Episode1ーⅲ
竜崎と虎西はそれぞれの相手を圧倒した。
竜崎は相手の拳、蹴りを全て避けながら相手の顎に強烈なアッパーをかました。吹っ飛んだ男は歯を飛び散らせながら後ろの席に背中から突っ込んだ。皿が割れ、そこで食べていた男が悲鳴を上げる。店員が特に慌てる事も無く片付けを始める。こういった事も少なく無い様だ。
呻くだけで動かない男に、竜崎は「チェックメイトだぜ、オッサン。」と言って手錠をかけた。
虎西も相手の隙を突いて相手の足を払う。仰向けに倒れた男に馬乗りすると、「お仕置きの時間ね。」とニッコリ微笑んだ。
「ギャァ!?」
股間を殴られた男が泡を吹く。
「あれ?もう終わっちゃうの?」
気絶した男を見て虎西が心底残念そうに言う。
「そうみたいだぜ。」
ニヤつきながら竜崎が声をかけた。
「まだ楽しくもなってなかったのに。」
そう言う虎西の表情はかなりサディスティックだ。
「とりま確保だ。連絡するぞ。」
「そうね。」
男達の服からは白い粉が沢山出てきた。
こうして、2人の名コンビは復活した。
「やっぱり、お前らは正解だな。」
チーフの佐野が本部で笑いながら2人を出迎えてそう言った。
「ま、よろしくな。化け物系女子。」
「よろしく、ド変態系男子。」
嫌味の言い合いは最早日常である。
「2人共、お互いの事をよく知ってるみたいだし、最高のコンビじゃない?」
佐野が言う。
「そりゃあ、昔付き合ってた仲ですし、2人だけの感覚もあるんだと思いますよ。」
後輩の何人かがそう言った。その後、彼ら彼女らが「禁句」という言葉の意味をよくよく理解したのは言うまでもない。