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泥団子と公爵様  作者: 狐火
22/28

22 ほら、ダーっとなって、グルンッ的なアレですよ


誤字脱字報告 有り難う御座います。

書き上げてポンッの投稿の作者です。

報告 とても助かります。感謝致します。


なお、作中表現のなかで分かり難いものもあろうかと思いますが、作中キャラとして包んで戴ければ「フワァイ」と大喜びです。




◇◇


ちょっと早いお昼御飯……ブランチとか言うのかな? そういうのを食べて「少しお休みになったほうが」ってリサが言うからお昼寝という名のゴロゴロ。みんなハルを小さい子枠にしちゃってるけど、成人女性ですからね。(危ないから口にはしないけど) まだ領主様の上司がどんな人か知らないのに自分を曝け出すほど彼女はお人好しではないのだ。


う~ん、敵陣が来るのを待っているやり方ってリスクありすぎるよね。こぉ、ぐるっーっとこの領地を囲む高い塀なんかあったら時間稼ぎにはなるかな。あぁ、飛び道具も欲しいかも。万里の長城的なアレでボーガン的ながあれば…………兵士か? う~ん。


ハルはシロチャンと出会って自分のアレこれを教えてもらうことができた。流石に水汲みのお手伝いで井戸の前での出会いは腰を抜かしてしまったが、こう見えてハルは図太い生存欲を持っていた(見たまんま?)。そこで知らされたのが『アタシたち お友だち』だった。本来賢い子であれば「ふざけんな! 油断させて保存食コーナーに並べるつもりでしょ」と逃げるものだが、ハルは善くも悪くも言質に弱い子。他者からの言葉に敏感な子だった。「わーい‼ 熊さんが喋った‼」まさにアルプスの伝説のヒトコマをやってのけたのだった。


「熊さんは白いから北極熊系?」


『ホッキョ?』


「ほら、雪が多い所は毛の色も雪っぽくなるみたいな」


『いいえ、それよりもハル様にお伝えしなければ』


「わー、わたしの名前知っているの? ありがとうございます。白熊さんに名前呼ばれるなんて子々孫々の自慢話になります」


『あ、いえ、それほどでも。それよりも』


「えーっと、白熊さんのお名前伺ってもいいですか?ーー!って、もふもふ~ 気持ちいいです」


『あ、やめて、そ、そこはぁ、、、、! っ、やめれぇ!』


「わぁ、シロチャンったら敏感さん」


かくて何一つ話が進まないまま白魔熊はあっという間にシロチャンと名付けられたのだった。


そのシロチャンからの話でハルは自分が『お待ちしていました。女神さま』の存在であることを知ることになった。

『時を跨ぐ者』である者が全て『女神さま』である訳ではないこと。条件は良く分かっていないが此処に在るモノとの共鳴で そう決まる らしい。ただ単に森に愛される者や水と波長が合う者は良く出現するらしい。この世界で言うところの魔法がそれに当たる。火との共鳴力はあるけど土との相性が今一つとなると、農家に嫁ぐより大きな宿屋が良いわね……そんな感じ。普通はそれが一般的で、そもそもそれらを魔法として具現化出来るものなど国に一握りの高級魔導師くらいである。


後半は疲れたのかかなり泣きが入っていたシロチャンだったが、取り敢えず森へ戻り『長老様』へ御使いの任務完了を伝える。


シロチャンのお疲れさんを「また遊ぼうね」の一言で片付けたハルはというと、勿論説明された魔法のお試しです‼


ハルは混乱していた。水汲み終えた桶を前に青ざめ……やがてポロポロと涙を溢してしまった。そしてその涙にも混乱し井戸の前で跪いて肩を落としてしまった。


「水さんは火にかけられて熱くないの? あぁ、わたしのこの涙は土に吸われて死んでしまうの?」


そう彼女は面倒臭いファンタジーっ子だったのだ。


『ゼーハーゼーハーーーー。め、めがぁみさーまぁ!』

多分毛の中は汗まみれ。人の良い…… 熊の良い……? シロチャンが『長老様』の報告の途中素早くハルの異変を察知し戻ってきたのだ。ゼーハーゼーハー言いながら。焼けるような喉の乾きを思いっきり我慢しながら。で、ハルの目の前にあるそれをイッキ飲み。


『ーー! っどきゅーん‼ な、何すんのよっ!』


怒るわな。いきなりのグーパンチ怒るわな。いくら『長老様』に「あの子の面倒見て上げて」ってお願いされても、命削られて笑って許すほど信頼関係ないし! 面倒臭そうだし! やっちっていい? 一思いに肉球浮かせてのパー撫でして良い?(それって爪で削ぐってやつ?)


「酷いでふっ! いま水たちと話してたのに!」


『ちょっと待って。その手を下ろして‼ってか、女神さまにマジグーされたら死ぬからね。死ぬの。嫁入り前の乙女熊刈ったら後味悪いことよっ!』

シロチャン額に汗だくです。(毛で隠れてるけど)


「み、みずさんがぁーー!」


『わ、わ、止めて。水は意思がないの。痛いも熱いも狭いも無いの! 落ち着いて。お願いします、もう打たないでぇー、エーン、エン、エン、エンーーー』


そう、もう少しハルの意識が戻らなければ…………今夜は白魔熊鍋。


グスグス鼻をならすシロチャンを宥めつつハルは「水も火も苦しまないんだ」に安堵するも、自分の持つ力についてもう一度確認することにした。その結果取り敢えず全ての共鳴を受けたものがお友だちとなってくれるらしい事を知ることができた。


「それは鳥や兎や木や花なんかも?」


『はい。共鳴したものであればですが。あ、ソコは』


シロチャンは尻尾は駄目らしい。


そこまでが公爵様御一行が来るまでのお話しである。


あ、付け加えるなら…………。


「森の木を切っても泣いたりとかは」


『無いです。そもそも木には感情などというものはありません。木はその物から形をなして、つまりお城やお屋敷、馬車の箱等形にしてから持ち主との共鳴で心の宿るものが稀にではありますがあります。』


「付喪神とかかな」


『………… 』


その時のシロチャンの沈黙にハルは気が付かない。そう、もうハルは自分の興味が付喪神の妄幻一択に支配されていたのだった。


【ハ、ハル なんて残念な子】




「領地全体をこーグルっとね」


昼寝を抜け出して何をする。そう、勿論 気になることの実験です。


領主様がお国の王様に「異世界人が拐われたぞ」と手紙を出してそろそろ動き出すでしょ。


「あ、リサ。王都からここまで軍隊さんだと、何日くらいで到着しそう?」


「そうですね。馬で二日、歩きも入れて三日もあれば大丈夫です。まぁ、主は王都の兵は当てにしておりませんから、カーネル子爵の所に我が領地の精鋭たちが、今か今かと焦れておりますわ。その様なご心配よりもっと日傘の下に入ってくださいませ。首回りが焼けて赤くなってしまいます。」


戦の心配より日焼けですか。

シロチャンとのあれこれから立ち直るのも早かった女性陣。異世界人覚醒と考えれば「ハル様だから」「ハル様ですもの」で、全てが片付くのだ。

それに対してまだハルが少女であることのショックから立ち直れないでいるのはジェレッド。


「時を跨ぐ者と同衾………… なぁ 私は犯罪者になるのか?」


【 今更である。少年だとしても色々突っ込み処はあるだろう。】



そしてその後 領地の周りでざわざわ、グルグル、ドドーンなお友だちのお仕事が夜を徹して行われることなど知る由もない七人なのであった。




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