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城へ


 クエストを受けることになったファリナ達は王都周辺の森に来ていた。


「お嬢様、どこへ向かっているんですか?」


 森に入ってからも一向に立ち止まる気配のないファリナにエリーゼが質問する。森の奥に現れたという大蛇でも見に行くのだろうか。


「──ふむ、この辺か。よし」


 と、エリーゼが聞いたタイミングでファリナはちょうど立ち止まり、周囲を見回す。結構深い部分まで進んでいたので、どこを見ても森、森、森だ。


 ファリナはすう、と一回深く呼吸をして、パン、パン、と柏手を打った。


「聞け、森に住まう者どもよ。我はゴブリン10体とブラックウルフ1体、それと大量の薬草を望む。今すぐ用意しろ」


 静かだが妙に響く声でそう呟く。森から帰ってくるのは静寂のみ。だがファリナは何かを待つかのように目を瞑り静かに立ち尽くす。


「──む」


 ガサガサと茂みが揺れ、現れたのはゴブリンの群れとブラックウルフの群れだ。ゴブリン達は手に薬草を抱えている。それをファリナの前に積み上げ、彼らは恭しく礼をした。


「ご苦労。薬草はこれだけあれば十分だ。さて。小鬼10匹と狼1匹の首が欲しい。我こそはという者はいるか?」


 人間からすればそれは暴君も甚だしい要望だ。が──

 一瞬の空白の後、ゴブリン達は一斉に手を挙げる。我先にとファリナの前に押し寄せ、ギャイギャイと喧嘩を始める。

 反面、ブラックウルフの群れからは、一匹の若いオスが静かに歩み寄り、首を垂れ、その場に伏せた。


「大儀である。お前らのことは我が記憶に深く刻みこまれるだろう」


 そう言うと共にファリナが腕を水平に振ると、魔獣達の首が宙を舞った。その首はどれも歓喜の表情を浮かべていた。



──────────────────────────────


「はい、確認しました。依頼達成です。おめでとうございます、中級冒険者への昇級を認めます」


 依頼を達成したファリナ達はギルドに戻り、中級冒険者へと昇級を認められた。ちなみに最上級以外はパーティー制度により、一回の昇級試験に複数人で参加することが認められ、参加したものは全員昇級を認められるらしい。そのためファリナとエリーゼは二人とも昇級していた。


「では明日は上級冒険者の昇級試験を受けるとするか」


 早く最上級冒険者になりたいらしいファリナ。人の上に立とうとする性分は魔王の時のままであった。


「残念ですが昇級試験は週一回までしか受けられません。また来週頑張ってください」


 が、あっさりと出鼻をくじかれるのだった。


──────────────────────────────


 週のノルマも達成してしまい、やることが無くなったファリナ達は街を散策することにした。クエストにより金も手に入ったので、何か買い物をするのもいいかもしれない。

 そんなことを思っていた時。


「お前がファリナという者か。ご同行願おう」


 二人の騎士が行く手を遮った。


「あ、あの、い、いったいどういうことでしょうか?」


 思いきり動揺したエリーゼがしどろもどろに話しかける。突然のハプニングに弱いタイプだ。


「国王陛下がお呼びだ。手荒なことはしない、大人しくついてきてもらいたい」


「!?」


「ハハハハハ!それはちょうどよかった!俺もそろそろ挨拶しに行こうと思っていたところだ!」


「!?!?」


 混乱するエリーゼをよそに、ファリナは笑いながら騎士たちについていく。その態度を見るに、なぜ国王に呼ばれたのかわかっているようだ。いや、理由だけならエリーゼにもわかっているのだが。


「はあぁあああ…もう…頼むから面倒なことだけはしないでくださいよ…!」


 いざ、王城へ。




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