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『竜』

 竜とは何だろうか?

 最強の幻想種?人が想像した最強の生物?なるほど、どちらも正しいだろう。

 某国民的RPGの題名をはじめとして、その名を冠したものはゲームに限らず古今東西多数存在する。

 とかく竜とは特別であり、別格の存在なのだ。

 その飛翔することすら可能な強靭な肉体に、炎を吐き、雨風をはじめとした天変地異を操る凄まじい力。

 人はそんな竜に憧れ魅了されるとともに、恐怖し畏怖すら抱いた。

 地震を地竜が暴れたのだといい、川の氾濫や洪水を水竜の怒りとかつて人は呼んだ。

 科学全盛の時代たる現代からすれば、それは笑い話でしかないが、当時の人々はそれを本気で信じていた。

 つまり、何が言いたいのかというと、天変地異を具現化した存在、それが竜であったのだ。

 かの有名な八岐大蛇などはその典型だと言われているし、九頭竜川や天竜川といった竜の名を冠した河川の存在はその裏付けになるだろう。

 

 で、だ。

 本題はここからなのだが、そんな竜が正真正銘の本物の竜が目の前に現れたら、あなたはどうする?

 跪く?恐怖のあまりに失神する?怯えて泣き出す?見ることすらできずに蹲る?

 虚勢を張って見返す?睨みつける?友好的な態度をとる?観察する?

 前者を選んだ奴は正常だ。それが普通の反応だ。竜から見れば、人など矮小な存在でしかないのだから、路傍の石の如く見逃してもらえる可能性は十分にある。

 後者を選んだ奴は異常だ。蛮勇か何か知らんが、勇気というものを履き違えている。勇気と無謀は、ぜんぜん違うのだから。

 友好?観察?そんなことができると思っているのか。

 竜との友好関係など身の程知らずにも程がある。一笑に付されるのが関の山だろう。

 誰だって不躾な視線というものは気に入らないものだ。人の周囲を飛び回る不快な羽虫の如く叩き潰されるのが落ちだろう。


 因みに私の選択はそのどれでもない。

 ああ、勘違いしてほしくないのだが、私の選択があなた方の選択より素晴らしいということではない。

 正しく言うならば、私はそのどれをも選ぶことができなかった。

 いや、より正確に言うならば、選択できるような状態ではなかったというべきだろう。

 なにせ私は、どことも知れない場所で、重度の属性汚染によって半死半生の状態であったのだから。

 故に、私にできたのは、仰向けにぶっ倒れた状態で、視線をそちらに動かすことだけだったのだ。


 これから語るのは、そんな状態で竜に会って、運よく生き延びた一人の男の話だ。

 私が主人公なので、役者が不足しているかもしれないが、退屈はさせないことを約束する。

 なんと言っても、私以外の役者が優秀で魅力的だし、それに何より舞台が最高だ。

 なにせ異世界なのだから。それも剣と魔法のファンタジーな異世界なのだから。

 平和な現代日本に生きるあなた達なら、勿論好きだろう?

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