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Paranormal World-パラノーマルワールド-  作者: mirror
一章 そして、霧が彼らの日常を侵し始める。
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第九話

 草木が風に吹かれて揺れる。空は夕焼け色を通り越し暗闇が迫ってきていた。

 沢山の衛星に混じって本物の星がちらほら見え始める。

 風が冷たく身体が冷えてきて、本格的に冬になるんだなと実感させられた。


「そろそろしっかりしたコートを出さないとな。軽い羽織物だけじゃ寒くなってきた」


 そう言って、羽織っていたワインレッドのポンチョ抑える。

 和人の予定を済ませた後、僕は家から徒歩圏内にある新宿中央公園に足を運んでいた。

 東京の、それも新宿の一角にあるこの場所は、僕のお気に入りの場所でもある。

 結局事件現場には近寄ることすらできず、なんの収穫もないまま今日は解散となった。


「ここも、仕事に疲れたサラリーマンとか、ホームレスの方々がもう少し減ってくれると尚いいんだけどね」


 いくら緑に囲まれた場所とは言っても、ここは東京。人自体は多いわけ。

 だからあまりに人が多い時には、喫茶店なんかに退避しているが、まぁ、避難したことは殆どない。

 僕はベンチに座ったままMirageを起動して適当にαちゃんねるを流し読みする。ここの住人は相変わらず面白い方々が多い。Twickerとは異なる層の意見も大事にしないと。

 その中でも僕が今目を通しているのは週末に行われる『G.A.T.E.』の試遊イベントについてだ。

 もう今週末だっていうのに難民がチケットを求めてさまよっていたりする。それを見てドヤ顔しそうになるのを抑えるのも大変だ。

 あ、ちなみに僕はROM専なんで書き込んだりはしない。自慢したい衝動にかられはするけど。

 まぁ僕が自慢しなくても、ネットの海にはすでにたくさんの勝ち組がドヤ顔を決め込んでいる。

 念のため周りを見渡すが、人一人見当たらない。なんせここは僕が見つけた穴場スポットなんだ。

 この場所を見つけたのは今年の夏ぐらいだっただろうか。

 不思議なことに寒すぎず暑すぎない。周りの木等がうまい具合に温度を適温に保ってくれているのか、この場所は夏でも涼しかった。


「電波がなー。若干悪いのが玉に瑕って感じ」


 Mirageから投影された映像にノイズが混じり、時折消える。これが結構ストレスだったりする。


「現代社会で電波が届かない場所が未だにあるなんて本当信じられない」


 まぁ大量の緑に囲まれていれば電波の乗りも悪いのだろうとは思っているが、ネット社会で育った僕には受け入れがたいものがある。

 それでもここに足を運ぶのは、ストレス以上にここにくるとリラックスできるからだ。実家のような安心感。

 Mirageの電源を落とし、瞼を閉じると、草木が風に揺られる音だけが耳に響く。都会の騒音とは無縁だ。

 僕はこの感覚が不思議と嫌いではない。普通の人なら不安になるのだろうか? 自分以外の誰もいないかのような静けさ。

 その疑問に対しての解は、チャット通知だった。


《キョーヤ? そろそろご飯だから帰っておいでよー》


 浮き上がった通知をタップすると、遥からのチャットが来ていた。


「じゃ、そろそろ帰ろうかな」


 ここにくるときは大体いつも遥からの通知で現実に引き戻され、帰宅路に着く。


「それじゃ、また来るから」


 僕はそう言い残して、公園を後にした。

 誰に対してでもないその言葉は、小さく木霊し、やがて消える。





青色に光る猫耳おにゃのこ発見⁉︎


1.名無し

今日の昼の地震の直後に新宿で光る猫耳美少女を見たわけだが

俺は夢でも見ていたんだろうか

いや断言できる。あれは絶対夢なんかじゃない


2.名無し

現実と妄想をと区別もつかなくなってしまったかいっちよ。

それはそうとkwsk


3.名無し

俺も毎日うさみみロリっ子と戯れてるよ

猫耳よりうさ耳でしょ常識的に考えて


4.名無し

猫は三毛派。青色の猫とかありえないでしょ。

これだからオタクは


5.名無し

つロシアンブルー


6.名無し

それ猫種であって、毛並み的にはアッシュブルーでは?

主が言ってるのはきっと真っ青系だと思われ


7.名無し

どのあたりで見かけましたか? 

僕の知り合いかもしれないから教えてもらえると助かります。


8.名無し

みんな信じてて草

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