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清楚で謙虚だと思ってた完璧美少女が実は腹黒だった件  作者: ばななすくりぷたー
第2章 「そういうことにしておきます」
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41話 それぞれの思い

〇稲庭伊吹視点


御堂が帰って誰もいない、静寂な部屋。

御堂が一口だけつけたコーヒーを流し台に流す。


虚無感でいっぱいだった。


だというのに、人間というのはそんなときでもお腹が減るらしい。


これには俺だって苦笑いするしかなかった。


「お腹、減ったな……」


そうして冷蔵庫を見ると、御堂が美味しい料理を作ってくれるからと、多めにストックした野菜類。


「………馬鹿か、俺は」


何浮かれてんだよ。


御堂はちゃっかりしていて、律儀だから。


だから、冗談で言った約束を履行した。


それだけに過ぎなかったのに。


「何を勘違いしてたんだ………」


アイツは素でも根はいい奴だから、約束を果たしても―――。


そんなの、彼女の優しさに漬け込んで、利用してるだけじゃないか。


つくづく、自分の愚かさに気づくとともに自己嫌悪を感じる。


結局、自炊する気も起こらず、最寄りのコンビニで弁当を買い、持ち帰ることにした。


「ん、不味いな………」


ここ最近、御堂の美味な料理を食べていたのだから、舌が肥えたのかもしれない。


「まぁ、感覚は戻ってくか」


だって、もう、彼女の料理を口にすることはないのだから。


でも、一つ願望を口にするのなら。


「―――アイツの料理が食べたい」


俺はとっくに胃袋を掴まれてると苦笑するほかなかった。


〇御堂小春視点


稲庭君の家を出て、一個上の家に帰る。


誰もいない居間。


冷蔵庫にあったもので適当に夜ご飯を作ると、一人で食べ始める。


部屋に響くのは、食器がお箸と当たって鳴る接触音のみ。


「ほんっと、稲庭君が居なくて楽です。清々します。清々………」


だというのに。


―――どう、して。


頭を過るのは稲庭君と晩御飯を食べるここ最近のこと。


〈美味い……美味すぎる。人生で一番好きなオニオンスープかもしれない〉


私が作った特製のスープを褒めてくれた稲庭君。


〈タコのカットできる奴がタコ焼きはできないって、なんか新鮮〉


ちょっぴり生意気な口を利く稲庭君。


〈偽りの御堂小春を作ったのは本当の御堂小春なんだから、お前が偽りの自分を受け止めやれよ〉


猫を被った私でもいいって言ってくれて私を慰めてくれた稲庭君も。


〈いい感じの所に頭があったからな〉


それに私を甘やかしてくれる稲庭君だって。


――――でも。


今、そんな彼は居なくて。


私が突き放してしまって。


自業自得なのに、胸の奥に感じる、この感情は――――。


今までそれが当たり前であったというのに、どうしてか今の自分がそれを当たり前だと認識できなくなってきている。


「―――寂しい、ですよ…………」


その言葉を静かな部屋でポツリと呟く。


「私の、ばか…………」


そうして自分を罵倒するが。


―――何も、変わらない。


誰も、私を許してくれなかった。

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