11話 逆境
目の前にあるのは御堂の自宅の寝室のドア。
覚悟を決めていざ出陣!
と思ったけど、とりあえず先に御堂に寝室に入ってもらい、俺が見てはいけない物などがないかをチェックしてもらうことに。
流石に寝室に入り込むのは抵抗があるらしく、ドアから覗き込む形で確認していた。チラッと見えた感じでは、彼女の寝室は生活感のないような、飾り気のない部屋だったのだが。
「では、どうぞ・・・暴れていいですよ稲庭くん」
と同時に御堂はドアを豪快に開けて俺の背中を後ろから思いっきり押す。
ガチャリ!
そんな音を聞いた時には俺はゴキブリさんと同じ部屋にいた。
ガチャリ?ん?
ドアノブが動かない。まさか御堂が思いっきり外側から力を加えているのでは?
「あのー御堂さんや?」
「何でしょうか?」
「えっとその、これって早く倒さないと俺が出られないやつ?」
「はい」
その間にも俺はドアノブに力を加え続けるが、開かない。このままドアノブのことに集中して背後からのゴキブリに気づかなかった時の恐怖感と言ったらもう。
やってやるよぉー!
さぁやって参りました。
ゴキブリVS稲庭伊吹!
実況は私、佐藤太郎。(だれ?)
佐藤は全国で最も多い苗字です!
先行は稲庭選手!片手にゴ◯ジェットを持っている。
対してゴキブリ太郎選手!まだ居場所が割れていない!
さぁ、両者一歩も引かない戦いです!
個人的には私太郎でございますので、ゴキブリ太郎に勝利してほしいです!しかし私情は許されない!
さぁ熱い戦いがいま幕を開けようとしている!
「ぎゃああああああああああああ」
おっと最初に動いたのは太郎選手か!?稲庭伊吹に近づいていく。
それに対して、これでもかとスプレーをぶちまける稲庭選手!
これは御堂ちゃんの寝室がゴキブリスプレーで満たされていく!非常に迷惑だ!
だが稲庭伊吹、まだ追撃をやめない!ゴキブリへの恨みを晴らすようにスプレーをかけ続ける!
おっとここでスプレーが切れた!稲庭選手どうする?
ゴキブリ太郎、動きが鈍い!鈍いぞ!これは・・・・
稲庭伊吹選手勝利です!!!
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地球製薬、エ◯テー、マフラーキラー、銀鳥、大林製薬
「いな、にわくん・・・」
ゴキブリを倒し終えた俺を迎えるようにドアが開く。
「み、どう・・・」
「貴方、私の部屋を散々スプレーまみれにして!どういうつもりですか?」
ほへぇ?
今完全に「頑張ったね」って言われるシーンだったよね?
せっかく頑張ったのに。ぐすん。
その後、後始末を一緒にし、気づけば1時半を超えていたのだった。




