2話 俺の隣国での仕事と役目
メロンは俺に地図を渡した。
「今隣国にオークに占拠された里があるのよね。それの退治」
「今向こうにいるギルドメンバーじゃダメなのか?」
「ダメ。あなたに頼みたいの」
メロンはそう俺を見つめる。手をもって胸に近づける。
「これでもダメかしら?」
「や、やります!」
俺は二つ返事で隣国に渡ったのだった。
「これが船よ」
俺の目の前には巨大な船…ではなくボートが存在したのだった。
「あの…このいつ沈むかも分からない小舟で隣国へ渡れと?!」
俺は不満を述べる。するとメロンは嫌そうな顔をして
「これは極秘任務なの。だからバレないようにする。巨大な客船で堂々と移動したらバレちゃうでしょう?」
何でオークを退治するのに極秘にする必要があるのかは疑問だが、メロンが言うので従うしかない。これは俺に課せられた任務だ。反対側にメロンを乗せてオールを漕ぎ出す。
「しかし…それで大丈夫なのか?」
「大丈夫よ。早くしなさい」
メロンに急かされるので俺はボートを漕ぎ始める。
着いたのは寂れた村だった。
「本当にここにオークがいるのか?」
「そうね…今は向こうの洞窟で寝静まっているけれど、きっとオークはいるわ…」
メロンはそう言って洞窟の奥を指してくる。俺は言われるがままに入っていくと…
「何もないじゃねぇか!」
「かかったわね!」
そう言われた時にはもう遅い。後ろを振り返るとメロンが一気に魔法をかけ、辺りを霧で包んでしまう。
(これは催眠魔法?!)
「メロン…何をする」
「知らないわねぇ…後で会わせてあげるわよ」
メロンにそう言われ俺の意識は落ちる。
「起きろ…起きろあんちゃん!」
俺が目を覚ますとそこは凄く暗い空間だった。
「何か用かオッサン…」
「何か用かなんて呑気なこと言うな!俺らは捕まっちまったんだよ!」
俺を叩き起こした男はグレッグと言う元冒険者でもう3ヵ月らしい。
俺は暗い空間の光の方へ進む。そこは格子でとじられていた。牢屋だと察するのに時間はかからない。
「そうか俺はあの女に捕まったか…ここはどこだ?」
「ここは非公認の奴隷商会…いや商会ならまだマシかもしれないな…」
「俺は殺されるのか?」
「それを願った方が良いな。でないとボロボロになるまで苛め抜かれちまう…」
恐ろしい所だ。何で俺をこんな所に送りやがったんだよアイツはさぁ…
「俺はシャドーって言うんだ。冒険者」
「シャドー…お前は怖くないのか。殺されるかもしれねぇんだぞ?」
「怖い…」
怖いと言ったらそれは俺の心に嘘をつくことになる。でも俺は腐っても冒険者だ。目の前の恐怖から逃げ出すことはもっと恥ずかしいことだと思う。
「俺は冒険者だ…怖いなんて気持ちは薄いさ」
「そうか…お前のココロはいつ折れちまうかね…」
グレッグは不穏なことを言い出す。