10話 腹黒美少女の悶々
コンビニにて。俺は御堂と一緒にゴキブリスプレーを探していた。
「出てきなさい!そこにいるんでしょ!
ゴッキッキー、ゴッキッキー、ゴッキーゴッキー。ゴッキッキー、ゴッキッキー・・・」
「被害者が横にいるのに、そんな歌歌わないでください。あと、本家(エ〇テー{権利とかいろいろややこしいので、全部言わない主義})を真似たいなら、その役こそ私がやるべきでは?」
「俺はゴキブリになれと?」
「はい。貴方はスプレーで死ぬ運命がお似合いですよ?」
「うん。わかった。じゃあな。自由の空を求めて飛び立ってくるわ」
俺は御堂に手を振ってコンビニを出ようとする、と同時に強い力で服をつままれる。
………目が本気だった。
「置いていかないでください……」
上目遣いでそう言われる。そんな彼女からはあどけなさを感じるが、これは専ら演技であることを俺は知っている。
「普通のやつなら引っかかるんだろうけどなぁ。俺はお前の本性知っているからなぁ」
「と・も・か・く!私を置いて行ったら、次作るご飯にゴキブリいれますよ」
「えっ……」
え?いまなんて?
「何ですか?そんなにゴキブリが嫌いなら————」
「いやそっちじゃなくて…………また飯作ってくれんの・・・?」
そう。一回きりの飯だと思っていたのだが、また女神が手作りを作ってくれるのだろうか?
「あ・・・」
咄嗟に出た言葉だったのだろう。自分でも驚いているように見える。自分でもタチが悪いと思いつつも、いじられずには居られなかった。
「俺の味噌汁(ゴキブリ入り)作ってくれるの?なに?愛の告白?」
御堂は自分の言葉がおかしいと気づいた途端、顔を染めてプルプルと震え始める。いつもの冷淡な彼女とは対照的な姿に思わず
「かわいい………」
ともらしてしまった。
「なっ!?う、うるさいです!!!ただの言葉の綾です!そんな勘違いをするなんて、ホントに気持ち悪いです!一回4んできたらどうですか!」
紅潮した顔のまま、せめてもの抵抗として俺の腹をポコポコと叩いてくる御堂。
(全然痛くないんだよなぁ)
でも学校では完璧美少女だから、「可愛い」なんて聞き飽きているはずなのに、なぜ俺の言葉に反応したのだろうか?
まあいいや。
腹黒指揮官から帰還命令が出たので、今度こそ帰ります。
「では指揮官、ワタクシはここでお暇させていただきます。あとは頑張ってくだ—————」
「は?」
「ヒッ・・・」
さっきまでプルプル震えていた真っ赤なお顔はもういつも通りの冷淡な顔となっていた。
さすが腹黒美少女の表情筋!素晴らしい。
「ったく・・・」
そうしてコンビニでゴ◯ジェットを購入して、いざ戦地(御堂の自宅)に向かうのだった。




