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20XX年
日本では化学が発展し電子通貨、電子書籍が主流となり、紙製の本の需要性は下がりつつあった。また、エコ化と称し『紙ゼロ計画』が打診され紙製の本の需要性の下がりに拍車をかけたのも事実だ。その為、今では日本には、図書館、本屋などが大幅になくなり、そこに保管、補填してあった本が、通称:『本の墓場』と呼ばれる場所に捨てられていくこととなった。
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俺は今本の墓場と言われる廃図書館にいる。でも、廃図書館というのは間違いだ。なぜかと言うと、『紙ゼロ計画』によって日本では多くの本が廃棄または、放置されてしまった大体の本がこの廃図書館に集まる。そして、その廃図書館は俺にとって宝の山のような感じである。なぜなら、俺は電子書籍をあまり好ましく思っていないからだ。理由は簡単だ、目が悪くなりやすい、時と場所によっては読むことが出来なくなる、充電が切れると読むことが出来なくなる、etc...だからである。まあ、それはそれで良いとして、今俺はその宝の山である廃図書館に来て、夜な夜な懐中電灯の明かりを頼りに本を読み進めている。そして、俺が今呼んでいるのは『ジュール ヴェルヌ著:80日間世界一周』である。この本は1872年代のロンドンから世界へと舞台とした資産家のフィリアス・フォッグが従者のパスパルトゥーを連れ80日間で世界一周をしようとする物語である。この時代は、まだ、飛行機などがなく空を使い行き来することが出来ない世の中で、世界一周をするには鉄道、船などを使うことで何とか出来るという時代であったというのに、世界一周を80日間で達成させようとする波乱万丈さに俺は心を惹かれた。俺が惹かれた理由としては...うっわっとっと
バキッ バラバラ パサパサ ドドドン
と、いう何かが落下してくる音がしばらく続き最後にドカッ、と音が廃図書館内に響いた。
「いててて。まさか腐ってるフロアには入ちゃうなんてドジしたな。いつも気を付けてたはずなのに。」
俺は本を読むことに集中しているあまりに、いつも気を付けていた廃図書館内にある床の大半が腐っているフロアに入ってしまい、見事にそのフロア内で一番腐りの酷い場所を踏み抜き周りに置いてあった本とともに廃図書館地下室に落ちてしまった。
「読んでいる時、勝手に歩き回るのは止めとおこうって何回も思ってるに、本当何で治らないんだろうか。って、ここ何処にあたる場所なんだ。」
俺は自分が落ちた穴を見上げながら言った。俺はここに何度も忍び込んでいたので大体の地図は頭の中で出来ているのだが、俺が落ちた場所は今までこの廃図書館を探索した時には見たことのないような装飾が月明かりに照らされ光り輝いていた。
「月明かりだけじゃ周りを見通せないな。懐中電灯はどこに行ったんだ。」
と、周りを探してみるがさっきまで使っていた懐中電灯の光が地下室にはないとすると、上にあるか、壊れたかもしれないな。
「・・・携帯は、、、、おっ、ついたついた。」
俺は携帯のライト機能を使って周りを見て見るとそこには廃図書館ではありえないほど綺麗な状態が保たれていた。それも、腐り落ちた瓦礫以外埃が一切ないのだ。そして、壁には先程月明かりで見えていたのは装飾ではなく一枚の大きな絵画であった。少し奥には大の大人が5人並んでも楽々座れるほど長いソファーが対になって置いてあり、それに合わせたように中央にモニターが埋め込まれている長テーブルが二つのソファーに挟まれるように置かれていた。見るからに執務室にしか見えない。
「えっと、先ずは出口の確保だな。えっとこの部屋の出入り口は...ない?!」
部屋を見て回ってみて気づいたことは、どこにも出入りするためのドアがない。それに、ここの間取りもおかしい、だって地下にこんな大きな絵画が飾られ執務室のような部屋が広がっていたら、図書館の地図にも載るはずだ。もう一つは、この部屋だけかは分からないけど埃が溜まってない、誰かが掃除しに来ていることはまずあり得ない、だとするとこの地下室は何かの理由で意図的に閉じられた?
「ん~、分からん。いや、そんな事よりも今はどうやって外に出るかが重要だ。・・・落ちたところからは登ることは出来ない。ん?」
俺が落ちた場所を見上げると、先程まで月明かりが入ってきていた窓の外が今や紫色の雲のようなものが渦巻いているような風景に変わっていた。そして、誰かが直接頭に語りかけ...
「・・・Время полнопришловремяобитателямкниги взятьподконтрольмиридтипросыпаться」
えっ。俺は何を言っているんだ。自分が自分じゃないような感じがする。いや、これは...
「ДавайтеначнемУготовитеськровавымужином」
これは自分の主導権が奪われ始めてるのか、でも、いったい誰に?!いや、そんなことより、このまま言わせておくのはまずい気がする。さっきから俺に向かって吹くはずのない風が感じれる。それに加え意識が朦朧としはじめている。何とかこの窮地から脱さないと。
「Убейтеэтогочеловекакакшоу」
ダメだ。これ以上こいつに言わせちゃ。
「идайтемиру」
お前は黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ
「знать...黙りやがれええぇぇ。」
俺が今自分が言っていることに
「ゲホッ、ゲホッ。はあ、はあ、はあ。マジで一体何なんだよ。ていうか、俺さっきなんて言ってたんだよ。」
と言いながら、俺は紫色の雲のようなものが渦巻いているような風景が覆っていたはずの窓の外を見るとそこには三日月が今まで起こっていたことが嘘だったかのように綺麗に輝いていた。
「はあぁ、落ち着いてきたかな。でも、ヤバいな。ここに居るとさっきみたいになりそうで怖い。」
俺は半ば慌てながら携帯のライトを頼りにもう一度辺りを探ってみると、壁の一部にちゃんと見ないと分からないぐらいの切れ目があった。その切れ目をたどると、切れ目は縦長の長方形に切られていることが分かった。
「これは一応ドアという感じでいいのかな。」
と俺はその長方形に切られた壁を押してみたり引いてみたり横に引いてみたりしたがビクともしなかった。
「はあ~、これは単なる壁の張り替えをしただけなのかな。」
ありえない事を言っていると理解しながら、俺は切れ目の部分を手でなぞっているとあることに気が付いた。
「ん?ここだけなんか薄汚くないか。」
それは、ちょっとした汚れであるが、今までこの部屋の隅々まで見て回わり、部屋には埃一つ落ちていないかったので、このちょっとした汚れがすごく気になってしまう。
俺はその汚れた場所周辺を爪でカリカリと削ってみると、
「あった。」
俺が削ってた場所の壁紙がめくれ上がり、そこには小さく正方形に切れ目がはしっていた。俺はその正方形を押して見入ると、ガコッという仕掛けが動く音とともに長方形に切れ目が知っていた壁が内側に引っ込み横にスライドし、その奥はこじんまりとした部屋があった。
「あれ、ここが出入り口ではなかったようだな。それにしても、この部屋はさっきと違って華やかさはないな。」
絵画の飾られていた部屋みたいな装飾もなく、あるのは部屋中央にある台座と、その台座の上にゆっくりと回転している辞書のような本だけである。
「これって、どうやって浮いてるんだろう。」
っと、俺は部屋の中央で浮いている本を注意深く見て見ると、その本の表紙には『утопия』と書いてあり、俺には読むことが出来なかった。
俺は興味本位にその浮かんでいる本に触れようと手延ばした。
そして、俺はその本に触れた瞬間、その本から直視することのできないほどの光があふれ出して、俺を包んでいくのが分かった。そして、
『Начало конца』
と、俺は聞こえたあと、俺は意識を失った。
面白ければ、更新しようと思うので読んでください。