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Paranormal World-パラノーマルワールド-  作者: mirror
三章 仮想と現実の境界、それは彼らの認知の外側。
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第一話

 IronRabbit氏にメールを送った夜から一日後の夕方。僕は今、寒空の下。

 結局あの後は一睡もできなかった。

 画像を開いてから数分後、もう一通メールが来ていたことに気づく。

 あの画像は誤って送ってしまったものだということがそこでわかったが、結局あの画像が何だったのかの説明は特に無い。それが僕の不安を駆り立てる。

 画像加工の線も疑ったが、それは無さそう。

 僕には写っている骨は人骨にしか見えなかった。少なくとも牛、豚などの家畜の骨ではない。

 人骨なんて現実で見たことないけど、仮に人骨だとして、どうしてそんな画像をIronRabbit氏は持っているのだろうか。まさかのそっち系の趣味の人……な訳ないか。和人じゃあるまいし。

 それにあのゼリーみたいなやつは、以前の死体発見記事で見たものと同じもののように思う。確証はないけど、近くに倒れている人や人骨など、非現実の近くに存在していることを考えると、あながち間違いでも無さそうだ。以前の記事でも詳細には触れられなかったゼリー。僕は失踪者と何か関係があるのではないかと考えている。

 そして僕の考えが正しければ、まだ記事になっていないだけで、また失踪者の死体が上がっていると言うことになる。しかも見た限り今度は複数人。下手したら前に見つからなかった全員が、実はもう発見されているんじゃないだろうか。そんな大量の失踪者を人目につかず隠せる場所なんて、あるのだろうか。

 そもそも報道しない理由もわからない。

 画像は解像度も低く、薄暗い場所のため場所の特定はできそうにない。そもそも日本国内なのかもわからない。海外まで運ばれていれば、そもそも僕に場所がわかるわけがない。

 寒さのせいか、少し指先が震えているのを感じる。


「まあ、何にしてもこの先に答えはあるでしょ」

 風ではためくポンチョを抑えて、代々木公園の入り口付近で立ち止まっている。もうどれぐらいこうしているのかわからないが、学校が終わって直行してるから、実はもう一時間ぐらいこうしているんじゃないだろうか。

 今日は晴れてよかった。もし雨が降っていたらここにはきっと来ていない。昨日の名残でできた水溜りを眺めているとそう思える。


「最近渋谷によく来る気がする……渋谷の人種は苦手だからなるべくなら来たく無いんだけど……背に腹は変えられない」

 僕がここに足を運んでいる理由は、送られてきたもう一通のメールにある。



――

先程は申し訳ありません。

記事の更新をしている最中で誤って画像を送ってしまいました。

あなたの話は実に興味深い。是非とも一度会ってお話ししてみたいものです。

もし可能であれば明日、渋谷の代々木公園まで足を運んでいただけませんでしょうか?

あなたの力になれるかも知れません。

お越しになられる際には、添付のアプリケーションをMirageにインストールしてください。

当日、ご連絡いただければ、改めて場所を指定します。

では、良い返事をお待ちしています。


PS.現地にはお一人でお越し下さい。

――



「と言うわけで、怪しさ百二十パーセントのメッセージに釣られてわざわざ代々木公園まで足を運んだわけだが……これからどうしよう」


 メールには時間も場所も指定されてない。ただ明日代々木公園に来いと、それだけだった。

 そもそも怪しさしか無いあの内容を見て僕はどうしてここにきてしまったのか。昼間の自分を小一時間ほど問い詰めたい。

 遥も心配そうに僕を止めてたっけ。忠告に従っておけばよかっただろうか。

 困ったような表情をして僕を説得していた遥の顔が脳裏に浮かぶ。

 取って食われる可能性だってある。実はこの人こそ真犯人で、僕が次のターゲットになってるとかそう言うことだってあり得るかも。

 いや、でも今までの感じだと、次に何か事件を起こすのは十二月になってからの方が美しくないだろうか。一月ペースで今まで行ってきたことに何か意味がある方が自然だ。というかそっちの方がネタになる。


「まぁ、事件が発覚したのが一月おきなだけで、下準備はもっと前から始めってる可能性もあるわけだけどさ」


 現実逃避して楽観視してたはずが、かえって自分の首を閉める解になってる……なんて間抜けなんだ。嫌になる。

 ほんとにこの先に行っていいのだろうか。

 誰よりも、どこよりも事件に関する情報を早く提供している人物だ。自分で起こした事件であれば、最速で記事にすることも容易だろう。


「いや、いやいやIronRabbit氏がそんなことする人なわけないよ。そもそも自分で事件を起こして自分で記事にして世間に暴露するメリットなんてないどころかデメリットだらけだ。下手したら足がつく……まあ、注目は集めるし、一時は有名人かもしれないけど」


 それとも、事件を起こして、ブログで最速で取り上げて広告収入を稼ぐ。なんていうサイコパスブロガーなの?


「はあ……」


 僕は一体どれだけの時間公園前でたむろっていなければいけないのだろうか。側から見たら僕も不審者かもしれない。

 幸い他人に無関心な都民は僕のことなんて誰も見てないだろうけど。誰かに見られているとか自意識過剰にも程がある。


「……っ」


 ふと不安になって念のため周囲を確認してみるが、やはり僕になんて誰も注目していない。慌ただしく人が歩いている光景が目につくだけ。

 そんな人の流れに集中していると、ふと、とおりゃんせのメロディーが聞こえた気がした。近くの信号から響いてきた物だろうか。


「とおりゃんせ、ね」


 そういえば初衣からとおりゃんせの手紙の詳細な話を聞き忘れたな。まぁあの時はそんな余裕はなかったわけだけど。


“行きは良い良い帰りは怖い”


 そんな一フレーズが頭をよぎる。


「はぁ……胃が痛い」


 いっそこの先に行ってしまった方が楽になれる気がする。“行きは良い良い”さ。帰りのことは帰りの自分が考えてくれるんじゃないかと楽観視してみる。

 こんな機会は滅多にないだろうし。ある意味有名人とのご対面だ。ブロガーを有名人とカウントしていいのかは怪しいけど。

 年齢はもちろん、男か女かすらわかっていない。完全未知な人物だ。これで厳つい男が出てきたらほんとに犯人として通報しそう。

 僕の中では頼りになる長身細身の、いわゆる流行りのヒキニート(キモくない)ってやつだと勝手に想像している。理由は特にない。頼りになるブロガーといえば見たいな願望? あ、もちろん美少女でも可。ちょっときょどりそうだけど。

 現地に着いたらもう一度連絡を寄越すよう言われている。

 とりあえずメールアドレスに返信してみよう。

 メールを送った直後、一切のラグなしに返信が帰ってくる。僕がメールを送ると即座に返信を行うよう設定されていたのかもしれない。

 そのメールには、一枚の画像ファイルが添付されていた。


「地図?」

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