9話 腹黒美少女は遭遇する
それまた数日後のこと。
『やつが.....Gが出ました。た、たすけてください』
そう電話で御堂が俺に助けを求めてきたのは俺が寝る直前のことだった。時間にして10時半。電話からはか細く泣きそうになっている御堂の声が聞こえてくる。
俺と彼女が同じマンションに住んでいるということを知ってからは、彼女は何かと面倒事を俺に持ってくるようになった。
幸いなのは今日が金曜日であることだ。最悪明日は一日中ぐーすか睡眠をとれる。
ただ・・・
ゴキブリ、、、、、ねえ・・・・
「殺虫剤はあるのか?」
『いいえ、まさか清潔な私の家にゴキブリがでるとは思ってもいませんでした・・・』
自信ゆえのデメリット……
学校では完璧を演じている御堂が用意周到ではないなんてこれまためずらしい。
というかうちに殺虫剤なんてあったっけ?Earthのゴキッ◯ュ。そう思いクローゼットを開けてみるもの・・・・・
「あっ・・・」
うちにもないわ。てへぺろ☆
「御堂、悲しいお知らせがある」
『なんですか』
「俺んちにも殺虫剤ないわ」
『え?ええええええええええ?!どうしましょうどうしましょう!・・・』
めっちゃあたふたしてる。
「んじゃそういうことだから。がんばって———」
そう言って俺は電話を切ろうとして———
『マジでしばきますよ?』
「ひゅん。怖いっぴ」
『ふざけている場合ではありません!これは一大事です!』
御堂に残酷な事実を伝える。
「なあ、ときに御堂よ。ゴキブリって一匹見つかったらほかにもいる可能性が高いらしい」
『え・・・・・・・・・・・』
めっちゃ絶望してるんだけど。
ったく、しゃーねーな。
「どこに出たんだ?」
『え、えっと寝室です』
「んじゃあ、俺が下のコンビニで殺虫剤買ってくるから、とりあえずゴキブリは部屋に閉じ込めて待機だ」
『待ってください、私をゴキブリと一緒にひとりにしないでください!このままだと死んじゃいます』
一人じゃないよ。だってキミにはゴキブリくんがいるんだから⭐︎いつまでもいつまでもお幸せに、ね?
「なら一緒に来るか?」
いつもは拒否されるだろうなと思いながら誘ってみると。
『はい........この時間帯なら貴方と一緒にいるのを見られる心配もないでしょう。そうします!』
と返事が返ってくるのだった。