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異世界人の経世済民 転移者は経済を立て直す  作者: キャズ
供給不足編

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18/40

第18話 シュナウザー領にて

 ぺンブローク領で法人税増税が施行されて一月の時が過ぎた。

 富楽が進めた、限定的な通貨の発行、社会保障の強化、法人税の増税といった政策は施行してそこまで日は経っていないものの、景気回復や格差の是正といった成果を出し、結構な短期間で成果を出した事で、巷ではまるで奇跡が起きたかの如く語られる様になっていた。

 やはりペンブローク領が一丸となっている事は強く。産業が育てば皆を豊かにする事ができる。領内で優れた物やサービスを作れる様にしなきゃいけない。領民がカネを使える様にしなきゃいけない。産業の現場にカネが流れる様にしなきゃいけない。そういった意識が領全体に広まった事で、ペンブローク領の経済は、少し前まではボロボロだったとは思えない程の回復を実現して見せたのだった。

 経済政策を順調に進めていたそんなある日。

 政治に関する意見を交わす事を名目に、領主が集まるパーティーが開催される事となり、メディナと富楽はそのパーティーに招待された。

 領主であるメディナが呼ばれているのは当然だが、今回ペンブローク領で行った経済政策について聞きたい事でもあるのだろう、経済顧問である富楽も名指しで呼ばれていた。

 強制参加という訳ではなかったが、今後の事を考えると他の領主達とも会った方が良いだろう。そう考え、富楽とメディナはそのパーティーに参加する事にした。


 ルプス連邦シュナウザー領。そこにある街の中、メディナ、富楽、ジェーツを乗せた馬車が進んでいく。

 富楽は窓から外を眺めながら呟く。


「言っちゃなんだが、ペンブローク領とは格が違うって感じだな」


 シュナウザー領はペンブローク領と見比べて明らかに発展していた。人通りは平日と休日の娯楽施設くらい違い、馬車ではなく自動車に乗る人も多く、ペンブローク領では主要な道にしかなかった舗装された道路や街灯等もしっかりと行き渡っている。ペンブローク領では見られなかった巨大な建造物も多く見られ、比較すると首都と地方くらいの差がある様に見える。

 ジェーツは語る。


「シュナウザー領はルプス連邦の中でも特に大きく発展していますからね。ルプス連邦全体の政策決定もここで行われていますし、正にこの国の中心地と言える所ですよ」


 メディナは富楽のペンブローク領と格が違う発言に不貞腐れながら言う。


「ふーん。どうせペンブローク領は田舎ですよ」


「ハッハッハ。田舎っていうのもそう悲観するもんでもないぞ。前にも言った様に、経済にとって重要なのは供給能力だ。そんで必要な物を作っているのは都心部じゃなくて地方だからな。ペンブローク領は農業も工業も程よくあって自給だってできるんだから、しっかりと産業を成長させりゃあ良い。必要なのは適材適所だよ」


 富楽は田舎も良いもんだ的な話を終えると、話題を切り替える。


「そうそう、今回のパーティーを開催したシュナウザー領の領主ってどんな人なんだ?」


 富楽は経済状況を把握するために大量の資料を読み漁ったが、それはあくまで経済がどうなっているのかを知るためだ。各領主の人物像を調べるまでは手が回っていない。経済政策に全力だったため、未だに経済状況以外はからっきしなのだった。

 メディナは富楽の疑問に答える。


「シュナウザー領の領主、アルダート・ギィグ・シュナウザー。復権派の筆頭で、我が国の領主の中でも特に強い権力を持つ領主ですね」


「ふむ。その復権派ってのは?」


 富楽の追加の質問に、今度はジェーツが答えていく。


「富楽さんは、ルプス連邦がかつて貴族中心の国家であった事はご存知ですよね?」


「いや知らんが」


 出鼻をくじかれたジェーツはコホンと咳をし、仕切り直す。


「ルプス連邦はかつて、領主や一部の貴族だけが政治に関わる事の出来る貴族中心の国家でした。それが変わったのは15年前、労働者層の意見も政治に取り入れ、より良い政策を進めていこうという考えの元、一般の国民にも政治を動かせるだけの権利が与えられる事になりました。それまでは領民の不満意見も貴族が権力で抑え込む様な事も多かったのですが、民主化が進められて以降、貴族が領民の意見を無下に扱う事は出来なくなったのです」


 その説明と復権派という名前から富楽は察する。


「なるほどね。復権派ってのはかつての貴族中心の政治を取り戻そうって派閥か」


 ジェーツは頷き答える。


「はい」


 メディナはそれに補足を付け加える。


「最近では景気悪化もあって、民主化そのものを懐疑的に考えている人も増えてきています。だから、大衆の間でも貴族の権力を戻すべきだと考える人が増えていて、復権派は勢力を増してきている状態ですね」


「へぇ。ちなみにメディナさんはどうなんだ?貴族の権力を元に戻すべきだと思うかい?」


 メディナは当然だと言わんばかりに迷う事なく答える。


「いえ。私は権力者を放置すれば好き勝手やってしまう事も、それを止めるために大衆の声が必要な事もその身をもって知っています。今の景気悪化が貴族に権力を集中させて良くなるとは思えませんね。富楽さんがやった様に、正しい経済知識を広めて、権力者と国民が一丸となって経済の成長を目指す事こそ必要だと考えています」


「ふむ、メディナさんは民主派か。じゃあ今回のパーティー、復権派も民主派も関係なく呼んでるのか。となると、目的は同じ派閥の領主との意見交換だけじゃなく、対立派閥の様子見や引き抜きとかも考えてそうだな」


 アルダートの考えを深読みする富楽。

 案外アルダートはただ意見交換したいだけかもしれないが、復権派は対立派閥、国民と政府が協力し合うという富楽の策とも必ずぶつかる事になるだろう。備えや心構えはしておいて損はない。

 どんな人物かは分からないが、敵対する可能性の高い相手。どんな策を出してくるのか、お手並み拝見といった所か。

 そうこうしていると、馬車はパーティーの会場へと到着した。

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