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Paranormal World-パラノーマルワールド-  作者: mirror
三章 仮想と現実の境界、それは彼らの認知の外側。
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第七話

 カラッとしたいい天気。兎月遥は自室で一人窓の外を眺めていた。

 理由は特にない。鏡夜が昨日送ったメールの件で渋谷に行くと言うので暇を持て余している。


「キョーヤ、大丈夫かなぁ……Iron Rabbitさんが変な人じゃなければいいんだけどなぁ」


 机の上の置き時計はすでに十九時を回っている。学校で別れてから大体二時間になるわけだ。

 Mirageの通知を確認してみても、そこに鏡夜からの通知はない。

 チェーン店の喫茶店からの通知等が来るたびにMirageを起動しては閉じるを繰り返している。

 まるで恋する乙女のように、はたまた子供の帰りを心配して待つ親のように、彼女はソワソワとした時間を過ごしていた。


「暇だなぁ。やっぱり後をつけてみたほうが良かったのかなぁ?」


 鏡夜と別れてから、和人と二人で彼の後つけてみるかという話も出ていたのだが、結局それは決行されることはなかった。

 優希は今日は学校に来ていないようで、連絡連絡も取れていない。


「むぅ……えいや!」


 鏡夜に対してメッセージアプリのスタンプ機能をひたすら連打する。が、それらに既読がつくことはなく、虚しい気持ちになるだけだった。

 気晴らしにパソコンを起動して皆んなとプレイしているネットゲームにログインする。

 そこでMirageから着信音が響く。Mirageの通知や着信音は、意図的に共有しない限り自分にしか聞こえない。


「もしもし――あ、はい。そうです。はい――――はい。わかりました。直ぐに向かいます。はい。合流場所は――――――」


 普段より冷めたトーンで電話の受け答えを終え、通話を切る。

 小さく深呼吸を一つして椅子から立ち上がると、部屋着から着替え始めた。

 サスペンダーつきのショートパンツの上からピンクのセーターに身を包み、ベッドに腰掛けてハイソックスに足を通す。

 頬を数回叩くと自室の扉を開けた。


「おかーさーん。ちょっと外出てくるねー!」

「え、もうすぐ夕食できちゃうわよー?」

「うー……多分すぐ戻ると思うから!」


 そういって両サイドで髪を括りながら玄関を出た。

 玄関に掛けられた鈴が揺れ、高い音を奏でる。


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