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29話 無防備な腹黒美少女

「欠席者はいるかー?」


朝のショートホームルームで先生が欠席者の確認をする。


「今日は……御堂が休みか……」


後ろの席を眺めると空席で、御堂小春の欠席を示していた。


メッセージでも送ってみるか………ポケットからスマホを取り出し、LINEを開く。


【今日は休みみたいだが、大丈夫か?】


すぐに既読がついて、返事が返ってくる。


【少し風邪をひいてしまったようで】

【そりゃまた不運だな】

【そこでお願いなんですけど、帰りにいろいろ買ってきてもらえませんか。風邪薬はあるのですが、レトルトのおかゆやゼリーなどがいま家になくてですね……】

【わかった。買ってくる。ほかに何か欲しいものはあるか?今なら利子なしで買ってきてやる】

【お金の話を持ち込まなかったら最高だったのに………】

【突っ込みを入れれるほど、意識はしっかりあるんだな。大事ではなくてよかったよ】

【それはどうも。何はともあれ、よろしくお願いします】


そこから既読がつかなくなったので、おそらく頼みごとを終えて、安心して寝れるようになったのだろう。

しかし彼女は体調管理をしっかりしているがゆえ、体調を崩すなんて珍しいのだ。何もなければいいんだが。


一応伊吹としては運命共同体である御堂のことを気にしつつも、授業に集中するのだった。


〇〇〇

ピーポン。学校が終わり、近くの薬局屋で薬やゼリー、その他風邪の時に役に立ちそうなものを一式そろえて、御堂家のインターホンを押す。ちなみに最近だとコンビニにも風邪薬が売っているらしいが、コンビニでそういうものを一式そろえるとなると、お金がたくさんかかるのだ。親に仕送りをしてもらってるみとしては、節約できるのが本望である・・・まあ御堂がいつか立て替えてくれることを望んでおくが。


しばらくして玄関のドアが開く。


「すまん、もしかして寝てたか?」


頭にはアホ毛のような、可愛らしい寝癖がついており、微かに微睡んだ目をこすっていた。


(無防備すぎて困る………)


一応、このことを想定して御堂にはLINEに旨を伝えておいたのだが、この様子だとまだ確認してないらしかった。


「はい、まあおかげで割と元気になりましたが」


そこで御堂は俺が提げているビニール袋に気づき、視線を落とす。ゼリー、レトルトのおかゆをはじめとし、熱さまシート、風邪薬、プリン、アイスなど、様々なものが入っているのである。


「わざわざありがとうございます。お金は今立て替えますので」


そう言って玄関から立ち去り、そこから続いているリビングに足を運ぼうとする。俺はそれを玄関で突っ立って見ていたのだが、時折左右にフラフラと体を右往左往させ、足がおぼつかない様子である。


「別に今じゃなくていいんだぞ」


俺の言葉に耳も貸さず、財布を探そうとする御堂。


カランコロン……。


「きゃっ!」


リビングのほうから大きな物音とともに小さな悲鳴が俺の耳を劈く。


「はあ………」


やむ負えず、彼女の家に入ることにする。警察……呼ばれませんように。

どうやらカーテンを完全閉鎖しているらしく、仄かに差し込む西日以外、あたりは薄暗い。


「大丈夫か?」


そのおぼつかない足つきでおそらく財布を探していたのだろう。さらに寝起きということも相まってか、意識が朦朧とでもしてたのかもしれない。


御堂に手を差し伸べて、差し伸べ返した手を引っ張る。


(冷たい……)


彼女の手はひんやりとして、冷たかった。冷え性なのか、風邪特有のものなのか。それはわからないが、とりあえず体を温めたほうがいいことがわかった。


「よっこらせ、っと」


御堂を立たせる。


「立替のお金は後でいいから、今は自分の体調に専念してくれ」

「ありがとう、ございます」


風邪で弱っている彼女はいつもより素直だなーなんて思うのだった。






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