表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/95

5月18日 金曜日  黒板消しと赤色警報7

「…………」

 絶句。

 あれ。ここは、「くっ、見破られたか、かくなるうえは……!」とかなんとか返ってくると思ったのに。

 彼は何も言わないままだ。


「そこにカレンダーあるだろう。もう五月だ、四月馬鹿はない」


 心底疲れたとでもいうように、溜息交じりに棚の方を示される。こんな馬鹿に付き合っていられない、と深い吐息が語っている。

 なんとなくむかつく。いや、これも敵の作戦のうちに違いない。きっとそうだ、惑わされるな。

 冷静に、指摘する。


「そこにカレンダーあるでしょう。今日は旧暦のエイプリルフールです」


 私の指摘に、彼はカレンダーに再び視線を投げた。

 まじまじと旧暦の日付を見る彼の顔は、睨みつけるようにしかめられている。眼鏡をかけているにしても、教室の中央辺りからカレンダーが読めるとはなかなか視力がいいようだ。

 少し小さめの「5月」の文字、大きく見える「21」の文字。その他の情報は、私の位置からだともっと近づかないと読めないくらいの大きさだ。見る人が知りたい優先順位が明確につけてある、良心的なデザインである。ということはつまり、知りたい人は少ないだろう旧暦の文字は小さい。

 え、まさか、今気付いた、のか?

 まさか。


「旧暦なんて知るか。現代は太陽暦だし、四月馬鹿も太陽暦の習慣だろう。旧暦は太陰太陽暦だから関係ない」

 妙に詳しいな、この人。これだけ知ってるんだから、やっぱり今日が旧暦エイプリルフールだと知っていたんじゃないか。


 ああ、だが、と彼はことさらゆっくり尋ねる。

「今日は何曜日だ」

「金曜日ですけど」

 いくらなんでもそれくらいわかる。今日は週末ではないか。


「そこにカレンダーあるだろう。もう一度よく見ろ。日付と曜日のところを」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ