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清楚で謙虚だと思ってた完璧美少女が実は腹黒だった件  作者: ばななすくりぷたー
第2章 「そういうことにしておきます」
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36話 クリスマスの余韻

〇御堂小春の独白

昔から偽りの自分が嫌いだった。


形だけ。


上っ面だけ。


そうしているうちに、自分が空っぽだということに気が付いた。


だから自分のことを誰かに見てほしくて、頑張った。


勉強も。


スポーツも。


他のことだって。


それはただ親に求められる”完璧”のためなんかじゃない。


自分のためだ。


そう言い聞かせてここまで頑張って来れた。


だけど。


私は人よりもストレスを溜め込んでしまうらしい。


何かあれば私は屋上でストレス発散のために柵を蹴る。


きっかけは些細なことだった。


約1か月前。


〈稲庭くん、私と取引をしましょう〉


私は素行の悪さを男子生徒に見られた。


稲庭伊吹、確かそんな名前だっただろうか。


私は今まで積み重ねてきたものを壊されるのが怖かった。


そこで彼と取引をした。


「ふふっ、懐かしい………」


不思議な人だと思った。


出会った当初は下心があるのかと思ったけれど、そんなことはないし。


それどころか、女性の立場に立って考えることができて、猫をかぶっていない自分と話すときも私に面倒だという視線を向けてくることもなかったし。


それに――――


〈偽りの御堂小春を作ったのは本当の御堂小春なんだから、お前が偽りの自分を受け止めやれよッ!〉


「……………嬉しかったな」


―――偽りの私でも認めてくれた。


皆が本当の私を知ったら、私を気持ち悪がって遠ざけるはずなのに。


それなのに。


彼は、私にそれでもいいって。


「えへへ………」


昨日、かけてくれた言葉が頭の中でまた再生される。


自分の頬が緩むのが分かった。


「なな、な何ちょっと認められたくらいで浮かれちゃってるの私ッ!?」


今日の私は変だ。


緩まった頬を手でぐりぐりとしながら、真下の階に行く準備をするのだった。


〇クリスマスの余韻


何気に冷蔵庫に入っているものが少ない。


今日は御堂が晩御飯を作りに来てくれるというのに、これはまずい。死活問題だ。


ということで、俺は近くのスーパーに買い出しに来ていた。


「一日くらい………」


一日くらい別にいいじゃないかと思った。


だが。


……世の中はどうやらクリスマスに対して誤差を考えないらしい。


今日の日付は12月26日。


「ケーキの売れ残りがこんなに安いとは……」


世間はすでに正月ムーブに移行し昨日までのクリスマスの雰囲気がまるで嘘であるかのように、商品やクリスマスツリーが撤去されている。


苺のショートケーキを目の前にしてその安さに嬉しさを覚える一方、何かこのケーキを買うのは残念な人への第一歩であるように思えた。


生憎、クリスマス当日にケーキを買いそびれた”残念な人”にはなりたくないので、一旦は無視を決め込んだわけであるが。


「そういや、御堂ケーキとか好きそうだな」


頭によぎるのはたまに意地悪で、たまに子供っぽくて、たまに……寂しそうな顔をする御堂の顔。


あんな過去があったんだ、無理もないが。


今まで辛い人生だったんだ。甘やかしてあげたい、そう思うのはお門違いだろうか。


「ま、いいや」


どうせ今日も晩御飯を作ってもらうんだ。そのお返しとして、労いみたいな名目で買うのなら、別に残念な人にはならないし、彼女を甘やかすことができる。


「おぉー、俺賢い………」


ということで、俺は売れ残った苺のショートケーキとチョコレートケーキを買ってスーパーを出るのだった。


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