完璧お兄ちゃんと平凡な私
「と、とりあえず、羽美は転生して聖女...しかも俺の婚約者...そりゃあビビるわなʬʬʬ」
「そうだよ!お兄ちゃんも転生したとか聞いんだけど!」
「まぁまぁ。ところで、魔力について知っておきたいことはないか?」
「っ!それ!魔力ってなんなの?!私、歌えって言われて歌ったけど倒れちゃって...」
「そうか...魔力はな...」
それから私はお兄ちゃんから魔力についての説明を受けた。使うときに必ず体力が消耗されること、私は魔力が強いから使いすぎると倒れてしまうこと。
そして、なぜ私が聖女と呼ばれるのか。
「俺は転生したら平凡な王族だったけど、羽美は聖女なんだな...なんか逆になった感じ」
お兄ちゃんはそうやって笑ってたけどどこか悲しそうだった。
「お兄ちゃん?どうしてそんなに悲しそうに笑うの?」
「えっ、あぁ、俺は今までなんでも努力すればなんとかなるって思ってた。けど、実際そうじゃないんだな。ここに転生してきて努力しても魔力は強くならないし、魔法?だって全然わからない...そう思うと羽美は凄いなって。産まれ持った才能って言うのかな、しかも美人になって...」
「お兄ちゃん...私はお兄ちゃんが努力してなんでも出来てたこと、知ってるからね?お兄ちゃんならきっとなんでも出来るようになるよっ!」
「羽美っ...」
お兄ちゃんがいきなり抱きついてきた。
「今までごめんな...俺、母さんや父さんに認められたくて羽美のことなんか見てなかったのに、羽美は俺の事見守っててくれたんだな...ありがとうっ、ありがとう...」
お兄ちゃんが心の中ですごく苦しんでたってわかってよかった気もする。今度は私がお兄ちゃんを守っていく番。
それから私はお兄ちゃん、現レオン様と婚約を結ぶことにした。何かと都合がいいこととお互いの考えが同じだから。その後、お兄ちゃんに手伝ってもらいながら魔力の調節方法や新たな魔法を習得した。