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別れ
彼の大きな手のひらが、私の顔を覆ったかと思うと、床へ叩きつけられた。
そう、彼は学生の頃、バスケットボールをやっていた。
私の頭は、ボールのように力強く床に叩きつけられた。
気を失った。
次の瞬間、彼に抱き上げられていた。
一瞬の幸せに身を任せた後、
記憶が戻る。
暴れて彼の腕の中からすり抜けようとした。
警備員達が、ふたりを引き離した。
どこかの部屋で、横たわっていた。
頭が、ガンガン痛んだ。
落ち着くと事情を聞かれた。
その後、CTスキャンを、取りに行った。
普通何ヶ月も、待たされるらしい。
異常がなくて、ホッとした。
年を取った優しい警備員さんに、
諭され彼とは別れることに決めた。
それが、20年以上前の話だった。