新米(仮)です 005
「神宿男四季巡様、本日はご足労くださいまして、誠にありがとうございます」
司令官室にて巡に面と向かって言いながら、深々と頭を下げたのは、『彼岸・六文』の最高司令官である春分だった。
いかにも文官然とした春分らしい、そんな仰々しい言葉遣いや素振りに巡は、ご、ご用件は、と返しながら一歩後退した。
深々と下げていた頭を上げた春分は、
「本来でしたら私が皆様のところへと出向くべきなのですが、何分、色々と責任を負っておりまして、なかなか席を空けるわけには――云々――神宿男四季巡様をはじめとする生徒会第二執行部の皆様に、お役目をお願いしようかと思いまして――云々――」
と長々語り出した。
巡は、やたらと重い言葉遣いで語る春分の話を聞き流していた。しかし、所々に混じっている気になる単語に耳を傾けた。
ちなみに『生徒会第二執行部』というのは、巡達の部隊名である。一般的な軍隊のように『○○守備隊』等でもよかったらしいのだが、殺伐としている、とか、学生中心なのだから、とかの理由で『生徒会〜』となった。蛇足だが、現在巡の通う岬丘高校では生徒数十名ほどなので、全員が否応無しに一般的な生徒会役員でもある。
さて今は四月の下旬。巡の元の世界ならば、まもなく訪れる大型連休の話題に学校や世間は浮かれている頃だろう。しかしこの『彼岸・六文』では、例え巡が元の世界で住んでいた岬丘市をすっかりコピーしたような街並だったとしても、例え元の世界と暦が合致していたとしても、例えカレンダーに祝日が記されていたとしても、『休日』とはならないようだった。
巡は、その事について不満がないわけではない。
体育の時間を謳った基礎体力アップのためのトレーニングも、『魔・技・架』実機を使った訓練も、プログラムが進んで厳しさを増して、疲労が抜けないうちに次の日のプログラムが始まるの繰り返しで、数日のんびりできる休みが欲しいな、と巡は思う事があった。
にも拘わらず、それを表に出そうとは思わなかった。
巡の体がそんなプログラムに馴染んできたという事もあるが、それ以上に、やればやるほど結果に反映される、という充実した今の生活は、休みが不要なほど楽しかった。
まあ、争奪戦の一環として、時折巡の寝床に夜襲をかける雫音、色仕掛けをどう勘違いしているのか少々イタい行動をする菜乃花、それを照れ満載で律する蓮華、等なども含んでのことだが……。
巡は、元の世界では多分……決して体験出来ないリア充満喫気分で、いろいろと楽しんでいた。
「え!? お役目ですか?」
「はい。そろそろお願いしてもよろしい頃かと思いまして」
巡が耳に止まった言葉をつい聞き返すと、春分は当たり前のように答える。
「ちょ、ちょっと待って下さい」
「何かまずい事でもございますでしょうか?」
さらに返す困惑気味の巡と、言葉通り、何か、というように受け答える春分。
「そういうわけではないのですが……なんと言いますか……自信? がないというのか」
「皆さん、最初は失敗しないかと、かなり緊張なさるようです。ですから私どもも、いきなり全てをして頂く、というお願いはいたしません。先ずは馴染んで頂く事が肝心ですので、軽いところからお願いしております」
「ですが俺は……いやまあお役目が嫌というわけじゃないんです……そうじゃなくて、まだ早いような気がするんですよね」
「いえいえ、神宿男である以上、間違いなく出来ます。安心して下さい」
「はあ……で、では最初は……なんといっても初めての事ですので、色々と導いてもらったり、教えてもらいながらということで、そういう経験がありそうな、雫音さんとでしょうか」
困惑する巡は、ある意味希望を含めて問いかける。
「違います、皆さんご一緒です」
「へっ!? 雫音さんだけじゃなく、文月さんや卯月さんも一緒にですか?」
「はい、そうです」
明らかに平然と返す春分に、巡は更に困惑を深める。
「ちょ、ちょっと待って下さい。えっと、それなりに経験がありそな雫音さんは、大丈夫でしょう。文月さんも、最初は慌てるかもしれませんが、何とかなると思います。けれど、卯月さんは……何と言いますか……」
「いえいえ、神宿男四季巡様、神宿女卯月菜乃花様は普段の言動や行動は……何と申しますか……残念な……いや失言……少々危ないところもございます。しかしあのように見えても、しっかりとしたものをお持ちになっておられますから、大丈夫です」
「とは言ってもですね、その……サイズ的な問題が……それよりなによりも、初めてでいきなり三人といたすのは、かなり重いと思うんですが……それでも軽いということは、他の神宿男はもっとたくさんの神宿女と一遍にいたすってことですよね」
この巡の言葉を聞いた春分は、それまで愛想笑いともとれるようなにこやかだった表情を一瞬で怪訝なものに変えた。会話はそれなりにかみ合っていたが、『お役目』の意味を取り違えている事に気付いたのだろう。
春分は、ふむ、と腕を組んで数秒の黙考の後、直接指摘してもよかったのだが、文官らしく万が一の事を考えて、
「今、神宿男四季巡様がお考えになっている『お役目』というのは、どのようなものでございましょうか」
問いかけを作った。
「へ? お役目って……し、子孫繁栄というのか生命の営みというのか……子作り的な? ことですよね」
巡の言葉を聞いた春分は、ふっ、と小さく、鼻で笑うとも嘆息するともとれるような息を吐いた。
「あ、あれ? ななな何か間違っちゃいましたか俺」
あたふたとする巡に春分は、
「いえいえ、それはそれで大事なお役目でございます。しかし今、私が申し上げたかったのは、『魔・技・架』を使っての船外活動でございます」
さすが文官の元締め、というように当たり障りのないように修正をする。
そんな春分の言葉を聞いた巡が、やらかしちゃいました、と顔を真っ赤に染めて頭を掻きむしっていると、
「私が少々言葉足らずだった為に、神宿男四季巡様には誤解させてしまいました事をお詫びいたします」
春分は言いながら頭を下げた。そんな春分に巡は、勝手に勘違いしたのは俺ですから、と再びあたふたするばかりだった。
落ち着きを取り戻した巡は、雫音達が待つ『魔・技・架』格納庫手前のブリーフィングルームに向かった。
室内に入ると、既にレオタードのような『魔・技・架』のパイロットスーツに着替えた雫音達がイスに座ったまま巡へと振り向いた。
巡は、美人は三日で飽きるなんて言ったのは誰だ、とばかりに見慣れたその姿に目を奪われる。実際はここに座っている美人達に、というより、その色気とか艶かしさに目を奪われるというのか、まあ男の性がそうさせるのだが……。
ここに座っている、雫音、菜乃花、そして蓮華は、もちろん巡の視線には気付いている。だからといって、キャーキャー、騒ぐわけでもない。ぶっちゃけた話、毎度の事なのだから、と三者三様の仕草で巡の心理状態を神宿男争奪戦に利用している。人間、目標を持って行動すると、したたかになる。
「神宿男四季巡さん、先に着替えて頂けると助かるのですが」
不意にかけられた声に、巡はビクリと体を震わせ振り向くと、軽薄そうな朗らかな笑みの白衣姿の男性が立っていた。
すみません、と返す巡に白衣姿の男性は、
「いえいえ、時間はたっぷりありますのでゆっくりでかまいません。戻りましたらブリーフィングを始めます」
微妙に皮肉を交えて答えた。
着替えを終えた巡が戻ってくると、ブリーフィングを取り仕切る白衣姿の男性に、
「では始めましょう。神宿男四季巡さんも席に着いて下さい」
言われ巡は、はい、と返す。そして最も手近な席に座ろうとしてふと思う。
巡が座ろうとしたのは、一列六人で三列並ぶイスの三列目。一つ前の二列目には雫音達が体のラインがクッリわかるような、なんというのか艶かしい姿で座ってる。しかも三人とも羽があるため背中が大きく開いている。そこから覗く素肌、小さいのはさておき、蓮華の透けるような白い背中とか、雫音の食べごろに焼けた小麦色の背中とか、思わず背筋に指を這わせたくなるような衝動に駆られるというのか……危険な感情に支配されて、ブリーフングの内容など頭に入りそうにない。
――だ、だめだ、この席に着いてはだめだ――
巡は小さく数度、頭を振って邪念を祓う。
それでも今日は見慣れた艶姿に妙なほど引かれる。これから殺伐とした戦場へ行く前に、美しいものをしっかりと目に焼き付けておきたい、という本能的な思いだったのかもしれない。
――と、とにかくだ、俺が今から行く所は戦場なんだ。生死をかけた闘いの場に向かうというのに不謹慎だぞ俺――
巡は自分を戒めるように胸中で言葉を作り、一列目中央の指定席に座った。
巡が落ち着いたところで白衣姿の男性は、
「さて、本日のお役目をご説明します」
手に持った資料に目を落としながら言った。
巡は、どんな奴と闘う事になるのか、と緊張の生唾を小さく喉を鳴らして飲み込む。
そんな音が静かな室内に複数聞こえた。
そんな緊張感が漂う中、お役目の内容を知っているであろう雫音だけは、うふふ、なのか、ふふふ、なのか、気楽に鼻歌のようなものを口ずさんでいた。
――そっか、文月さんたちも緊張して……って雫音さん、何故に鼻歌的な? ああ経験者の余裕ってやつですね、わかります――
ほんわかと口ずさむ雫音の声に巡はどこか癒されるような気持ちになる。
白衣姿の男性は、巡達新米さんの緊張を察したのだろう、軽薄そうな笑みを崩さず、
「皆さん、大丈夫です。今回のお役目は簡単な回収作業です」
先ず伝えた。と、巡は首を傾げて、
――ん? 回収作業? って『迫り来る魔』との戦闘じゃなくて回収?――
思う脳裏に、怪我をした兵士や壊れた装備を回収するシーンが流れる。巡は、
――近くで戦闘があったのかな……それに参戦した第一執行部を回収するのか? まあ、俺達は技術的にも人数的にも、まだまだ実戦なんて早そうだし、後方支援的な役回りで良いかもしれないな――
と、白衣姿の男性の言葉を胸中で解釈してみた。
白衣姿の男性は巡達を一瞥し、ふっ、と息を吐いた。雫音以外が疑問符を浮かべたような同じ顔をしていたためだろう。
「ご存知の通り、私達は『異世回廊の交差点』に浮かぶ『彼岸・六文』という巨大な船に住んでいます」
白衣姿の男性は、今更説明を受けるまでもない事から切り出した。
「そして異世回廊に生まれた者が知る限り、この『異世回廊の交差点』には、星、つまり大地というものが存在していません。あるのは広大な空間だけです」
白衣姿の男の言葉に巡達新米さんは、それがどうしたの? というように首を傾げる。
「この『異世回廊の交差点』には、大地や星の恵みである固有の資源がないのです」
巡達新米さんは室内を見回し、へ? じゃあここはどうやって作ったの? と複数の疑問符を浮かべ、首がねじ切れそうなほど傾げた。
「ゲートが開いて向こうの世界とつながった時、この『異世回廊の交差点』に来るのは『人』だけではありません。ゲートの開いた先によっては、水、土、種、草木、動物、鉱物、金属、非金属、工業製品等々様々なものが流れ込んできます。
資源のないここでは、それらを回収しなければ物が作れません。万能の『神宿』といえども、無から何かを作り出せませんからね」
白衣姿の男性が、ここまでは理解して頂けましたか、というように愛想の良さそうな笑みで一度話を切ると、巡達新米さんは、なるほどね、と得心がいったように頷いた。
「さて、概要をご説明しましょう」
巡達新米さんは、白衣姿の男性の言葉に耳を傾けた。
『彼岸・六文』が航行する宙域でゲートが開き、向こうの世界から資源が流れ込んだらしい。同宙域には他に艦船はなく、取り決めで今回は『彼岸・六文』が独占出来るようだ。何より向こうの世界から『人』が引き込まれている可能性もある。
巡達の主たる目的は、その確認と回収である。
と、白衣姿の男性は、ただし、と置き、
「私達には、向こうの世界の構造がわかりません。従って流れ込んだ物が未知の物質である可能性もあります。有害な物質かもしれません。軍事利用が出来るような危険な物質かもしれません。それはなにも物質だけに限った事ではありません。引き込まれた『人』がいた場合、必ずしも友好的である、とはいえません。敵意剥き出しで武器を突きつけられるかもしれません。しっかり見極めて慎重に行動して下さい」
言うと、巡達新米さんは緊張の面持ちになる。その様子を白衣姿の男性が、相変わらずの笑みで見回し、
「まあ、そういうのは極々稀な事例なんですがね。基本的には、どの世界も構成する物質の構造に大差ないですし、それに人体に有害な物質や人物ならば『神宿』が遮断してくれます」
緊張する新米さん達に、毎度毎度同じ言葉をかけているのだろう。緊張をほぐすように柔らかく言った。
「観測班の調べでは、現在の反応は資源だけのようです。もし『人』が一緒に引き込まれていたとしても、どこかの船に転送された後でしょう。周囲には『迫り来る魔』の反応もありませんので、安全なお役目になると思います。
何かご質問はございますか?」
白衣姿の男性は、最後にお決まりの言葉を付け加え、巡達を一瞥する。対して巡は、首を小さく振るお決まりの反応で返す。
「それでは準備の後、こちらの指示があるまで待機していて下さい」
白衣姿の男性は、よろしくお願いします、と軽く頭を下げてブリーフングルームから出て行った。
雫音が再び鼻歌のように歌を口ずさむ声だけが響く室内で、巡が肩越しの視線で後ろを見ると、蓮華、菜乃花は表情を硬くしている。
もちろん巡も不安に支配された緊張が全くほぐれないでいた。
例え安全なお役目だといわれても船外での活動は、シミュレーターはもちろん、演習場とも勝手が違うだろう。何より船外には様々な万が一があるかもれない。そんなふうに思うのは初めての出撃だからだろうか、それとも出撃するたびに、こんな思いに支配されるのだろうか。
当面は戦闘の伴わない今回のようなお役目を任されるのだろう。けれどもいずれは、ほんの僅かの差が生死を分けるような、本当の戦闘を任される事にもなる。その時自分は、そのプレッシャーや不安に耐える事が出来るのだろうか。それを何度か乗り越えれば、不安やプレッシャーは消え去る、それとも慣れて感じなくなるのだろうか……!!
と、思ったところで巡は思案を止めた。
――そうなるって異常な事じゃないか? 自分達の生死のかかった戦闘への不安やプレッシャーが消え去る? 慣れて感じなくなる? そういう感情を失っちゃ駄目だろう。人間としてどうなのかって思うし……。
とはいえ、困るよな……相手が同じ人間じゃない事が救いか……やっぱり割り切るしかないのかな――
そんな葛藤が巡の胸中で渦巻く。と、唐突に、
「今、四季君に必要なのは勇気」
聞こえた雫音の言葉に、はたとして我に返った巡が振り向くと、いつの間にか巡の両肩に手を置いた雫音が立っていた。
巡は、自分の体に触れられていた事にも気付かないほど、不安やプレッシャーを感じていたことに、あまりに情けないだろう、とショックを受けた。
雫音は、そんなになるまで不安やプレッシャーに押しつぶされそうな巡の胸中を仕方なく覗いたらしい。もちろん今の巡はその事にとやかく言うつもりはない。
「勇気?」
「そうそう、必要なのは勇気よ。殺戮マシーンではない私達には、不安やプレッシャーを消したり、慣れたりする必要はないわ。
不安やプレッシャーに打ち勝つための勇気が必要なのよ」
そんな雫音の言葉に、巡は、そして一緒に話を聞いていた蓮華、菜乃花も納得するように頷く。
「そ、そうですよね、勇気ですよね。苦難に立ち向かう勇気か……何だか格好良い言葉だな……そっか勇気か……まさか実際に聞く事になるとは……勇気ねぇ……」
巡は、仮想世界の台詞でしか聞いた事がない勇気という言葉を、照れくさそうに鼻の頭を掻きながら、自分に言い聞かせるように何度か繰り返し呟いた。
「そうねぇ四季君が今持っている勇気といえば……。例えば例えば、寝たふりをしている私のおっぱいをツンツン突くために最終ラインを踏み越える勇気とか、そんな日に限って起こしに来る蓮華ちゃんの怒りに立ち向かう勇気とか、事あるごとにパンツを見せびらかす菜乃花ちゃんから見たいのを堪えて目を逸らす、そんな退く勇気とかね。そんなそんな小さな勇気を育てていけば、どんな困難にも立ち向かう事のできる勇気になると思うわ」
しれっと言った雫音の言葉に新米さん達が一斉にふいた。それまでの良い話が台無しになった瞬間であった。
「しししし雫音さん、なななにを言っているのですか? ととと特に最後のは全力で否定します。間違っても見たいのを堪えていません。見せつけられて困ってるんです」
「なんだとぅ! あたいのパンツは見るに耐えんという事か! 違うな、あまりの色気に見ていられないってことか?」
小さいのがイタい事を口に出して騒ぎ出し、それをきっかけに、
「四季巡、最後を全否定ということは、他は否定しないという事だな。つまり四季巡は、雫音さんのおっ……その……ツンツンしているわけだ。そのうえ、あたしに立ち向かってくるわけだ。ならばあたしも、今後はその覚悟で四季巡に挑む事にしよう」
戦乙女が、途中口ごもりながらもその形容ピッタリの凛々しい言葉を投げてきた。
何をどう間違ってそういう話になったのか、
「いやいやいや、皆さん落ち着いて下さいね。そもそもツンツンなんてしてません。そりゃ、俺達男子にとってはですね、そういうものが目の前にあるとですね、なんというのか……抗いがたい魔性の誘惑……とでも言いますか……それをですね、ツンツンしたくなる気持ちをですね、グッと堪えてですね……そうそう、それこそ退く勇気というのか……って雫音さん、寝たふりって言ってました? 俺のした事を全部知っていたんですか?
…………あっ!!」
巡が失言に気が付いた時には、手遅れだった。
半目の蓮華が突き出した正拳は見事に巡のストマックを捉えていた。うげぇ、と怪しい悲鳴を上げる巡の耳に、
『お楽しみ中のところ申し訳ございません。そろそろ準備をお願いします』
白衣姿の男性の声がスピーカーから届いた。
「さてさて、あまりお待たせしても悪いわ、急いで行きましょうね」
良い話を混沌へと導いたサキュバスが再びしれっと言って格納庫へ向かう。
「四季も早く来いよ。お前が来ないと始まらないしな」
その後を熱い台詞を残して熱血精霊が格納庫へ向かう。
「四季巡、戻ってきたらこれからの事について色々と話し合おうな」
今ではなく、もっと甘いシチュエーションで、優しい声音で言われたいような、そしてこのシチュエーションでは、かなりヤバいフラグが立ったような気がする言葉を置いて戦乙女も格納庫へ向かった。
「まずったな……さて俺も行くか」
一人残されポツリと呟いた巡は、不安やプレッシャーはやわらいでいることに気付いた。雫音がここまで見越していたのかは定かではないが、ここまでのやり取りのおかげだな、と思う。同時に、
「相変わらず文月さんは……厳しいな」
少々痛みの残る腹をさすりながら格納庫へ向かった。
読み進めていただき、ありがとうございます。




