Episode 0ーⅱ
「おい、竜崎。」
TOKIOのD班の班長、竜崎純也はD班からF班までを束ねるチーフ、佐野晃に呼び止められた。彼は竜崎にとって恩師の様な男である。だから基本、彼の命令には100%従ってきた。
だがしかし、この時言われた事は即座に拒否した。
「絶対に嫌です。」
「だがな、お前は今、相方がいないだろ?」
「いやいや、進藤とアイツでは全然違いますよ!」
「あぁ、確かに。進藤よりずっと優秀だ。進藤もかなりの逸材だが、それ以上だ。」
「いや、だとしても俺とは気が合わないんです!それはコンビを組む上で大事ですよ!」
「確かに気は合わないだろうが、君たちが組んでいた頃は、2人に敵うコンビはいなかった。」
「でも…。」
「しかし、進藤はE班の班長に昇進したし、副班長のポストも空いてるしな。副班長はそれなりの奴じゃないといかんしな…。もちろん、俺は上にこれの撤回を求めたさ。でも、駄目だったんだよ。」
「は?こ、これって正式に上からきたんですか?!」
佐野はうなずくだけだった。
「マジかよ…。」
拒否権、無し。
上からの命令は絶対。これはチーフ同士のヘッドハンティングではない。
竜崎は溜息を吐いた。
そして同時刻、A班の副班長、虎西遥がチーフに竜崎と同じ理由で噛み付いて、同じ様に一蹴された事は特筆せずとも分かる事だった。
1週間後、この異動が公表され、D班が大きな危機を迎える事になるのは、細かく書かなくとも分かることである。
初日からD班の班室ではこんな声が響いた。
「ふざけんな!黒魔女機械我儘モンスター!!!!!」
「うるせぇ!脳筋変態糞ガキアホウドリ!!!!!」