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泥団子と公爵様  作者: 狐火
17/28

17 泥団子はみんなでお月見をする



◇◆


月が綺麗ですね。。。。


藍色のお空にうっすーい半円の赤(控えめなピンクね)とこれも控えめな、そうそうプールの水面に夏の空を映したらこんな感じかもというナイフ型の青。そしてその隣に真ん丸黄色。この黄色は恐らく「年少さんにお日さまを描かせたらこんな感じかな」な見事なまっ黄色。


月を眩しいと思ったのは初めてかも。


この三色団子を横並びにしたお月さまを可愛いと形容してしまう自分はかなりこの世界にやられているな……と思いつつ、ピンクに色付けされたおまんじゅうをカプリ。


「ぅ! おいしーてふっ!」


「でしょー! でしょー! 赤の一口おまんじゅうは小豆の形を残してました。甘さ控えめ粒餡スタイルでーす。」


うん、美味しいです。小豆は元居た世界のものより小粒でしたが、全く気になりません。気になると言えばチャチャがシェフのお膝の上に鎮座しているってことくらいでしょうか? しかし案山子! これはちびっ子さんの食事のマナーだということを先日教えてもらったわたしは異議を唱えたりしませんよ。なーぜーなーらー、各言うわたしも領主様のお膝の上なのですから。この世界にはちびっ子さんの為の椅子が無いらしく、こういったみんなでテーブルを囲むときはこの『お膝で鎮座』は定番中の定番なんだそうです。

この世界の当たり前 と言われても成人を迎える者としは何でしょうなぁー やるせない? 公開処刑。。。いやいや、それは縁起でもないそれこそ誰かの一言で明日にでも実行されそうな事なので、考えるのは止めますね。そうそう、羞恥ってことでお月見会のお庭に集まったメイドさんたちに笑顔笑顔です。気が付かないことが健康寿命の秘訣らしいからね。うん。


「さすが公爵領の縫製班ですわ。今宵の月も霞んでしまいそうな見事な御衣装」


「本当に。まるで月から降り立った精霊さまのようで御座いますわね」


チャチャがシェフのお口に黄色のおまんじゅうをポイしました。「お膝に載せて貰っている人は食事にてを伸ばせない方へ食べさせるんだよ」と教えて貰ったので、これは正解なのです。前を向いてお膝を拝借しているので仰々しい料理の時は難しいと思うのですが………… 領主様をチラリと見たら口をムニムニさせていました。多分、恐らく、きっと……おまんじゅうをお求めなのでしょう…………。


「領主様、手掴みでご免なさい。どうぞ」


あっぶな!

パクっといった領主様に指ごと食べられるところだった。


「っ! ~ーーー!」


「うっわっ‼」


領主様におまんじゅうあげたら脚をガタガタしだしたよ。跳ぶし、落ちるし! わたしが膝の上にいるの忘れてる?


今夜のわたしの衣装は『お月さまと妖精さん』をイメージしてお張り子さん……あ、縫製係りの使用人(日帰り組)が作ってくれたものです。お月見に集まる人たちは側使いとなっている人だけなので勿論お顔も出してますよ。妖精さんのイメージなのですが露出は抑え気味になっているのはありがたいです。某アニメの鎖骨もお臍も、何ならおパンツ大丈夫なの?な衣装はいろんな意味で痛すぎるもの。それでも領主様の謎の動きで私の衣装はフワフワ踊っていますよ。


「わー、ハル様 楽しそうです」


チャチャさん、楽しいの方向大丈夫?


「あらあら、閣下ったら楽しそうですわ。ですがその様に揺らされましたらハル様が舌を噛んでしまいましてよ」


おお! 止まったよ。ナビファス伯爵 ありがとう‼


領主様もナビファス伯爵も…… 気が付けばみんなお酒でほんのり良い感じになっている。この世界のお酒は蒸留酒に果実や香草を入れて香りを移してから、お砂糖やシロップを加えたものが一般的らしい。最近エールが庶民層に広がってきているって話だが「渋みが酷くて」という事で、まだまだ改良が必要みたいです。

え、わたしですか? はい、まったりグリーンティを頂いています。深みのあるお茶ですがたっぷりミルク(ナビファス伯爵産)で良い感じにおまんじゅうと合うのです。緑色のおまんじゅうは薬草を練り込んだチャチャオリジナル。蓬っぽいけどちょっと違うかな? それとクリームムースとこし餡が絶妙ですよ。拘りに拘った薄皮まんじゅうって感じかな。よくぞ半日でここまでは到達してくれました。民族を代表して抱き締めて感謝を伝えようと思ったのですが「このレシピ連名で届けても良い?」なんて聞かれてしまいました。どうやらチャチャさんはお子ちゃま見た目と違ってかなりしっかり者のようです。勿論 OK ですよ。わたしの手柄ではないのでちょびっとアレですが(懺悔)。


テーブル三台に各五名で15人、プラス4人の護衛さん。あ、護衛さんは見えているだけの数なので多分もっといるはず。こんなに沢山の人たちに自分は日々守られているんだなぁ なんて少しだけ涙が出そうになってしまった。


「ハル様、先日改良点を指摘していただきました撹拌機で作りましたアイスクリームです。是非 御賞味ください」


「まだまだ試作品の段階なのですわ。ただ思いの外バネなるものの活用が期待できそうなので、早々にハル様に見ていただきたくて少しだけ急かしましたのよ」


ナビファス伯爵、ニコニコしているけど旦那様?だよね、(農場でのバーベキューで「伴侶」って紹介してくれたもの。名前を名乗る前にお仕事に入っちゃってたけど伴侶さんのはず)口角がぴくぴくしてるよ。


目の前に出されたカップはクリーム色にピンクのお花が描かれている。


「うふふ。それはねアグロステンマと言ってね、この時期に花を咲かせますの。白の花弁もあるのですけれど、この大きさの物をアイスクリーム用に大量に作るとなったら……どうせでしたら可愛らしいピンクのほうが宜しいでしょ」


そういえばアイスクリームを夏に売り出すって言ってましたね。


「本当に可愛らしいです。このカップはそのままお持ち帰り出来るのですか?」


「そうしたいのですが、製産が追いつくか悩ましいところなのですわ」


成る程です。こういうのは水物って言います。学生時代コミケで思うように売れなくて大量の在庫を抱えた同級生がいました。はぁ、あの時は突然友達扱いされて戸惑っている間に、売り付けられてしまったものです。トタモダチってなんなんだろう……。ちょっと遠い目になってしまったよ。


「不安なときは数量限定にしてみてはどうでしょう? ボクの居た世界ではその季節毎に『期間限定品』や『数量限定』という売り方を良くします。限定品にすることで無駄と無理を無くすのは勿論、特別感を出して価値をつけるんです。」


「まぁ、それでお客様から苦情などはありませんの?」


カップの手触りはツルスベです。領主様のお屋敷で使われているものとは重さも何もかもが違います。元の世界で分かりやすく百均あるあるな感じですが、こっちでは逆に製法が新しいものの気がします。


「苦情は無いですよ。購入できなければ ヨシッ! 次こそはって感じですかね。一人個数限定を記載して、最後尾の人にカウントのプラカードを持って貰うんです。もしなんでしたら購入できなかった人何人かに特別優待購入券を渡しても良いですね。これも期間限定付きで。」


自分の元居た世界の様々な商法の話で盛り上がりながら、何故か〆に唐揚げが出てきたことで再び今度はファーストフードの説明をするはめになり、初めてのお月見は予定の時間をかなりオーバーしてお開きとなりました。


民族古来の情緒あるお月見からは距離があったが、凄く賑かで楽しいひとときを持てて良かったなー。今までお話しをしたことがなかったメイドたちとも距離が縮まったのは朗報だと思う。これからもよろしくです。


領主様のぬくぬくを背中に感じながら、わたしは心地好い笑い声にぽけ~っと身を任せ




翌朝自分がどうやって部屋まで来たのか、必死に海馬の扉をこじ開け羞恥に身悶えることになろうとは…… その時は知る故もないのだけれど。


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