12話 今は完璧美少女です
部活にデータを置きにいって、家に帰ろうとして・・・
(あ...宿題忘れた)
鞄に入っていないところを見るに、教室に置き忘れたのだろうか。
そうして教室に戻り、ドアを開けようとして...
「痛っ・・・」
ドアに触れていないのに、ドアが勝手に開き、教室の内側から大量のプリントを手にした少女と衝突してしまう。その拍子にその少女は倒れてしまい、またプリントが空を舞う。
「あ...悪ぃ・・・って御堂じゃん」
その少女とはまさに御堂だった。
「え?稲庭くん?」
御堂は目を真ん丸としていた。
「大丈夫?」
俺はそう言って転んだ御堂に手を差し伸べる。
「何しているんだ?そんな大量の荷物もって」
「先生に頼まれてプリント運びの手伝いを...」
学校の優等生に限って先生からいろいろ雑用を頼まれるのは世の常である。かわいそうに...
「手伝ってやろうか?」
「いいんですか?」
この少女からはなんの汚れを感じさせない。なるほど...
「今は猫を被っているのか...」
一応、運命共同体同盟だから、周囲を見渡して小声で言ったものの、本人には不服だったらしい。頬を膨らまして、不満そうにしている。
「今は完璧美少女なんです。水を差さないでください」
どうやら学校ではできるだけ誰かに見られていなくても自分が腹黒でないことを隠し通したいらしい。確かに人がいないところで本性をさらけ出していたら、いつかボロが出そうである。
「まあお前がそう言うなら・・・あれ、でも屋上で本性さらけ出してた時は?明らかに矛盾してるよな?」
「あれは・・・限界が来ていたからで、ああしないと、教室でボロが出そうだったからです、ストレスは適度に放出すべきなのです」
「そんなものか」
「そんなものです」
「ということで、初期設定でお願いします」
初期設定?なんだろ・・・ああ、俺たちがほとんど初対面という偽装をしろということか。
「な、なるほど」
「伝わったんですね。ふふ、私の運命共同体人間は流石ですね」
「ところで、御堂は何が好きなんだ?」
初対面を装えと言われたので、初めてあった人と話すような当たり障りのない会話を展開する。
「食べ物?」
「ああ」
「そう、ですね・・・カレーはもちろん、餃子や炒め物、中華料理など、いろいろです」
「へえ」
「もしかして自炊?」
まあ御堂は自炊してるって、前聞いたから知ってて今聞いてるわけだけど。
「はい。一人暮らしですので」
「へえ」
「防犯面が怖いよなぁ。父親が単身赴任だから、俺も一人暮らしだからわかるんだよ」
「そうなんですか」
「ああ」
「御堂はどこに住んでるんだ?」
「それは貴方もご存知のはずで・・・あっ」
そんな質問を繰り出して3秒後。すぐさま足を踏まれる。
ぶねえ。プリント落とすところだった。
(私たちが初対面のフリしてる意味がなくなるじゃないですか)
こちらを伺うジト目からはそんな感想を思わせる。
(答えそうになったところでお前も同罪だ)
そんなメッセージをまだ伝えておく。まあ、全部妄想なわけだけど。
そんなこんなでプリントを職員室まで運び込んだわけだけど。うん、完璧なのはそれはそれで大変だなぁと他人事のように思うのだった。




