表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Paranormal World-パラノーマルワールド-  作者: mirror
三章 仮想と現実の境界、それは彼らの認知の外側。
39/41

第十一話

 渋谷駅から随分と離れた場所にひっそりとたたずむ喫茶店、Alice。

 知らない人が見たらお店だとは気づかないような外装に身を包んで、そこにある。

 本当にここに客が来ているのだろうか、儲かっているのだろうかと考えるのは野暮だろう。

 最近はバイトも一人雇ったらしい。しかも女子大生。喫茶店の皮をかぶったそっち系のお店なわけではない。


「いけないわね。フォルテに影響されているわ……」


 本来AIに影響を与えるのが人間のはずなのに、立場が逆転してしまっている。

 それほどまでにフォルテはよくできたAIなのだ。


「彼――兎月鏡夜に彼女をつけたのは間違いではないわよね」


 彼は明らかに普通じゃない。それが元からだったのか、それとも一度こちら側に踏み込んでしまったからなのかは重要ではない。

 重要なのは、今の彼の脳。


「まあそこらへんはおいおい考えましょう。今考えたところでどうにかなることでもなし」


 時間を確認してからMirageの電源を落とす。この中ではMirageはただの腕輪にすぎない。

 入り口の前に立つと、店の中が明るくなるのを確認し、彼女はドアを潜り中へと入る。


「悪いわねマスター。ちょっと野暮用で遅くなりました」

「あ、“一”さんいらっしゃいませー。マスターならもう下で待ってますよ。先にやってます」


 そう行って最近入ったバイトの奈々が出迎える。


「ありがと。飲み物はドクペをお願いね。あとは適当に持ってきてくださいな」

「分かってます。すぐ持っていくので下に降りててください」


 カウンターへと戻っていく彼女に手を上げて感謝を伝え、一は螺旋階段を降り地下へと向かう。


「あぁ、可愛いなぁ。天使私もあんなメイドが欲しい」


 彼女がここでお世話になるようになった経緯はマスターから聞いている。Mirageからの信号を受け付けにくい特異体質。現代社会と相性の悪い体質はさぞ不便だと思う。

 鏡界と無関係として放っておくのもあまりにも酷だろう。


「でもまぁあんたが人の面倒を見るなんて、変わったこともあるんですね」


 ——ねえ? “天野さん”? 

  一の問いかけに、天野と呼ばれた男は小さく微笑んだ。 








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ