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泥団子と公爵様  作者: 狐火
26/28

26 アマオニーと愉快な仲間たちの選別たいかーい



◇○


領主様はサラン王国の国王陛下とお話しがあると言うことで漸く帰りました。

はい。漸くとわざわーざ強調したのは、なんやかやと滞在の理由をつけてヘィリアースに居残ろうとしたので、結果としてナビファス伯爵のワイバーンにお願いして連れていって貰ったのです。考えてもみて下さい。リンバニアース王国がああなっちゃったら、色々煩くなる前にヘィリアースの形を早々に固めた方がいいでしょ。それにはアマオニーが面だって出ていく前に、大人な領主様が話をまとめて書類を作るまでをしておいて貰った方が話が早いと思うんだ。それにアマオニーだってサラン王国の人間の前だと話し難いこともあるんじゃないかな。マルガリータの事は追い追い御里へ手紙でも出してもらえば何とかなる問題だと思うし、そういう細々とした事も女子だけで話したいかな。まぁ、兎に角 領主様には空気を読んで貰いたい。それから領主様の事をパシりにして申し訳ないのだけれど、ヘィリアースへの食糧と生活物資の援助をお願いしたのです。ほら何だかんだで私兵さんも積めちゃってることで、ヘィリアースの領民の為の食糧を充てているわけなのです。お世辞にも余裕のある生活には見えない領民の物を……ね。

ちゃんと筋を通したやり方だと、国へ報告してから他領や諸々の絡みが出て来て、頭の上での話し合いが必要なんだろうけど、そんなことをしていたら先へ進まないから「あ、お隣さん家でお醤油切らしちゃったんだって、ちょっと持って行ってくるね」の感覚でどうにかして欲しいかなって。出来れば領主様のポケットマネーで早々に!……そもそもわたしが拐われちゃったのがアレなんで、何かの形でーーどうにかしたいとは思うけど…………取り敢えずは領主様のポケットマネーで立て替えておいて欲しいですわー。



て、ことで。


ジャジャーン! 《 第1回 アマオニーさんとこの守り神様は何処のどいつだ 》選抜大会‼


「えー、この度はお忙しい中、《 だ、第1回アマオニー ……》え、これ、言うの? は、恥ずかしいんだけどど」


恥ずかしがっているアマオニー、可愛いです。ご馳走さまで御座いますが、領主様、王さまとなられる方はこの程度の羞恥に身を捩っていては務まりません。わたしは心を鬼にして首を横に振りました。


「ーーんもぉ、わかったわ。《 だいいっかいアマオニーさんとこの守りかみさま 何処のどいつだ選抜大会》におあつまりいただきありがとうござます」


はやっ! 滑舌不死身か!

(ちょっと噛んでたけど、早すぎてハルは気が付かなかった)それより自分の考えた渾身の台詞をちゃんと言えたアマオニーに胸の高まりを覚えてしまっていた。

変な扉開けたか?


『面白そう‼』


『大会ってなにやるの?』


ノリの良い子は大好物です。


「はい。この大会によって アマオニーさんとこの領地で、アマオニーさんとその仲間たちを守護するお仕事をして戴く方を決めたいと思います。」


『……………………』


『……………………』


『……………………』


ん? この沈黙はなにかな? を込めてシロチャンを振り返る。えーっと 何でしょ。とってもバツが悪そうにしていますが。


「シロチャン、こういうのは勝手に決めちゃダメだった? 森の誓約とかに抵触します的なタブーなのかな?」


ほら、マルガリータも不安そう…………って違うか、魔兎の耳にうっとりしてるんかい! わたしだってお触りしたいわ! なんならマフラー代わりに首に巻き付けて過ごしたいわい!


「あのぉ……」


ああぉっ! ビックリしたよ。女子の中に男の人の声とかぜんっぜん意識になかったわ。ええっと、サンダー子爵? 違うか、ケンタッキー子爵……ともちがう。


「カーネル子爵で御座いますわ。アマオニー様の叔父様の」


こっそり気付かれないように教えてくれるリサ、最高です。って雑技団で使えそうな大きな傘持ってにっこりしてますが、なんか怒ってる? 傘の周りにヒラヒラの紐が沢山 わー、キレイだな。


「日射しが強いのでお気を付けて下さいと申し上げたと思ったのですが、わたくしの記憶違いでしたでしょうか? まだ若いつもりでおりましたが……記憶が薄くなってしまったようで御座いますわね。悲しいことで御座いますわ」


あ、本気で怒ってるみたい。わたしが日焼けするのを嫌がるからなぁ。


「ううん。リサ有り難う。日焼けは気を付けなきゃだよね。うんうん。《アマオニーを守る会》発足に夢中になっちゃってたよ。へへへ、紫外線は乙女の天敵だのね」


「《 第1回アマオニーさんとこの守り神様は何処のどいつだ》選抜大会の事で御座いますね」


コクコク。


「そちらでしたらカーネル子爵と公爵様のほうから私兵団が配置される事になっております。それとヘィリアースの領地には、ヘィリアースの守護獣様がおいでになると思うのですわ」


今度は素直に頷けなかった。ヘィリアースにちゃんと守護獣が居たのならアマオニーのお母さんや親族があんな酷い目に合うことを防げたはず。でもそれを口にして良いのかな? どどーって集まっている魔獣たちを前に言っても良い事?


『女神さまが心配されるのも無理の無いことで御座います』


今度は誰?ーーって、いっやー。すっかり存在忘れてたよ。長老? 大森林の長老さんって言ってたかな。毛達磨のコロボックル……例えが難しいよ。きたろーさんのお友だちに居そう。色はとってもカラフル虹色だけど。こんな派手なのに気配がうっす‼ デリケートな話のはずなのに驚いて跳ね上がった自分にハハハだわ。


カラフル長老さんたちの話してくれたこの世界の歴史は波瀾万丈を逸したものだった。向こうの世界でも曾ては宗教戦争やら核兵器で世界がかなり揺れていたけど、いや、今現在もそうなんだろうけど(わたし居ないからアレだけどね)、それでも人類の一握りを残して消えたとか、在るべき所に有るべきものが消えた、この場合魔獣に魔力が無くなり、高位魔獣の姿が消え、地上の生き物の一握りを残して消滅したらしい。そういう大事件が今から2000年前にこの世界で起こった事の混乱が、魔獣や精霊たちの中に未だあるんだって。そもそも人間に関わりすぎたために起こったある意味、定律の崩壊事 であるため、大森林のものたちは干渉できなかった。それがここに来て『今世女神さま』(わたしのことね)が現れて大森林の意思系統が2000年ぶりに世界に繋がった…………そういうことでした。要約すると「女神さまが居なかったからどう動けば良いのか分からなかったのぉ」ってことだね。

ケッ! 責任の所在の転換ってことかいなっ! 嘆かわしいぞ、もふもふ隊。


ってここまでこの世界の歴史と今回のヘィリアースの悲劇を考えて、わたしは気が付いちゃったよ。


「え? わたし、もしかしてもとの世界へ帰れなくない?」


『『『『 ………………………… 。 』』』』


「「「「 ぁ ………………………… 。」」」」


え、確信犯? ラートブルフ これ合ってる? この使い方で間違ってないよね?! 犯罪認定していいよね!?


ラートブル~~フ‼




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