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6月1日  金曜日  黒板消しと銀の靴2

 5時間目までの授業が終わったあと、本来なら総合である時間を使って全校集会があった。校歌斉唱までつくかなり正式なものだ。

 今日で実習が終わる教育実習生のための離任式のようなものらしい。

 この学校に来ている教育実習生の実習期間は最低3週間、長くて4週間だ。まだまだ実習を続ける人もいるが、式典はなるべく1回で済ますという生徒にありがたい方針のせいで、実習期間が4週間の人たちはこの集会のあとも帰らないという微妙な立場に立たされることとなる。

 わがクラスの教育実習生芳賀さんは、3週間の実習期間だというから、ちょうどいいのだけれど。


 壇上に上がったのは彼のオトモダチだという塚本さんだったので、じっくり観察させてもらう。

「いろいろな経験ができて本当に楽しかったです」という、いろいろって何の経験だ、と直子に突っ込まれそうな挨拶をそつなく爽やかにこなしていった。「いろいろ」の中に私が入っていないと思いたい。


 舞台の幕のそばに並べられた椅子に腰かけている芳賀さんを認めて、ああ、今日はネクタイをしているな、と思う。いや、そんなに驚くべきところではないのだけれど。

 そのネクタイは杉綾模様の、私が黒板消しとおそろいだと言ってしまったときのもので。もしや嫌味か、などと勘繰ってしまう。

 6月に入ったので、今日から衣替えで夏服だ。

 生徒は皆半袖になったので、白いYシャツに淡いグレーのスーツを身につけ、きっちりネクタイまで締めた彼の姿は目立つ。いや、ほかの実習生もスーツ姿なのでそれほどでもないか。

 目立つと思うのは、私が彼を見つけてしまうからだろうか。


 集会が終わったあとは、それぞれのクラスに戻り、別れの挨拶をする。

 そのときにあの色紙も渡されることになる。


 気付くだろうか。 

 それを確かめるのは、まだ先のこと。

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