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元ヤン黒野さんと変態山吹君

作者: ととみ♪

私の妄想構成率200パーセント。

そして駄文、そして暇つぶし、そして落ちなし。

それでもよければどーぞー

矢吹くんは変態です。


「ねー黒野さん、日のパンツ何色?」

「そんなもの答えるわけないでしょう。ていうか遅刻しますよ」


毎朝毎朝されるこんな挨拶にドン引きするのも慣れてきました。

人間の環境への適用能力はすごいといいますが、それをこんな所に発揮されても困ります。


「えー・・・やっぱり黒野さんはつれないなぁ。ほかの女の子は喜んでくれるのにー」

「知りませんけど・・・・そんなに見たいんだったらそういう子に頼めばいいんじゃないですか?」

「でもそれだとつまんないし」

「はぁ」


ちらっと横を見ると、矢吹君はぷぅと頬をフグのように膨らませていました。

こういうときイケメンは本当に得ですね。私がしてもきっと変顔にしかなりません。


闇夜のように黒い髪に、どこか猫を連想させるような釣り目。体格こそ良いものの、顔だちはどちらかというと中世的であまり男臭さを感じさせません。唇は赤く、輪郭はシュッとしていて、どこぞのアアイドルのようです。

・・・・・こんな容姿端麗な人がなぜ私のような勉強しかとりえのない人間を構うのでしょうね。

そのうち学校の七不思議にでもなるのではないでしょうか。

現に何人かご不満を抱く方が出てきていますし。


「・・・私だと面白いんですか?」

「ん?」

「さきほどほかの人に言ってもつまらないとおっしゃっていました」

「ああ・・・うん。だって黒野さんは予想外の反応をするから」

「予想外?」

「うん。だって基本無反応なのにたまにすごい可愛い反応するから」


にかっと矢吹君が歯をみせて笑う。彼のこの笑顔は苦手です。妙にキラキラして見えるから。

「・・・・意味が不明です。ていうかあなたのクラス方向逆でしょう。こっちだと遠回りになりますよ」


動揺を隠すために、声を少し低く出せば、矢吹君はまたコロコロ笑う。

だからこの人は苦手なんです。人をおちょくっているとしか思えません。


「じゃ、俺はもう行こうかな・・・いいもの見れたし」

「どうぞ。そして一生纏わりつかないでください」

「はは、辛辣!じゃぁ放課後またそっちいくねー」

「くんな、死ね」


ひどーい、といいながら走って行く矢吹君の背中を見ながら、ああまたやってしまったと内心ため息をつきます。

思わず口調が崩れて本音が出てしまいましたけど、学校の顔である生徒会長が死ねなんて言葉使ってはいけませんよね。反省反省。



気を入れなおしてクラスの扉をくくれば、数人の女生徒がこちらを睨みつけているのが目に入りました。

まぁ、いつものことですよね。矢吹君と私が話しているのが気に食わないのでしょう。

それにしても、その女生徒達のどいつもこいつも・・・・いえ、誰もかれもが校則違反のオンパレードであること・・・・。化粧、ピアス、胸元を開けた制服の着方に、明らかに染めたとわかる髪色。

・・・近々風紀の取り締まりをしますか。

とはいっても、うちの風紀委員は弱気な方が多いので先生数人と私も加わることにしましょう。


ふふふ、と頭に浮かんだ我ながらいい考えに頬をゆるませながら、席に就けば早速先ほど私を睨みつけていた方たちがこちらに来ました。


「ねぇ・・・ちょっと顔貸しなよ」

「・・・なにかご用ですか?」

「いいからつべこべ言わずさっさとこいっつーの!!」

朝から叫ばないでほしいのですが。頭が痛いです。

もうすぐ朝礼も始まりますし、行きたくないところ山々なんですけど、彼女たちの顔を見る限りそういうわけにもいかなさそうですね。

「・・・分かりました」




連れてこられたのは体育館裏。ご丁寧に一番人がこない所を選んでいただいて。

用意周到ってわけですね。

そして私を取り囲むように立つ、五人のお嬢様方。来る途中他クラスから二人合流して人数が増えました。

そして始まる集中砲火。

「あんた、もう矢吹君に近づかないでくれる?テメーみたいなブスに付きまとわれるとか迷惑すぎるから」

「まじさーあんたなんなの?生徒会長だかなんだか知らないけど調子乗りすぎ。マジキモイ」

「つーか一遍死ねよ」

「あ、それマジ言えてるー。あたしもめっちゃ思ってたー」

「ほらしーね」


・・・なんだか死ね死ねコールが始まりましたが。この人たち馬鹿なんですか?そんなこと言われて死ぬ奴なんていないでしょう。しかもさっきの悪口だってめっちゃ、とかマジとか、同じ言葉しか使ってないですし。


「・・・・・はぁ、単細胞生物もここまで来ると終わりですね」

思わず漏れた本音に、リーダーらしき女子が顔をしかめます。

「は?」

「え、マジこいつ単細胞生物とかあたしたちのこと言ってんの?」

「なに、生意気すぎるんだけど」

とたん殺気立つ女生徒達。

「ねーあたしいいもん持ってるんだけど」

そして、その仲間の一人がおもむろにカッターナイフをブレザーのポケットから取り出しました。

「あー!ひなのナイス!!」

「でしょー?流石にもう生意気な口きけないでしょう、これで」

そういって、カッターの刃先を私の首に当てます。その冷たい無機物の感触が私の琴線に触りました。


・・・・いい加減、誰に喧嘩を売ったのか教えてあげましょうか。


「・・・一組、長瀬ひなの、田中咲。二組、千賀ひかり、中野恵美、矢代くるみ」

「は?なんでこいつあたし達の名前・・・」

「クラスが違えばだれかわからないとでも?残念ですが、私仕事柄生徒全員の個人データーを覚えているんですよ。・・・楽しいですか、長瀬さん?そういえばあなたまだ今月の学費払ってないそうですね。ご両親の会社、倒産でもしましたか?社長令嬢ならば一介の私立高校の学費を払えないわけないですものね」

「・・・なんでそれを」

「わかったらいい加減、その刃どけてください。言ったでしょう、仕事柄生徒全員の個人データーを覚えていると。なんなら、今ここで全員分の秘密でも暴露しましょうか?それとも校内放送がいいですか?」


ぶるぶる、と震えながらカッターをしまう長瀬さん。

思い出すのにも少し時間がかかりましたが、そういえば昨日か、一昨日の新聞に長瀬グループ破産のニュースが載っていましたね。すごく小さい面だったので読んでいる人間も少ないですし、実際のところ長瀬さんがその会社のご令嬢だったとはだれも思いつかないでしょうね。確か、この人仲間内でも自分のことを社長令嬢だって言いふらして、お金持ちの印象つけてましたからこのネタを広められるのは相当痛いはず。

所詮、同じ高校生です。学校生活が今のところ彼女たちのすべてですものね。それを崩されるのはやはり怖いでしょう。私には心底どうでもいいですが。


「あと皆さん、その恰好校則破りにもほどがありますから。昼までに直しておいてください。もし、そのままだったら問答無用で公開処刑を実行します。あぁ、今日のことを先生方にそれとなく伝えるのもよろしいかもですね。皆さんのうち多くの方が、そういえばうちの大学に内部進学をのぞんでいらっしゃいましたね。」


私が言葉を発するごとに顔が蒼くなっていく面々。いちいち風紀委員を通して注意する必要がなくて手間が省けました。全員物わかりがとても良くて助かります。



「では私はこれで失礼しますね」


ぺこり、頭を下げてその場を後にします。当たり前ですが追ってくる人間はいませんでした。


教室に戻ろうと、中庭を抜けている最中、不快なクスクス笑いが耳に入りました。

声の方向に顔を向けると、それは山吹くんでした。

よりにもよってリンチの帰り道に、変態に出くわす、とか今日は厄日ですね絶対。というかこんな事態になったのも、そもそもはこいつのせいでは?


あ、だめだ。なんかイラついてきた。


「黒野さんってすごいねー、俺助ける必要なかったよー」


間延びした口調で話しかけてくる矢吹君。

それが一層私の神経を逆なでします。


けらけら、けらけら、へらへら、へらへら。

薄っぺらい笑顔を張り付けて、人を馬鹿にした態度を崩さない。


「・・・・クソが。一丁前に道化気取ってんじゃねぇぞ」


それが、とてつもなく


ムカつく。


いきなり変わった口調に驚いたのか、つり気味の両目をまんまるく見開く山吹。

そんな表情もどうでもいい。

残念だったな。これが自前なんだよ。元ヤン舐めんな。

口の悪さは同じく元ヤンの両親からもお墨付きを貰ってる。



「めんどくさいのよね、あんた本当。なににニヤついているかわからない笑顔ばっかり張り付けて。なにそれ、馬鹿なの?なにを言ってほしいの?つーか突っ込んでほしいの?んな面倒なこと誰がすんだっつーの。そんな陳腐な偽善野郎になるつもりも、あんたに関わるつもりもはなからこっちにはねーのよ。ピエロやりたいんなら勝手にやってろよ。理解者とかなるつもりもねーし、なりたくねーよ。ていうかあんたの絡みにあたし心底うんざりしてんのわかれよ。もう金輪際近づかないでくれる?クソウゼーから」


そこまで言い切って、山口の胸ぐらをつかんで顔を近づける。

今やからやるのはただ単なる脅し。褒められたことじゃないのは分かっているけど、本気でヤル。

別に脅されただのどうだの、好きに言えばいい。言ったら言ったで本気で潰しに行くだけだし。チャラ男のこいつと、普段真面目な私とじゃ大人からの人望が違いすぎる。別に生徒に何を噂されてもしったこっちゃないし影響はない、最悪あのギャルたちみたいに片っ端から脅せばいい。


『啼くのなら潰してしまえホトトギス』

我が家の家訓である。



「あんた、これ以上近づいてみろよ。




マジ、殺すから」








そう、きっちり釘は刺しておいたはずなのに。




「黒野さあああああん!!!」


「くんなぁぁぁぁぁぁぁ!!」


「ぶってぇぇぇぇぇぇぇ!!!」




さらに変態度がグレードアップして追いかけられる羽目に。

しかも、その様子を見て私につけられたあだ名が


『サディスト女王』




・・・・・解せぬ。



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