3話 奴隷狩りショーにて
仮面をつけた大男に首根っこを掴まれ引きずられ…どこかに放り出される。
「紳士淑女の皆様方!今回も奴隷狩りショーの開催です!」
どこかから大声が聞こえてくる。とそれに呼応して別の声も響く。
「うおおお!!!」
「今回は新たな奴隷も加わっています!名前はシャドー!唯の冒険者です!」
どうやら俺は謎のショーに奴隷として出されたらしい…
「そして狩るのは…こちらの方々です!」
そう言って出て来たのはオーク…
の仮面をかぶった大男だった。手に良くしなる鞭を持っている。
「つまり…俺はこいつらに狩られる見世物って事か…悪い国だなこのシグマ王国も…」
「ん?シャドーは違う国の人間なのか?」
「まぁ俺は海を隔てたミュー王国の出身だからな…」
グレッグに尋ねられ、俺はそうとだけ答える。
「新たな冒険者がどんな鳴き声をするのか楽しみだなぁ~なぁメロン?」
「そうね。せっかく私が連れて来たんだから耐えてもらわないと。耐えれば私にも500万入るしね」
メ、メロン?!何でアイツが主賓席に…まさか俺を騙したのか?!
「メロン!てめぇ俺を騙しやがったな!」
「騙してなんかないわよ。手伝ってほしいことがあるって言ったでしょwちゃんと耐えて500万稼がせなさい!」
メロンの目は邪悪に染まっていた。己だからこの手の奴は信用しちゃいけないと死んだ婆ちゃんが言ってたっけなぁ…
「さぁ泣き叫べクズども!俺様のお通りだァ!」
そう言って大男は鞭を鳴らす。俺はとっさに武器を探したが、木刀の一本もありやしない。このまま打たれるのが定めか…
「ヒィッ!」
グレッグが打ち据えられのたうち回る。彼は元冒険者とか言っていたがその割に肉体が貧弱だ…おそらく長年の生活のせいで肉体も精神も衰弱してしまっているんだろう。本当にひどい話だ…
俺にも鞭が来た。武器などないので避けるか耐えるしかない。俺は避ける方を選択した。腐っても冒険者!俺はひょいっと避けていく。
「避けてんじゃねぇ!舐めてんのかカス!」
舐めてねぇよ!バカにすんな何で俺がやらなきゃならないんだよ!
一瞬視線を動かすとメロンは高そうなワインを飲んでいた。
「あ~つまらない。もっとのたうち回ればいいのに…どうせ元のパーティーからも用済みってされた男なんだからさぁ…ちょっとは役に立ちなさいよねぇ…」
メロンの野郎…後で絶対に絶対にぶっ殺す!でないと俺の気が収まらねぇ。
「助けて…誰か…」
子供の声が聞こえる。子供まで対象とはクズ極まりない連中だ。助けかぁ…いつ来るのかなぁ…俺も基礎戦闘力自体はそんな強くないんだし…これ全部助けるのは無理だし誰かの助けが欲しい…
(助けてください…神様仏様、ユリウス様…)
俺がそう願った時「ぐはぁ!」と門番が殴り飛ばされた音がした。