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作者: 骨牌

 嫌いな人間の推しなんか嫌いになるに決まっている。私は人に対して偏見を抱きたくなかったのに、いつからかその歌手の名を聞くだけでトイレに駆け込むようになった。外は雨で空気の良い潤んだ昼。こんな素敵な時間に何をしてるのだろう。

 何かのきっかけで人はけろりと物事を飲み下す。わかっているとは思うが嫌いな人間とその推しの間には何も関係がない。私もわからないわけではない。この嫌悪感はきっと"この歌手を好きになるとこんな人間になるのだ"なんて強迫観念だろう。世界には私の知っている人しかいないわけではない。小さい世界でしか生きられない私は実感できないことだが事実だ。その歌手が好きだから、病気になるわけではないこともわかっている。ただあいつらが馬鹿なだけだ、わかっている、わかっているのに。

 この嫌悪感は消えないものだと思う。私はかの歌手を嫌いになる理由の裏に気付いてしまった。私は好きなものができた時、これは私が嫌いになるだろうと思う。勿論あいつらは思わない。頭がおめでたいから当然だ。私は好かれる自信が無い。そこまで思い上がれるほど馬鹿ではないし、こんな自分に自信を持つほど愚かではない。そういえばあいつらは自信がない私を嘲笑っていた。たしかにそうかもしれない。嘲笑われて当然だ。何故なら、私は自分が見下されて当然の人間だと確信しているから。人に使命なんてものがあるなら私は人に嘲笑にされることが使命なんだろう。無性にあいつらに謝りたくなった。ごめんなさい、こんな奴に関わってしまって嫌だったよね。

 何のきっかけで人はけろりと物事を飲み下す。飲み下すことができればなんてことない。何故泣いてるのかもよくわからないほどになんてことないのだ。


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