表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

即興短編

通婚のミス


 ほにゃ!


 なんて理想的な殿方よ!


 今、目の前にそのひとがいた。

 彼は優しく私のためにお好み焼きをお皿に取ってくれている。


 顔、よし!

 優しさ、よし!

 声、たまんないトーン!

 ファッションセンスは私が磨いてあげよう!

 そんなひとが市立病院に勤める若き医師だという。


 医者……か。


 私にはこの人とお見合いをする理由があった。


 実家が医者で、私は一人っ子で、しかも私は大学の商学科を卒業したただの家事手伝い。


 父が医者と結婚させて、自分の個人病院の跡取りを欲しがっているのだ。


「K子さんのお父さんは皮膚科の個人病院をやってらっしゃるんですよね? 僕もちょうど専門が皮膚科なんです」


 そう語る理想のひとが、なんだか私とではなく、父と結婚したがっているように見えてきてしまう。


 彼との結婚生活が、なんだか今から白っぽいものに想像されてしまう。


 それで私はこう言ってしまったのだ。


「ごめんなさい。この話は……なかったことに」


「そうですか」

 彼は少し傷ついたように、でも爽やかに、笑った。

「残念だな。……でも、確かにこんな綺麗なひとに僕はもったいないかも」


 スルーしてしまった。


 理想の相手との、結婚のチャンスを、スルーしてしまった。


 これぞ通婚のミス!


 そして私はいまだにミスのままである。





 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ミスがそっちのミスだったとは!? 対義語は会心のミセス?
[良い点] もしも御見合い相手の職業が皮膚科の医師ではなかったら、視点人物はあっさりとOKしていたのかも知れませんね。 理想の相手との縁談をご破算にしちゃったのは勿体ない気もしますが、結婚後も親の影が…
[良い点] さっぱりとした気持ちのいい語呂合わせと言い回しに、惚れ惚れしてしまいました ╰(*´︶`*)╯
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ