここが一般的なダンジョンでないなら何なんです?」


「ここは…ファイナルダンジョン。あらゆる種族を極めた者が集い…世界の支配者に挑む所さ…」


「ファイナルダンジョン…世界の支配者ですか。勇者の貴方が居るということは、魔王でもいるんですか?」


「いや…魔王はもう倒したよ…まぁ君らが召喚されたということは…蘇ったんだろうけど…遅ませながら…気付いたよ…ここは力を持ちすぎた…歴代勇者の…墓場だってことにね…」


「倒したのに蘇るのですか?」


「ああ…正確には…再び発生する…の方が正しいのだけれどね…」


「発生する?それはともかく、召喚された俺達も魔王を倒すとここに連れてこられると?」


「そうだろうね…魔王を倒してしまった勇者は…支持者も多いし…発言力も高いからね…あのタヌキどもは…そんな僕らが…邪魔なのだろう…」


「何とも…ありきたりな…」


「そうだね…僕も…もっと早くに…気付くべきだったよ…甘言に乗せられて…気が付いたら…既に地獄にいた…僕がもっとしっかりしていれば…仲間達を…失わずに…済んだのかもね…」


「それで、今は?」


「今かい…今の僕は…呪いにかかって…しまってね…もう動く事も…ままならないんだよ…仲間は…僕を逃がすために…ね…」


「そうでしたか。なんか、すいません。」


「気にすることは…無いよ…僕らの…いや…僕の甘さが生んだ…一つの結果さ…」


「結果ですか。」


「そうだよ…先人の教えとして…一つ君に…告げておこう……行動する事で…必ず結果は生まれる…それが…良い事か…悪い事かは…分からないけどね…僕のは…悪い方が出てしまったん…だろうね…」


「最善の選択をせよ、と?」


「そうなのかな…?はは…ごめんね…偉そうなこと…言っといて……少なくとも…結果を予測するぐらいは…しておいた方が…いいんじゃない…かな…………あぁ…そろそろ…ダメ…みたいだ…君の…健闘を…祈…って…い…るよ…」


「肝に銘じて置きます。俺も貴方の冥福をお祈りします。」


「ファイナルダンジョン。魔王を倒す連中が挑み、そして敗れた所か…。少なくとも彼らはここに辿り着いた。ここからが正念場かもしれないな。」


思った通りだった。先代の勇者さんがいた小部屋を進むと、いつもの一本道ではなくジャングルと言うべきか、視界の悪い広大な土地が広がっていた。


「ギィエェェ」


ん?また、ゴブリソじゃん。とりあえずワンパンと思ったが、【危機察知】が反応したので、一歩下がる。するとさっきまで俺がいた所にスッと矢が突き立った。今までには無かった連携だ。飛び出してきたゴブリソは、姿を消しており、まんまと罠にハマりかけた訳だ。周りも薄暗いので、敵の位置も分かり辛い。【暗視】や【気配察知】があるから全く分からない訳では無いが、どうにも遣り辛さを感じずには居られなかった。


なんとかゴブリソ達を蹴散らしながら歩くと、今度はオーク達に出くわしてしまった。正直、今まで通りゴブリソだけだと思って油断してた事は否めない。こいつらも連携攻撃してくると中々強い。やはり数の暴力というのは馬鹿にならない。


途中でゴブリソ・ライダーというのが出てきた。こいつらも厄介で、ウルフにゴブリソが乗ってるのだ。【調教(テイム)】の超技を使っているみたいで、縦横無尽に駆け巡りやがる。遣り辛いったらありゃしない。


この層のボスはどでかい爬虫類のような見た目をしている。おそらくバジリスクだろう。勇者さんは、あいつの目を見てしまったんだろうね。そのせいで石化の呪いにかかったと。なるほど、俺には【石化耐性】があるから関係無いけど。


■□


今は、勇者さんがいた層の五層下ボスの前にいるのだが、これがどうしたものか、スライムなのだ。あの水色の半液状みたいなあいつだ。


――――――――――――――――――――――


スラ

年齢:0

性別:無し

種族:泥

職業:無し


生力 128596425314/128596425314

体力 78443845854/78443845854

魔力 985463766155/985463766155

攻撃 480/480

防御 150/150

敏捷 400/400

魔威 42896

超技【分裂】【軟体】【魔吸】【咀嚼】【擬態】


――――――――――――――――――――――


――――――――――――――――――――――

【軟体】物理攻撃を無効化する。

――――――――――――――――――――――


――――――――――――――――――――――

【魔吸】魔法攻撃を吸収する

――――――――――――――――――――――


弱いけど強い。というか倒せん。ちなみに


――――――――――――――――――――――

【咀嚼】何でも食べる。

――――――――――――――――――――――


――――――――――――――――――――――

【擬態】食べたモノに擬態できる。

――――――――――――――――――――――


いや、このスライムさん。果てしなく強いんだが。咀嚼単体だと、まじでゴミだけど、擬態と合わさると無茶苦茶強いだろ!?これ食われると詰みだな。


とりあえず(鈍器)で攻撃してみる。


ズドンッ!と地面が抉れる攻撃を放つが、スラさんは平然とプルプルしている。


うん。詰んだ。どうすんの?これ。


あ、【調教(テイム)】してみよ。


テイムしますか?


はい、します。


スラさんが仲間になった。


みたいな感じで終わりました。


次の層に行きますか!


■□


ところで何日経ったのだろうか、時計もどきは戦闘中に壊れてしまって、時間もいつからか分からなくなっている。最近は魔物とかその辺の草とか植物も全然気にせず食べる様になった。流石に人型は無理だけど。たまに猛毒の草とかがあるから焦るよね。お陰で【猛毒耐性】とか【麻痺耐性】とか付いたから良いけどね。


勇者さんの層から何層かは、雑魚敵は一緒なんだけどボスが違うかったな。ゴブリソ・キングとか言うのとか、ヲーク・キングとか言うのとか、ヲーガ・キングと言うのとか、スラさんほどじゃ無いけど強かった。なんというか取り巻きが多いと言うか、それぞれが見事に連携してくる。なんか無駄に(鈍器)さばきが上手くなった気がする。


それよりも、今度の層は、墓地みたいになっている。


スケルトンやゾンビ達だ。あいつらは疲れ無いので、逃げても逃げても追ってくる。数も馬鹿みたいにいるせいで、倒しても倒しても終わりが見えない。そんな中から、リッチの爆撃魔法を撃たれたら中々面倒なので、というか火力が馬鹿にならない。なので、こちらから先制攻撃で行かせて貰う。初の【爆炎魔法】だ!出来るだけ魔力を込めて渾身の一撃。


ちゅどーん。


ぐふぉぁ!やばい。墓地丸ごと吹き飛んだ。というか俺も風圧で吹き飛ばされたし。これはイカン。いくらなんでもこんなもん使っちゃダメだろ。自粛しよ。


ちなみにスラさんは、俺の頭の上でプルプルしてる。まぁなんて事無いだろうな。


えと……じゃあ……次の層に行くか……


恐らく五層おきに変わる仕組みなのだろう。またもや墓地だ。さっきの層はどんなボスか分からなかったが、まぁいいか。


にしても、結構痛かったな…さっきの…


■□


さて墓地も五層目だ。この層はやけに天井が高かった。降りる時、奈落にでも落ちたかと思ったよ。


次のボスは何かね?とか思いながら歩いていると、遂にボスっぽいのを見つけた。けど、ありゃなんだ?都会のビルぐらいの大きさの骨なんだが。座ってんのか、上半身しか見えないが。スケリトル・ロードって名前らしい。骸の王てか。


近付くに連れてこいつのデカさが分かる。やっぱりビル一棟分ぐらいはあるぞ。


少し前に気付いたんだけど。スケルトンには、核みたいなのがあってそれを壊さない限り再生し続けるようだ。道理で倒しても倒しても数が減らない訳だ。


多分こいつも例外じゃない。倒すには、心臓の位置にある核を破壊する必要がある。


更に近付くと、奴も俺に気が着いた様だ。目はないけどこっちを見てる気がする。これは、魔法でちゅどんか、とも思ったがこいつちゃっかり【魔攻無効化】ってのを持ってやがる。やはり、(鈍器)しか無いか。


俺の(鈍器)は、適宜強化してある。お陰で、今でも愛用の武器だ。【付与】の超技を得てからは、【硬化】や【頑丈】など掛けまくったせいで、今は"最固の剣"の称号をあげたいぐらいだ。


でだ、骸野郎は、上半身しかなかった。どうやって立って(座って?)いるのか分からないが、地面に直立している。おっと、遂に動き出した。


ズドン、と手のひらの一撃だ。大した質量は無さそうだが、地面を抉るぐらいの攻撃だからバカには出来ん。これだからステータス制は、物理法則を無視しやがる。


そんなことを考えているが、結構やばかったりする。こいつ無駄に攻撃が素早いのだ、音ゲー並のスピードで腕を振り下ろして来やがる。攻撃する暇もありゃしない。ただそうも言ってられないので、こちらからも動くことにする。


せい!と奴の振り下ろした手のひらの指をはじき返す、一瞬だけだが奴がバランスを崩した。俺にとってはその一瞬があれば十分で、そのあいだに腕を伝って肩から心臓部へ、そこでデカデカと存在感を放つ核に全力の【振り落とし】を決める。ドンッ、と中々ドデカイ音が鳴るが、完全な破壊までは至ってない。何回か繰り返すしか無さそうだ。


■□


十回目でやっと破壊出来た。ダンジョンに空いた穴に入って、やっと次の層に辿り着く。

今更だがこのダンジョンは一方通行らしい。まぁ、先代勇者さんが通ったのに、俺が来た時には塞がってるんだから当たり前だが。


そろそろ終わりじゃねぇのかな…

今度は火山ですか。これも天井が高いねー。


気を持ち直して、行くか。

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