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5月21日 月曜日  黒板消しとブルーマンデー2

 朝のショートホームルームで、わがクラスの教育実習生芳賀佑介は以下のように述べた。


「えー、そこのカレンダーによると今日は旧暦の四月一日だそうですが、嘘などつかずに一日過ごしましょう。ちなみに俺はそういうイベントだからといって嘘をつきませんし、嘘をつかれたら冗談で済ましたりはしないので、心しておくように。まあ」

 

 短く言葉を切ってクラスを見渡す。こういう間の取り方はまだ実習生なのにやたらとうまい。


「新暦と旧暦の区別もつかない大馬鹿者も中にはいるだろうが」


 ワタシノコトデスカ。


 一同笑う。

 笑えないのは私だけだ。いや、彼も目が笑っていない。

 うわー、根にもってるよー。わざわざ釘を刺してくるあたり、先週の出来事を忘れたわけではないとアピールしている。

 まあその場はそれで済んだ、ような気がしたのだけれど。



 そのあとはお約束の展開になり、今日の私のクラスでは嘘が流行った。

 本物の、というか新暦のエイプリルフールは春休み中で学校が始まっていなかったので、その分まで嘘をつき倒そうとでもいうように嘘にまみれた一日となったのだ。

 あちらで人面犬を見たという話が出ればこちらでは金環日食の空にUFOが飛び、俺実はヅラなんだよね発言から私この前街でアイドルに会っちゃった話まで、思いつくかぎりの嘘が蚊柱もかくやとぶんぶん飛び交った。担任まで今日の授業は自習などという紛らわしい嘘を堂々とついてみんなをぬか喜びさせる始末で、事態は手のつけようがなくなった。


 私はといえば、みんなが嘘です嘘だよ騙された、と笑いながら明かすのを聞くたびに金曜のことを思い出し、彼もああいうふうに笑って嘘だって言ってくれればよかったのにと身勝手な逆恨みをして、そんな自分にげんなりしていた。

 早退しようかとちょっぴり本気で思ったけれど、それさえも嘘として扱われたらしばらく立ち直れない気がして、曖昧な笑みを浮かべつつやり過ごすことになった。


一日中続く拷問ですか、これは。


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