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呪いのオルゴールは幸せになりました

作者: 夜都 栞

「なろうラジオ大賞7」参加作品です。1000文字以下が参加条件の短編となります。

「ども~、まっつんです!『マジコワ!怪異チャンネル』今日は“呪いのオルゴールと一晩一緒”でーす!チャンネル登録よろしく!」

「森やんやで~。このオルゴールやば!人形の顔割れとる。きっしょ!」

「深夜に勝手に鳴り、人形が回るとか……」

「ベタすぎ~、ほな行くで!」

*

只今ご紹介にあずかりました、わたくしは醜い”呪いのオルゴール”でございます。

……でも、小さな工房の職人に作っていただいた時は、「なんと美しい出来だ。きっと大切にされるだろう」と褒められたものです。


──その言葉は嘘だったのかと、何度思ったことでしょう。


遠い昔、わたくしは幼い少女への贈り物となりました。箱が開けられたときの輝く瞳……昨日のように思い出せます。

ねじを巻かれるたびわたくしは歌い、小さな人形が回る──彼女はただうっとりと聞き入るのでした。……幸せな日々でございました。


やがて戦火が国を襲い一家は離散。わたくしはわずかなパンと引き換えに、泣き叫ぶ少女と引き離されました。

その後はただ“物”として交換されるばかり……、誰もねじを巻いてはくれません。戦争は人々から音を楽しむ心をも奪いました。


やがて壊れたわたくしは物置の奥深く眠り──、次に陽を浴びたのは東洋の島国へ骨董として送られた時でした。

しかしもうねじを巻かれることもなく、気づけば”呪いのオルゴール”と呼ばれておりました……。

*

「……何も起きねーじゃん!またボツかよ!」

ガシャン!……リン……、

「今、鳴った!?」

「おまえが蹴ったからやろ」

「撮ったよな?それ、編集でさぁ……」

*

「超バズったな!」

「アホ、大炎上や!大手に『低レベルすぎるヤラセ』て晒されて……」

「でも、あのオルゴールも動画見た人に高値で売れたし、ラッキーだったな~」

*

白い窓枠の出窓に、わたくしはそっと置かれました。

すっかり綺麗に修繕され……、そして今、骨ばった細い指が、優しくねじを巻いています。

「奇跡ねえ。ひいばあちゃんの思い出のオルゴールが、まさか日本の動画で見つかるなんて」

あの少女は穏やかな老婦人となり、ひ孫がわたくしを探し出してくれたのです。

「さあ……巻けたわよ」

止まった時が流れだしたかのようにわたくしは歌い、少女は聞き入る──。

麗らかな日差しの中、職人の言葉を思い出しながら……、わたくしは幸福のオルゴールとなったのでした。



まっつんと森やんも、「炎上系ヤラセVtuber」としてそこそこの人気活動者となったのでした。

めでたしめでたし。

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