15話 思案
相談会が始まった。
「私ね、ある男の子に好意を持たれているの。同じグループの一ノ瀬くん。バスケ部のエースで、しかも頭もいい。」
一ノ瀬大智スクールカーストのトップに君臨している男子生徒である。たしか、一ノ瀬財団グループの副社長の息子...生まれつき何もかも持ち合わせていそうな人間である。
「さらにはおうちがお金持ちらしい。そしてね、先週の金曜日に彼から告白されたんだ」
「ぶっ!」
朝から俺はなんて話を聞かされているんだ...危うくゲホゲホするところだったぜ・・・
(デュフデュフのほうではないので注意)
「大丈夫?気分を害したようなら、この話はここで終わりにするけど・・・?」
綾波紫葵は繊細な気遣いができ、優しいという理由からも人気である。
「いや大丈夫だ。続けてくれ」
「うん。私はとっさにごめんなさいって言おうとしたんだけど、そしたら一ノ瀬君がとっても傷ついてしまうんじゃないかって思ってとりあえず保留にしてもらったの」
「んで、いつその返事を言うんだ?」
「それが今日なんだよ・・・・・・」
「ああ、なんか察したわ」
え?つまり一ノ瀬からの告白の返事をして彼自身が傷ついてしまうのが、綾波は許せないのか。彼女らしいといえば彼女らしい理由だな。ここはもう少し探りを入れるために尋ねてみるか。
「でも、どうして一ノ瀬を傷つけたくないんだ?一ノ瀬と付き合いたくないってことは、そういうことなんじゃないのか」
「・・・怖いんだよ、多分」
「何が?」
「今の関係性が崩れるのが。友達がいなくなっちゃうのが。最悪の場合、私が一ノ瀬君の告白を振ったことが原因でみんなから仲間外れにされて、無視されて、いじめられるかもしれないんだよぉ?」
そうして再度涙目になる綾波。
一ノ瀬はスポーツもできて、勉強もできる。お金持ちだし、おまけに顔もいい。そんな一ノ瀬を綾波が振ったことが学校中に知れ渡ったら、確かに一ノ瀬を好きだった女子は綾波を遠ざけるかもしれないな。だって、綾波サイドにつく=一ノ瀬を振ることに肯定的という印象ができる恐れがあるからだ。そんな危ない橋を渡る人間は少数派かもしれない。
女の世界って、怖え・・・
「そこで俺にクエスチョン。この事態を穏便に済ますにはどうすればいいか?ってことか」
「そういうことだよ。どうしよぉ」
どうしようかね。俺は思案するのだった。




