第1話 始まり
俺は最低な人物だ。
守らなきゃいけない人を、傷つけてしまった。
そして、その事実から逃げてしまった。
逃げ出した。
俺にはもう、誰かを愛する資格なんて、そんなものはない。
一生の傷を負わせてしまったのだから。
「それでも僕でいいのなら…」
~~
「あー、進路先どうすっかなー?」
俺は蒼河零。現在中学三年で志望校を決めようとしているところだ。
「零、もう志望校決めたか?」
「え?ああ、定時制行こうと思うんだよね」
「何で?普通に全日制行けるだろ?」
「そうなんだけどさ、やっぱ働かないと…」
「…そういやお前の家って…」
「…ああ」
「ま、まあ自分で決めろよ。俺がどうこう言える立場じゃないし。」
「…心配してくれてたのか?」
「そ、そんなわけないじゃん。」
「あー、お前が女子だったらなー」
「お前…」
「ま、お互い頑張ろうぜ。」
そう、俺は働かなければいけない。
早く自立して、これ以上祖母に迷惑をかけるわけには…
そんな事を考えていた夕食中。
「零、好きな高校いきな?」
「?」
「あんた、自分で行きたいと思ったところにいきな?」
「…分かってるよ」
「…そうかい」
そして、俺は定時制に行こうとしたが…
先生にめっちゃキレられた。別にキレなくたっていいじゃん。
「お前はここに行け!」
そんな無茶な。
結局、俺は公立高校には珍しく、3つのコースに分かれている高校に進学が決定した。
その高校で、そう、俺は…どうしたら良いのか、分からなかった。